志村けんが全部教えてくれた

まだ土曜日の授業が昼まであった頃、僕たち小学生は昼になるのを今か今かと待ち望みチャイムと同時に家に飛んで帰ったものでした。

家に帰ると昼ご飯があって、それを食べながらテレビで「吉本新喜劇」を観て「モーレツしごき教室」を観て、「花月爆笑劇場」観て、タイムボカンシリーズのアニメ観て、晩ご飯食べて、早めにお風呂を上がりテレビの前でスタンバイ！

そういよいよ「8時だよ！全員集合」の始まりなのです。これを観ないことには週明けの学校生活に支障が出てしまう。あとあと知ることになるんですが視聴率が40〜50%だったらしいですね💦そりゃみんな観るわ。

僕が小学生になった頃に志村けん（あえて呼び捨てすることをお許しください）が出てきた頃なんです。まさにリアルタイムで「東村山音頭」や「カラスの勝手でしょ」、「早口言葉」、「ヒゲダンス」が全盛期！

関西圏に住んでた子供たちは吉本でお笑いのDNAが生成されていくのですが、そんな中にドリフターズの笑い、志村の笑いが黒船のようにドカーンと入ってきたわけです。興味津々の子供たちは、関西とはちょっと違うお笑いに引き込まれていきました。

そしてあろうことにそのドリフの笑いにはエロが付いてくることが多いのです。そんなもん小学生にとったら脳ミソクラクラもんですよ。興味津々というより、興味しかない！

間違いなく僕ら小学生は、志村から笑いを学び、志村からエロを学んだんです。父や母がなにも教えてくれないことを志村が全部教えてくれた。子供たちのちょっとギリギリわからないラインを上手く攻めてくる。

あれってなんて意味やったんや？なんてことも週明けの学校での話題になるんですよね。

※僕の子供の頃はちょっと特殊で叔父に落語の稽古を付けられたりしてましが💦

「東村山音頭」、「カラスの勝手でしょ」、「ヒゲダンス」なんて何度も何度もやりましたよ。そこに出てくるカトちゃんの「ちょっとだけよ〜」ってエロネタ。まあ、あの頃は半分の意味もわかってなかったけど、大笑いしてたのを思い出すわ。親はそれを見てどう思ってたんか知らんけど💦

ちなみに家庭によっては「ドリフなんて観たらアホになるから観なさんな」とかよく言われてたらいし。でもそれって「コーラ飲んだら歯が溶ける」とか「おへそ出して寝てたら雷様に取られる」とかと変わらんと思うんだけど😅

低俗な番組と言わ続けたことによって、徐々に大きくなってきた僕たちはたけしさんやさんまさんの「オレたちひょうきん族」に流れていってしまうんだな。

志村の笑いは子供向けやとかなんか勘違いするんですよ。まあ、それが成長というやつかもしれないんですが。

ただ、志村けんが凄いのはこの後なんですね！（ドリフの大爆笑」で研ナオコさんとのコントで「あなた、おかえり！夕食にする？お風呂にする？それとも、寝る？」とかいうのも50%くらいの知識と想像力でめちゃ面白いんですよね。世代をちょっと上げてピンポイントで僕らを突いてくるんですわ。

そのあとは「志村けんのだいじょうぶだあ」でよりエロを加速させバカ殿からのお色気コーナーの流れなんてもう画面釘付けだったわけですよ。「変なおじさん」もすぐに女の子に抱きつくし。高校生くらいの僕らがしてみたいことを平気でする面白いオッチャンを確立するわけですね。

もちろんお笑いも素晴らしく「明日何時起き？」「5時だけど」「ご、ご、5時」って5時の言い方だけでどんだけ笑ったか。今後5時の言い方だけでこんだけ笑かせる人はもう出でこないでしょう。

そして、志村けんの凄いところは、コントの中で時々全く笑いの無いものを入れてくるんです。観てる人がキョトンとするくらい。もしくは、悲しさが溢れるくらいのコントを。でも、そのあとにドカンと笑いを持ってくる。

お笑いは押してばかりやとアカン、引いたり、泣かしたりして、緩急をつけることこそが長い笑いに繋がるっいうのを学ばせてもらったきがします。

リアルタイムで子供時代を過ごした僕は、山ほど勉強させてもらっと思います。そう思うと感謝しかありません。

志村けんさんが亡くなったこの感覚はマイケルジャクソンさんが亡くなった時の気持ちと似ていて、どっかでまた出でくるんちゃうか？とか、本当は生きてるのかもって気持ちがどこかに残り続けてます。

今年、初めての主演映画の予定があり、朝ドラへの出演があり、まだまだ挑戦したいことがいっぱいあったんだと思うと無念でなりません。それはもう本人が一番無念でしょう。

日本の喜劇王をまだまだ観ていたかったな。

最後になりますが志村けんさんのご冥福を心からお祈りします。
子供の頃の気持ちで「ありがと〜、志村〜！」

今日訓
子供の頃の記憶は永遠に宿る