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報われたことのない贈り物の話

年に二回から三回ほど、贈り物をいただく機会がある。
誕生日でもクリスマスでもなく、それはこちらの意志とは関係なく、宅急便で送られてくることがほとんどで、それを開封するのは、ほとんどが私の仕事だった。

会社勤めの方で、きっと私と同じような経験の方もいるのではないだろうか?

お中元、お歳暮、お年賀。
それらが届いたとき、会社名やざっくりとしたいただき物の名称を、記録して管理している。
それは今の部署にきてからずっとだけれど、前職場でもやっていたことだ。地方にある会社では、名産を贈ってくださることも多い。また会社によっては、担当上司の好物を贈ってくださるところもある。ある上司はお酒が飲めないのと、スイーツが大好きなこともあり、その上司宛に届くそれらの贈り物は和菓子だったり、洋菓子だったりのスイーツが多い。

個人的には、ビールが増えると、ちょっとウキウキする。いただき物のほとんどは、基本的部署内みんなで分けるので、ビールが送られてきても、ひとりあたり一本か多くても三本だ。だけど、私がビール好きなのを知っている上司や同僚が自分のものをくれるので、だいたい三倍くらいになる。めったに本物のビールを飲めないので、これこそ嬉しい贈り物だ。

これらの贈り物、記録しているんだけれど、それを上司に求められたことは一度もない。それは今の会社だけではなく、前職場も含めて、今まで私の上司になった人たち、すべてからだ。こんなに報われることのない仕事があるだろうか、と記録しながら毎回のように思う。
会社の方針で、出張に行く際などの手土産として何かを持参することはあっても、季節のご挨拶の贈り物はしないことになっているし、その方針に決まったとき、そのように取引先には伝えてあるらしい。だから、どこから何をいただいたとしても、直接手渡されたものなら、その場でお礼を伝えるこおができる。だけど、問題は宅急便で送られてきた場合だ。伝えても、なかなかお礼として先方に感謝の気持ちが伝わることはあまりないように思える。もちろん、いただいたタイミングで、たまたま電話等で話す機会があったりすると、きちんとお礼を伝えてくれたりはしているのだけれど。

この夏も、エクセルに一列、贈り物たちの記録が追加された。「記録だけしておいてね」とどんな上司たちからも言われてきたけれど、一度も求められることがなく、列だけが増えていく。ときどき、届かなくなった会社があったりすると、なくなってしまっていたりすることもあり、そうすると少しだけ淋しい気持ちになる。

愛って、一方通行なのかな。

2020.7.23

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。