見出し画像

#東京オリパラより命を守れ!④「研修医が見たコロナ対応現場と働き方改革の実態」

「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、4人目めにvideoメッセージをくださったのは、前島拓也さん(全国医師ユニオン/後期研修医)。

 前島さんも、「日本の医療崩壊をくい止める」でインタビューさせていただいたおひとりだ。

◆受け入れろと言われても、できない病院もあると実感
 前島さんは現在、千葉県内の約300床ある病院で後期研修中。地域救急も担っている病院のため、救急で運ばれてくるコロナ疑い患者の対応にあたることもある。
 今年1月から3月までは、研修の一環として、茨城県内の小規模病院に派遣されていたという。
「ちょうど第3波でしたから、東京ほどではありませんが茨城でも感染者が増加していました。私が研修を受けていた茨城県内の小規模病院でも、発熱外来を設けて、コロナ疑い患者さんの対応をしていました。当時は、『コロナ患者を受け入れない病院は、けしからん』みたいな報道もありましたが、小さい病院で患者を受け入れるというのは本当にむずかしいのです。
 ふだんは訪問看護やリハビリなどがメインの病院なので、感染対策ができるスタッフもいないからです」
 もともと日本には、感染症の専門医もICUの病床も少ない。
前島さんは、「受け入れろと言われても、できない病院もある。無理してコロナ患者を受け入れると、院内感染が起きてかえってリスクが高まる可能性もあります」と話す。

◆後期研修医になって働き方が酷くなった
 「医師の働き方の実態を明らかにしたい」という思いで、医師ユニオンに加盟したという前島さん。研修医の働き方の実態も明かしてくれた。

「初期研修医については、給料もちゃんと出るようになって、かなり待遇は改善されてきたと思います。しかし、後期研修医になると急に話が違ってくるんです。一時期、賃金も支払われない〝無給医〟が問題になりましたが、この無給医も後期研修医や大学院生に多い。というのも、初期研修医とちがって後期研修医は、指導医を付けずに当直もできるようになるので『じゃあ、もっと入って』ということになるんです。
 月〜金まで日中フルで働いて、土曜の夜や日曜の朝に当直に入るという形です。僕の場合、当直は週に1度ですが、知り合いの先輩は週3回、当直をしています。過労死ラインです」
 後期研修医の2〜3割が〝うつ〟状態であるという研究も発表されているという。
 厚生労働省は、こうした医師の過重労働を減らすために〝医師の働き方改革〟を進めようとしている。だが、研修医だけは年間1,860時間という、過労死ラインの2倍まで認められているのだ。それは、労働時間以外に「現場で学ぶ」という時間が必要だからなのだが、「学ぶ」ためなのか「労働」なのか、その境が極めてあいまいなのだ。

 「医師の労働環境を変えないと、医療ミスが起こって患者にシワ寄せがいく」と前島さんは懸念する。そのためにも、医師数を増やすことは必須だ。
 
 ただでさえ、休む間もない医療現場。そこにコロナ、そのうえオリンピックが開催されようとしている。
 最後に前島さんは、こう話してくれた。
「東京オリンピックについては、もう率直に中止してほしい。第4波のときは、かかりつけの患者さんでさえ、救急で受け入れられないほどひっ迫した状況にありました。変異株が広がることで感染者が増加することも懸念されますし、そうなれば医療体制もさらにひっ迫します。医師ユニオンでも、オリンピック開催に反対する声明文を出しています。第一にすべきは人命を守ることであり、それを支える医療機関を守っていくことだと思います」

医師ユニオンによる、オリンピック中止を求める提言

前島拓也さんのお話は、下記から動画でご覧いただけます。(約15分)ぜひぜひご覧下さい!


よろしければ、サポートお願い致します。みなさまからのサポートを個人の取材等の経費にあてさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。