和田秀子/hideko wada
ままれぼ出版局が発信するウェブマガジンです。
「南相馬・避難 20 ミリシーベルト基準撤回訴訟」の原告たちの証言集。
「コロナはもう終わった」 そんな空気が世の中を覆っています。 しかし昨年12月から、わずか2カ月間で約2万人弱がコロナで死亡しています。 療養期間が明けて亡くなっている方も多いので、実際にはもっと多いはずです。コロナ累計死亡者約7万人のうち、3人にひとりが第8波で命を落としたことになります。そのうち、約8割が70代以上の高齢者です。 おそらく、若い方がどんどん倒れていったデルタ株と比べて報道が少なかったのは、「亡くなるのが高齢者だから仕方ない(=いいだろう)」という政府の姿
「子ども脱被ばく裁判」の控訴審が10月22日、仙台高裁で始まりました。 (控訴審第1回期日の報告は、子ども脱被ばく裁判のブログ参照) そこで、第一審でどのような判決が出たのかを振り返りつつ、控訴審のポイントを井戸謙一弁護団長のお話に基づいて、まとめておきたいと思います。 ※この記事は「いずみニュースレター」への寄稿を編集して転載しました。 ■被ばくのリスクを正面から問う 今年3月1日に福島地方裁判所(裁判長:遠藤東路)で〝不当判決〟が下った「子ども脱被ばく裁判」は、被ば
〝年間被ばく20ミリシーベルト〟という、通常より20倍も高い基準を撤回させようと闘ってきた「南相馬避難・20ミリシーベルト撤回訴訟」の原告団たち。 先日の記事では、不当判決が出たことを、お伝えした。 今回の記事では、原告たちが、この6年間、支援者らとともに明らかにしてきた、内部被ばく調査と、環境汚染の実態を紹介したい。 ■空間線量が下がっても、土壌汚染は残る メディアでは、「放射線量は下がり、福島は復興した」かのように伝えられることが多い。 しかし、「目に見えない汚
福島第一原発事故後、〝年間20ミリシーベルト〟という、通常より20倍も高い被ばく基準を押しつけられている福島県。 「つぎに、どこかで原発事故が起こったら、この〝20ミリ〟という、とんでもない数値が適用されてしまう。そうさせたくないから闘うんだ」 そんな思いで立ち上がった「南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟」の原告たち(206世帯、808人)は、2015年4月、国を相手取り「年間被ばく量20ミリシーベルト」基準の見直しと、〝特定避難勧奨地点〟の解除取消を求めて提
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、最後にお話してくださったのは、 「日本の医療崩壊をくい止める」の共著者であり、医療制度研究会副理事で医師の本田宏さん。タイトルは、「新型コロナに打ち勝った?平和の祭典??」だ。 本田さんは、これまでの登壇者の話を受け、こう切り出した。 「PCR検査も進まず、ワクチンも不足し、東アジアでコロナによる感染者、死亡者が最も多い日本がオリンピックをしようなんて言っている
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、5人目めにお話してくださったのは、中原のり子さん(東京都過労死を考える家族の会元代表)。 中原さんも、「日本の医療崩壊をくい止める」でインタビューさせていただいたおひとりだ。 ◆ワクチンの供給不足が現場の開業医や患者にもストレスを与えている 中原さんは、いまから22年前の夏、小児科医だった夫を過労自死で亡くして以来、「二度と同じような犠牲を出したくない」との
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、4人目めにvideoメッセージをくださったのは、前島拓也さん(全国医師ユニオン/後期研修医)。 前島さんも、「日本の医療崩壊をくい止める」でインタビューさせていただいたおひとりだ。 ◆受け入れろと言われても、できない病院もあると実感 前島さんは現在、千葉県内の約300床ある病院で後期研修中。地域救急も担っている病院のため、救急で運ばれてくるコロナ疑い患者の対応に
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、3人目めにvideoメッセージをくださったのは、大利英昭さん(東京都庁職員労働組合・病院支部書記長/駒込病院看護師)。https://twitter.com/dairi_h 大利さんは、約1年前にもインタビューしており、今年2月に発刊した「日本の医療崩壊をくい止める」に登場してくださっている。 ◆感染が拡大するのをわかっていて五輪強行するのは〝倫理違反〟 大利
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナー(7月3日開催/主宰:泉町書房)で、ふたりめにお話してくださったのは、北海道医労連執行委員長・看護師の鈴木緑さん。(https://twitter.com/doirouren) 北海道は、昨年の秋や今年のゴールデンウィーク開けなど大きな波がやってきて、病院や介護施設で大規模なクラスターが発生した。もともと、医療資源が乏しいのに、東京オリパラが始まれば、医療人員が取られてしまうことが懸念されている。
「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナーが7月3日、泉町書房の主催で開催された。企画を持ちかけたのは、ほかならぬ私だ。 というのも今年2月、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)を、外科医で医療制度研究会副理事の本田宏先生と共著で上梓した私は、約1年前にインタビューした本書で登場する医療従事者たちが、その後どうなったのか気になっていたからだ。 第3波、第4波、……息つく暇もなくやってくる〝波〟を、現場はどう受け止め、そしてどんな思
南相馬市原町区在住 牛渡美知夫さん(67)取材日2018年 11月3日 牛渡さんは、自らが経営する食品会社と商品を守るため、原発事故のあとも避難はせず、南相馬で暮らし続けている。当時、身をもって体験した初期被ばくの恐ろしさを思い出すと、あのときの官房長官の発言に今も腹が立つという。周りに話してもなかなか理解されないが、当初の被ばくのことを記録として残してほしいと語る。職業柄、自分が食べる作物の放射能測定は今も行っているが、その年によって汚染の値が増減する理由も気になる。
「この裁判の目的は、私個人の賃金未払い問題を解決することだけでなく、医療従事者の労働環境改善のために一石を投じることにありました。ひとりでも多くの方に都立病院の労働環境の実態を知ってほしい。泣き寝入りせず、行動を起こした意味はあったと思います」 3月18日、記者会見の場でそう語ったのは、2019年3月まで都立墨東病院の薬剤科に勤務していた薬剤師のAさん(20代)。 Aさんは、サービス残業を強要されたり、有休休暇の取得を阻止されたりしたうえ、パワハラまで受けたとして2
■「復興」のために食品の放射性セシウム規制値を10倍に 全国30を超える市民測定所のネットワーク「みんなのデータサイト」が3月9日、衆議院議員会館で記者会見を開き、食品に含まれる放射性セシウムの規制基準値を、現在の100ベクレル/㎏から1000ベクレル/㎏に引き上げようとしている自民党のプロジェクトチームの動きに対し、強い危機感を露わにした。現在、反対する署名を呼びかけている。 「山の恵みである山菜やきのこが、規制基準値に引っかかるために出荷できない。これを出荷できる
国や県の被ばく対策の違法性を問う、通称「子ども脱被ばく裁判」の判決が3月1日、福島地裁で言い渡され、遠藤東路裁判長は「子どもを被ばくから守りたい」という原告らの訴えを全面的に退けた。 法廷で裁判長は、その詳しい理由すら述べず、早口で判決文を読み上げると、そそくさと法廷を後にした。異例の判決だった。 改めて説明しておくと、この裁判は、住民の被ばく防護対策を怠ったとして国や県の責任を問う「親子裁判」(慰謝料ひとり10万円。原告は、当時福島県内に住む親子158人)と、「被ば
本日は、四谷の聖イグナチオ教会で開かれた「大人食堂」の調理補助ボランティアをさせていただきました。 これまで、年末に年越しの炊き出しなどをしている様子をニュースで見て、一度、手伝いに行きたいと思っていたのです。今年は、コロナ禍で実家にも帰れなかったので、ようやく念願叶って手伝いができました。 先日、「女性自身」のWeb版で紹介させていただいたように、「大人食堂」の料理を担当されているのは、料理研究家の枝元ほなみさん。 肉味噌や、そぼろご飯、酢の物、野菜の煮物など、枝元
福島第一原発事故から、間もなく10年。 メディアで報じられる「復興」の影に、深い闇が横たわっている。 福島県は、現在も首都圏の国家公務員宿舎に避難を続けている区域外避難者34世帯に対し、コロナ禍の寒空のもと追い出しをかけているのだ。 「福島県は、経済的な事情で転居できない避難者を、まるで犯罪者のように扱っています。使用料(家賃+駐車場代)を通常の2倍請求し続けたあげく、福島県に住む老親の元に押しかけたり書留で文書を送りつけたりして、あなたの娘(息子)さんは『○百万