アルコール依存性の女 父の死
なんだかんだで名古屋の生活にも慣れた。
栄や大須でよく買い物をしたし、名古屋駅周辺のことを地元の人と同じように「名駅」と呼んだ。風来坊の手羽先が大好きだった。
名古屋での生活も半年が過ぎた11月上旬。
その日は日曜日で、予定のない私は恋人のアパートで寝ていた。携帯電話が鳴り、液晶画面を見ると姉からだった。夕方5時頃だったと思う。日曜日の夕方に家庭を持つ姉からの電話は珍しい。何かが起きた。寝起きでぼやっとしていたが、その電話が何を知らせるのか私には分かった。
「お父さんが死んだ」
聞いた瞬間はあまり驚かなかった。というか、寝ぼけていて脳がその言葉の意味を正確に理解していなかったんじゃないかと思う。
10秒後ぐらいに私は泣いていた。
とりあえず大阪に帰らないと。
当分名古屋には戻れないと思い、必要な荷物を持って名古屋駅へ1人向かった。
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