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【読了】現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」藤本茂

「投資術」とか「誰も知らない秘術」みたいなものは書かれていません。
Amazonを確認すると、星が低いレビューは何も目新しいことはない!という意見が多かったのですが、そういった表面的な話ではないのです。

ほんわかした表紙と題名に「へぇ~(私も株やってるし)大先輩!」と思いながら読むと、情熱と努力に印象は覆ります。

これは術ではなく、もはや茶道・華道・香道・様々な武道のような、シゲルさんが切り開いた道。
様々な流派が生まれ、それぞれに極め悟った人が出てきたとして、誰も千利休にはなれないのです。
(もちろん、シゲルさんよりも前に株をやっていて大成されている方もいらっしゃるだろうが、私は知らないので)  

何となく、昔何度も読んだ「天皇の料理番」の主人公と似てるな~と思いました。
佐藤健さん主演でドラマにもなった原作の本です。
すごく面白いのです。

似ている点は、
負けず嫌い
・研究・勉強熱心
・いつも”そのこと”で頭がいっぱい
・機を逃さない
・好きで没頭できる

ということ。

ごくごく当たり前の投資方法に、ガッカリする必要なんてありません。
私は逆に、ほとんどの人が知らないミラクル成功術なんてないんだなと思いました。

当たり前のことを当たり前に、コツコツやるのが大事で、その「コツコツ」の中には日々の情報収集、移り変わる世の流れに敏感であることも含まれます。

そして、ミラクル成功術が存在しないという事実の大事な点は

 (・∀・)「この株を買いなさい」
 ( *^皿^)「絶対に損はしない秘密の方法」
(¬_,¬)「5万円から一気にファイヤーへ」
((Φ∀Φ))「サラリーマンが楽に億り人へ」

みたいな、簡単で楽でとっておきの方法なんてないので、それを謳う会社や人間は全く信用できず、胡散臭いということです。

シゲルさんはご自分の持ち株(ある日の)を公開されていますが、それは一例であり、決して 「これを買いなさい」 とは書いていません。

書店で株関連コーナーに行くと、強い口調で薦めたり断言する株人(私の造語です)の本もあり、前々から私は(゚Д゚)(それはアナタが塩漬けで持っていて、ちょっとでも上げたいんだろう?みぐるし)と穿った見方で見ていたのですが、その穿った見方はドンピシャリだと確信を強めました。  

結論から言うと、どれだけ真似しても、”普通の人”がシゲルさんと同じようには…100分の1にだって到達するのは難しいなと思います。

前述と重複しますが、もう道を究めた達人と言ってよく、ひたすら鍛錬して70年弱、更に現在進行形で楽しみながら続けておられることを、凡人が真似できるか?
まず無理かなと思います。

国も株!資産運用!NISA!とうるさいし、退職してやることもなくて暇だから手を出す、というのはきっかけとしてはアリだと思いますが、この手法の真似をしたら下手したらやけどする危険、大。
資産状況ではなく、年齢だけが近いという結果に。

題名と写真だとウッカリ「こんなおじいちゃんでも出来るんだ!」と思ってしまいそうになりますが、その実、誰も到達できない達人であることを忘れてはならないと思います。  

私が似ていると感じた、「天皇の料理番」の主人公・秋山篤蔵は、そもそも裕福な家の生まれです。
それがどれほどかというと、大学進学率10%未満だった明治後期にお兄さんは大学へ行かせてもらっており、自分はフランスへの渡航費用を出してもらっています。
もちろん、本人の負けん気や努力の結果大成するわけですが、豊かな実家のバックアップはその強力な後ろ盾となりました。

シゲルさんは、生まれこそ裕福な家ではなかったようですが、ご本人の商才がすごい!

”これからはペットブームがくる!”とペットショップに勤めたものの、そのうち
給料の低さにばかばかしくなって自分でペットショップを経営
⇒得た知識と経験の活用
↓
なんとその土地を国が買い取り!結構な高値で!!一気に資産増える
⇒これはかなりのラッキー
↓ 
自分も好きな事であり、更にこの地で麻雀店を出せばイケる!と麻雀店を出したところ、
読みが大当たりで数店舗に
⇒最初の経営の経験を活かし、違う分野への展開 

こんなの、普通の人が真似できることなのでしょうか?

仮にもし、株はド素人だけど、今まで様々な事業に挑戦して、成功してきました!という人ならば、シゲルさんに近づくことが出来るかもしれません。

あと現実問題、余剰金って大体いくらくらいなのでしょう?

もちろん、人によると思うのですが、30万で始めるのと3000万ではじめるのじゃ当たり前な事ですが全っっ然違います。
そう、シゲルさんはスタート時点からかなり余裕があるのです。

もちろん、つらいこともあったと思います。
震災やバブル期の資産激減などのダメージは、想像するに難くありません。
でも、それ以外のつらい経験は殆ど記されていませんでした。

きっと心底、楽しくって好きな事なのです、デイトレが。
だから始終、本の雰囲気は明るいのだと思います。  

ちなみに、熱弁している私は株歴2年です。
30万から始め、余剰金なんて口が裂けても言えず、絶対に損をしたくない。
なので思い切ったことはしないし、信用取引もしません。
ひたすら現物取引で、コツコツ…それで、250万まできています。

ただ、シゲルさんと似てるところは個別株が好きで、売り買いが楽しい事と、色々調べたり予想を立てるのが好きな事。 悲しいのは、「いいな」と思った株を「今ぞ!」と思った時に好きなように買えない事です。
手放したくない株は手放したくなく、早くオサラバしたい株は塩漬け中だから、現金がないのです。

なので、しょぼい私は100株持ちだらけです。
ただ、研究や情報収集は好きなので、初期に何も考えずイナゴの一味となって買ってしまった株と、過去一度良い思いをさせてもらったからというだけで安直に買い直した直後に落ちた株の2社以外塩漬けはないのが、ささやかな自慢です。  

最後に、ペットショップの経営をされていて、それをしめているわけですが、当時の”在庫(という言葉使いたくない)”の子たちはどうなったのか。
そのことだけでも、読者を安心させる一文が欲しかったです。
私も動物が好きな者なので…

「日本のバフェット」と世間で言われることについては、謙遜しつつも、行間から「自分は何の下駄もなく、己ひとりの力でここまできたのだ」という強い自負が感じられました。

全く衰えることのない情熱。

全体的に、とても誠実で、信用できる方ですし、かっこいいと思いました。

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