ホロホロダケのクリームシチュー#motohiroとカフェ

森の中にある、あたたまるには、ちょうどいいくらいの、ちいさなカフェ

『ひだまり』


お店の開店じかんには、まだ、じかんがある。

ぼくは、いそいそと、採れたてのキノコを手に持って、しげしげと、見つめる。


そこへ、黒猫さんが、やってきた。

「motohiroさん、おはよう。

何、そのキノコ?

もしかして、毒キノコ?」

黒猫さんがジト目で、ぼくを見る。


違うよ、とぼくは、キノコの説明をする。


「ふーん、ホロホロダケっていうんだ。

面白い名前だね」


ホロホロダケは、この森で採れるキノコ。

茶色でマッシュルームと、同じくらいの大きさのキノコだ。

食べたひとによっては、昔を懐かしく思って、ホロホロと涙を流すと言われている、不思議なキノコ。


このホロホロダケをつかって、ぼくも、新メニューをつくろう、と思う。

「何をつくるか、もう、決まってるの?」

黒猫さんは、興味津々で、ぼくを見た。


ぼくが、つくるのは、ホロホロダケをつかった、あったかい、クリームシチューだ。


「ホロホロダケのクリームシチューね。

美味しそう!わたし、シチューが好きなの」

黒猫さんが、目をキラキラさせて、言った。


苺とどっちが好きなんだろうか。

ぼくは、少し、気にしながら、調理に入った。



さあ、できた。

お皿に盛り付けて、ふたりで試食してみる。

「いただきます」

黒猫さんが、ふー、ふーっと、猛然とスプーンに息を吹きかけている。

やはり、猫舌らしい。


ぼくも、気をつけながら、スプーンですくい、口に運ぶ。


濃厚なクリームシチューの味と、甘みが強い、ホロホロダケが、絶妙にあって、口の中にひろがっていく。

食べながら、なんだか、懐かしい気持ちになってくる。


最初は、ひとが集まるか、わからない状態から始まった、場所。


名前もない、カフェに、少しずつ、ひとが集まってくれたこと。


お休みをしていたときも、このカフェを忘れないで、待っていてくれたひとがいたこと。


そして、いま、たくさんの、ひとが、この『ひだまり』に来てくれること。


「motohiroさん、泣いてるよ?」

気づいたら、ぼくは、泣いていた。

悲しい涙じゃなくて、あたたかい涙。

嬉しい涙。


「もう、motohiroさんは、涙もろいんだから」

そう言われて、黒猫さんを見たら、黒猫さんも、ホロホロ、と涙を流していた。


「わたしも、ここに来る前は、いろいろ、あったからな

なんか、思い出しちゃって」


二人で、泣きながら、笑っていた。


「喜んでくれるといいね。

この、ホロホロダケのクリームシチュー」


うん、とぼくは、頷いた。

このカフェを、やっていて良かった。

そう思うと、また、涙が出てくる。


もう、そろそろ、開店のじかんだ。

今日は、どんなひとが、この『ひだまり』を訪れるか、楽しみだ。

まだまだ、あなたの考えた新メニューを、募集しています。

興味があったら、お気軽に、参加してみてください。

物語風に紹介しなくてもいいのです。

自由にあなたの考えた、新メニューを紹介してください。

期間9/20(日)、21時まで。

あなたのご来店を、お待ちしています。

ひだまりのようなサポートをありがとうございます😊いただいたお金はハートが喜ぶことにつかわせてもらいます。