見出し画像

アラノンのフェローシップ

・・・前回の続きです。

「私は唯一無二である」という信念が孤立を作り出すのであれば、孤立から抜け出すための鍵は、私たちが決して唯一無二ではないという事実と向き合うことであると言えます。

けれど、これを何か難しいことのように捉える必要はまったくありません。なぜなら本当のことは、私たちが同じ孤独を知る人たちと触れ合うことによって、自然な形で明らかになるからです。

Suggested Preamble to the Twelve Stepsと呼ばれる序文は、アラノンが何であるか、何でないか、また何をするものであるかを端的に述べるものです。アラノンの書籍には目次の前に必ず記載され、ミーティングの始まりに読まれることもあります。

その序文によれば、アラノンは共通の問題を解決するために経験と力と希望を分かち合う人々のフェローシップであります。

フェローシップ(fellowship)とは同じ目的や信念を持つ人々の集まりのことであり、この意味においては「共同体」とも表現されます。またアラノンのメンバーがお互いに抱く友愛や、メンバー同士でミーティングの前や後に一緒にお茶や食事をするような機会のこともフェローシップと呼ばれます。

ミーティングの内外におけるこうしたフェローシップは、まず私たちがアラノンのプログラムを知り、実践する「場所」になります。

通常ミーティングはフォーマットに従って進められます。どのグループもどうしたらなるべく多くの参加者に役立つミーティングになるかという考えのもとにフォーマットを決めますが、何かを優先するとどうしても別の制約が生まれることになります。そうして逃しかねないチャンスを補い、フェローシップの支えを最大限に得ることができるように、メンバー同士がミーティングの外でも積極的に連絡を取り合うことが勧められています。グループには、連絡先リストやチャットなど、何かしらメンバーが利用できるコミュニケーションツールが用意されています。

またアラノンの書籍は、私たちのグループ単位の小さなフェローシップを、ワールドワイドなフェローシップへとつなげてくれるものです。さまざまなテーマに即した本や小冊子、365頁のデイリーリーダー、ステップや伝統の理解を深めるために取り組むことができるワークブックなどが出版されています。私たちのアルコホーリクとの関係性もそれぞれが迎えている局面も違うなかで、そのときの自分に合った書籍は大きな助けになります。どの書籍もメンバーの個人の経験が占める割合が非常に多いことから、私たちが仲間の体験を通して学ぶことの大切さを窺い知ることができます。

もちろん日本は英語圏などに比べてフェローシップの規模が小さく、日本語で読むことができる文献※も限られています。けれどそれが私たちの回復の妨げになるとは限りません。下に引用するビッグブックのメッセージは、アラノンにとっても真実であるからです。

今日も、世界のどこかで、一人のアルコホーリクが別のアルコホーリクの誰かに経験と力と希望を語る時、回復が始まっている。

AA(2002) : xxviii (28)

※日本語に翻訳された書籍の購入についてはアラノンジャパンGSOにお問い合わせください。

参考文献
AA(2002) 『アルコホーリクス・アノニマス』