アルコール依存性の女 旅と酒

父、祖母が亡くなって以降無職だった私は、以前から計画していた東南アジアへの放浪旅に出かけることにした。

ベトナムからカンボジアに行き、首都プノンペンからシェムリアップ、そこからラオスに抜け、タイ、マレーシアと2ヶ月近く旅した。

旅行中も酒を飲みまくった。旅をしに来たのか、酒を飲みに来たのか分からないぐらい毎日へべれけになるまで飲んだ。
東南アジアは年中暑く、ビールも日本に比べると安いので飲ん兵衛にはぴったりの土地だ。

ベトナムでは仲良くなった欧米人としこたまビールを飲み、酷い二日酔いで目が覚めた。
夜、カンボジアのホテルの庭先で1人ビールをすすっているとホテルの男性従業員が声をかけてきた。「1人?セックスしない?」。
女が1人で酒を飲んでいると、誘っていると思うらしい。他の場所でも同じようなことがあった。
ラオスでは現地の男性と飲んで襲われかけたし、タイでは一緒に飲み交わして仲良くなった男性とそういう関係になってしまった。

唯一飲まなかった日がある。
タイと国境を接するマレーシアのコタバルに到着し、ビールで一服しようとしたがどこにも売られていない。
調べると、コタバルはマレーシアの中でもイスラム色の強い場所で酒が一切販売されていないとのことだった。
仕方なくコーラを飲み、早々と高速バスで首都クアラルンプールに逃げた。

もちろん酒を飲むだけでなく観光をし色々学んで帰国したのだが、更に飲酒に拍車がかかるようになった。

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