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#東京オリパラより命を守れ!①第4波で感染爆発した大阪、保健師・看護師たちの声

 「東京オリパラによる医療崩壊をくい止めるには」と題したzoomウェビナーが7月3日、泉町書房の主催で開催された。企画を持ちかけたのは、ほかならぬ私だ。
 
 というのも今年2月、『日本の医療崩壊をくい止める』(泉町書房)を、外科医で医療制度研究会副理事の本田宏先生と共著で上梓した私は、約1年前にインタビューした本書で登場する医療従事者たちが、その後どうなったのか気になっていたからだ。
 第3波、第4波、……息つく暇もなくやってくる〝波〟を、現場はどう受け止め、そしてどんな思いで乗り越えてきたのか。あるいは飲み込まれたのか……。

 そこへ持ってきて、東京オリパラの強行——。1年前にインタビューした医療従事者たちも、さぞ疲弊し、この暴挙に怒りを感じているのではないか。感染力が強いデルタ株がまん延すれば、いままででいちばん大きな〝津波〟になるかもしれないのだ。
 少しでも現場の声を多くの方に届けることで、いまからでも東京オリパラを中止できないものだろうか——。そんな思いが今回のzoomウェビナーを企画した裏にはあった。

 残念ながら、前回インタビューした医療従事者の方々が同日に集まることは不可能。そのため、あらかじめインタビューしたものを動画で流すという方法に加えて、スペシャルゲストとして、(本書には登場していないが)第4波で多く方がお亡くなりになった大阪と、東京と並んでオリパラの開催地となる北海道から、声を届けてくださる方をお呼びした。

 本田宏先生には、現場が疲弊している根本的な問題はどこにあるのか、それらを明らかにしていただくと共に、ナビゲーターとしてまとめていただいた。

 ここでは、より多くの方に現場の声を知っていただき、いまからでも東京オリパラの強行に「NO!」の声を上げていただくため、zoomウェビナーの模様を紹介したい。

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 はじめにお話してくださったのは、大阪府関係職員労働組合で執行委員長を務める小松康則さん(https://twitter.com/fusyokuro)
 ご存じのとおり大阪府は、今年4月から始まった第4波で医療崩壊し、一時期は自宅待機者が1万人を超えた。かりに東京オリパラが強行されたら、首都圏も大阪以上の命が失われかねない。なぜ、このような事態を招いたのか、同じ過ちをくり返さないためにはどうしたらよいのか——。

◆コロナ前から保健師不足、現場の声を聞かない吉村知事
 「大阪府では、2000年には61か所あった保健所が2020年には18か所まで減らされ、もともと保健師不足だったところにコロナ禍がやってきた。
昨年4月の第一波から、すでに保健所は限界状態。休みを1日も取らず、1ヶ月の残業が160時間を超える保健師もいました。
 少し感染が落ち着いていた昨夏。この頃から現場の保健師たちは、『11月には必ず第3波が来る。いまのうちに備えが必要だ』『このままでは救える命が救えなくなる』と警鐘を鳴らしていたんです。
 しかし、吉村知事が当時行っていたのは、まるでこのまま感染が収束するかのような、国のGOTOキャンペーンに乗っかった〝大阪いらっしゃいキャンペーン〟。
 そして感染が拡大しつつあった11月には、大阪都構想の是非を問う住民投票が行われました。

 年末年始には、保健師たちが指摘していた通り第3波がやってきました。ある保健師は、大晦日も出勤し、家路に着いたのは深夜2時過ぎ。元旦はまた出勤して明け方4時まで働いていたそうです。
 こうした状況下でも吉村知事は、『感染は抑えられている。緊急事態宣言を出す状況ではない』と発言していましたが、1月7日に感染者が(当時過去最高の)560人になると一転して緊急事態宣言を要請。
 ところが、少し感染者が落ち着いてくると、早々に緊急事態宣言終了の前倒しを要請し〝マスク会食〟を推進していたのです」
 
 小松さんら大阪府関係職員労働組合は今年1月、保健師や保健所職員の定数増を求める署名約6万筆をネットで集め、吉村知事や田村厚労大臣に提出していた。しかし、その結果は、各保健所に、わずか一名の増員。それも非正規職員だったという。
 そして、やってきた今年4月の第4波——。

「あっという間に感染者が900人、1000人と増えました。保健師が入院の必要ありと判断した人でも、本庁につくられた入院フォローアップセンターで長く待たされる状態が続きました。『入院が必要な人を入院させられない』『十分な対応ができず辛い』という声が、私の元にも数多く届くようになりました。私たちの取り組みもあって、4月から各保健所に保健師が一人ずつ増員されましたが、もはや焼け石に水でした。
 
 しかし、吉村知事は、飲食店を見回る〝見回り隊〟に毎日800人もの職員を動員しています。もうトップダウンをやめて、現場の保健師たちの意見を聞いて万全の体制をとってほしい。吉村知事は、これまで一度も、保健師たちと意見交換すらしたことがないのです」
 
小松さんは最後に、感染拡大につながる「東京オリパラやGOTOキャンペーンなどではなく、命を守る政策をとってほしい」と改めて訴えた。

小松康則さん(大阪府関係職員労働組合)の当日のお話は以下より視聴できます。(約20分)是非是非ご覧ください。



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