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七海とあなたの交換日記〜辰巳ろんさん

言葉を書くことで、大切にしていることがあります。
それは、自分の想いや心を描くこと。

言葉は生きている。私も生きている。
だから生まれる感情を言葉に綴るとき、それを私は単に自分「書く」のではなく、「描いて」いきたい。

noteを読んだり、Twitterを追ったり、それだけでも充分に相手を知ることはできるけれど、交換日記をするようにゆっくりとお話をしていきたい。

第四回めは、辰巳ろんさんとゆっくりお話していきたいと思います。


七海:
ろんさん、よろしくお願いします。

ろんさん:
”言葉は生きている。私も生きている。
だから生まれる感情を言葉に綴るとき、それを私は単に自分「書く」のではなく、「描いて」いきたい。”

ああ、七海さんらしい、なんてすてきな言葉だろうと思いました。

今回、七海さんとの交換日記をしてみようと思ったのは、今の自分のことをどんな風に書けるのか、ここにあるものをどう描けるのか、試してみたいと思ったからでした。
これまで小説やエッセイや詩など、いくつもの文章で七海さんに出会ってきました。七海さんには、安心して、言葉を委ねられると思ったからです。
七海さんとの間にある言葉を感じていくように、ゆっくりと大事にこのやり取りを楽しんでいきたいです。
七海さん、よろしくお願いします。
とてもわくわくしています。

七海:
ろんさん、ありがとうございます。
そのように言っていただけて、すごく嬉しいです。
私は基本的に、文章でしか表現しないので、本来だったら「書く」というのが正解なのかもしれませんが、「書く」ことで見えてくるものを表現するのには、やはり「描く」という方がしっくりとくるんですよね。

ろんさん:
七海さんの文章には、軽やかな柔らかさと丁寧さ、あと艶のようなものを感じます。

七海:
ありがとうございます。
自分では、自分の文章のことをなかなか客観的に見ることができないので、そのように言っていただけると、とても嬉しいです。

ろんさん:
七海さんは、ダンスや筋トレなどもされてますよね。きっとそうやって体の動きに神経を行き渡らせる練習をされているから、こうした七海さんの文章があるのかなって、心から七海さんが踊っているところを一度見てみたいって思います。

七海:
元々、運動は大の苦手だったんです。
ダンスを始めたのも、長年の友人に誘われたのがきっかけなんです。
運動が苦手なので、体力も筋力もなく、それなのに負けず嫌いなので、ダンスが少しでもうまくならようにと始めたのが、筋トレや有酸素運動のできるジムなんです。
最近は、体幹を鍛えるために、ホットヨガもしています。
ダンスは特に、ひとつひとつの動きを丁寧に表現しますし、ゆっくりな曲ほど難しいですね。
いつもうまくできなくて、怒られてばかりです。

ろんさん:
"ダンスは特に、ひとつひとつの動きを丁寧に表現しますし、ゆっくりな曲ほど難しい"というのは、とても興味深いお話しですね。私も運動が苦手で、今も体力にはちょっと自信がないのですが、そういうこともあって身体的なことがどこか曖昧でいると思います。だから、こういう、身体の実感のあるお話はとてもおもしろいと思いました。

そして、やっぱり、そういうところが七海さんの文章に活きてるのだろうと思いました。

七海:
ろんさん、運動苦手なんですね。いろいろなことに挑戦されているようなので、ちょっと意外でした。

ろんさん、noteでの自己紹介分に、

物語・デザイン・アートから感じるイメージを大切に「書く」「描く」「作る」「届ける」を通して、物語を未来へつなげていきたい。

と記されていらっしゃるじゃないですか。
これ本当に、私にとっては大きな共感ポイントなんですよね。
同じものを見ても、感じるもの、受け取るものって、人それぞれ違う。
だからこそ、より丁寧に言葉にしなければならないし、そうやって大切にしたものが、カタチになって、誰かの心に届けられたら、こんなに幸せなことってないんじゃないかなって思います。

ろんさん:
私は自分の言葉に対して、ずっとコンプレックスを持ってきたんです。うまく喋れない、うまく伝えられないって。だからこそ、「書く」「描く」「作る」と様々に、言葉を拡張しようとしてきたようなところがあります。

そこに「届ける」というのが加わったのは、やっぱり去年「心象風景」のコジさんにお声をかけて、バッグ作りのコラボしながら、お話しさせてもらったことが大きかったです。

コジさんのお店作りについてのお話をお聞きし、コジさんの作ったものを送ってもらったり、バッグを作ってコジさんに届けたりする中で、作ったものが相手に届いたときに、感じる何か大きな感情があることを改めて思い出したんです。簡単に言い表すのが難しいのですが、ちょっと強引にまとめてしまうと、届いてこそ変わる現実があるのかなと。

七海:
「届ける」って、とても素敵な試みだと思いました。相手を想いあう気持ちがなければ、届かないなぁって思いますしね。

言葉を発信するときも、読んでくださる人がいて、初めてなにかを届けられる。
だけど、普段noteを書いていても、なかなか「届ける」ことを意識して書けてないなぁって思ってしまいます。

ろんさん、言葉へのコンプレックスお持ちだったんですね。
私は、喋ることは苦手ではないのですが、伝えることの難しさは日々感じています。
仕事をしていても、わかっている人がわかっていない人に教えるとき、相手に100%を伝えるのは難しいですよね。
ひとつひとつ、丁寧にと思っても、どうしても「伝える」ことが雑になってしまう気がしています。

面と向かって話すのは、まだ相手の表情を見て話せるから、伝わっているのかどうかも感じやすいですが、noteの文章やSNSなど、文字と文字だとさらに「伝える」ことって難しいなと思います。

note文芸部でもいろいろお世話になりましたが、ろんさんは書き手の想いを大切に感じてとり、それをカタチにしてくれる。
note文芸部の折本企画、作者としてひとつひとつの配慮がとても嬉しかったですし、私のように思ってる作者さんも多かったことと思います。

ろんさん:
やっぱり譲れないのは、そこにある物語を大切にしたいという思いです。可能な限り作家さんたちが描いた物語の良さを活かしていけたらと思っていて、note文芸部の折本作りのときも、もちろん自分の力不足は承知していましたが、だからこそ最大限「物語を伝えたい」という思いだけはのせようとしていました。その思いを強く持つ、それしかできないと思っていたので。

その思いがほんの少しでも、作家さんたちに通じていたのであれば、そのときの私の「言葉」はそんなに悪くなかったのかなと、ホッとする思いがします。

七海:
折本作りでの、「物語を強く伝えたい」という思いは、やっぱり作者としてとても嬉しいです。
小説だけじゃなく、いろいろ書いていて思うのは、どんなに言葉を丁寧にわかりやすく並べても、100%の想いが伝わらないってこと。
イラストだったり、写真だったり、もっと細かい部分で言えば、フォントだったり、改行や漢字、仮名の使い方だったり、いろんなところが総合的にひとつにまとまって、初めて物語がスタートラインに立つ気がするんです。
コジちゃんに出会えたことは大きな転機でしたし、それから文芸部に参加させていただき、いろいろな方とお話できた時間はとても有意義なものでした。

ろんさんは、note以外の場所でも、創作に関する活動などされていますか?

ろんさん:
note以外の場所での創作関する活動といえば、少し前にg.o.a.tというプラットホームで、短歌や詩を発信し始めました。今のところ、ほとんどがnoteに発表してきたものの転載なのですが、新しい作品もいくつかあります。縦書き表示ができるのが一番の理由です。あとは、いっときInstagramも開いていたのですが、少し心身の調子を崩してしまったこともあったので、活動範囲を狭めてクローズしていましたが、最近落ち着いてきたのでまた開いて、活用を検討してます。

七海:
g.o.a.tというプラットフォームがあるんですね。
知らなかったので、ちょっと検索してきました!
縦書き表示ができるのは、とても魅力的ですね。
スマホやパソコンから更新したりすると、読み書きどちらでも横書きの方が見やすいなとは思うんですが、普段普通に本を読むとなると、やっぱり縦書きが落ち着くというか。

特に短歌や詩などは、縦書きの方がすっと心に溶け込む雰囲気があるような気がします。

ろんさん:
g.o.a.tを調べてくださったんですね。

"特に短歌や詩などは、縦書きの方がすっと心に溶け込む雰囲気があるような気がします。"

私もそこが第一の理由で、こちらへ短歌や詩を投稿し始めました。でも、これは結局自己満足なのかもしれません。g.o.a.tの画面を自分のスマホで見たとき、表示が崩れていたりもしてますし、スマホやパソコンから読み書きする場合は、横書きの方がずっと合っていると、デザイン的なことなど考えると、私もやっぱりその結論に近づいてしまいます。

七海:
g.o.a.t.に限らず、パソコンから読むのか、スマホから読むのかで、読みやすさや読みにくさ、配置のバランスなど、気になりますよね。

私は読むのも書くのも、以前からスマホオンリーなので、パソコンからどんな風に見えるのか、気にしたことがないんですよね。確かめられないですし。

ただ、ケータイ小説を書いていたこともあり、スマホから読むのを前提として、文字を詰め過ぎないように書くようにしているので、普段詰めて書く方には、改行が多くて読みにくいかもしれません。

ろんさん:
七海さんはnoteで様々な企画への参加やご自身での企画運営、サークルも運営されてて、さまざま活動されてますが、note以外でもどこかで創作活動されているのですか?

七海:
私は、noteを始める少し前に、もう「書くこと」すべてから、卒業しようと思ってたんです。
それで何ヶ月か読み書き両方から離れた時期があったんですよね。
夢に手が届かないのが辛くて、逃げ出しただけなんですけど、でも結局書くことが好きで、やめられなかったんです。
そんなときnoteに出会いました。自分の書いたものを、カタチにして残したいと思いながらも、挑戦する気持ちになかなかなれずにいたんですが、最近、毎日更新が途切れたタイミングで、気持ちをもう一度挑戦の方向へと向けることができました。

元々、小説投稿サイトのエブリスタさんでいくつか書いていたんですが、少しずつコンテストに挑戦していってます。
あとは、monogataryさんというサイトで時々、有名なアーティストさんとのコラボ企画があるのでそちらにも挑戦したりしています。

ろんさん:
エブリスタさんでのコンテスト参加やmonogataryさんでの作品発表などされてるんですね。どちらも名前だけは知っていて、でもきちんと見たことがありませんでした。でも、さすが、七海さんです!noteの毎日更新は途切れたということでしたが、今までと変わらないか、もっと質をあげての執筆活動をされているのだと感じました。今度両方とも読みに行ってみますね。

七海さんは、あまり難しい言葉を使わずに、なるべく自然体で書いていくというようなことを、どこかで読ませてもらったように記憶しています。

七海さんの小説について思っていたこと、うまくお伝えできるかわからないのですが、思い切ってもう少し書いてみますね。

七海さんの文章はとても読みやすくてさらっと読めます。でも、特に恋愛小説においては、その中でもちゃんとキュンとさせられてしまうし、読んでいる人の恋心のようなのをちょんっと刺激させられてしまいます。
どの小説でも大体そうなっているので、「型」があるんだなって、これってすごいことだなって思っていました。この型ができるのって、それだけたくさん書いてきたからなのだし、書き上げてきたからだと思うからです。

七海:
ありがとうございます。
はい、表現だけではなく、なるべく難しい漢字や言葉を使わないようにはしています。
特に小説は、名前も含めて読めなかったり、意味がわからなかったりすると、そこで一気に現実に引き戻されてしまうんですよね。
どっぷりと物語の世界に浸ってるときに、そんな風になってしまうと、私の場合はなんだかもう一度入り込むのが難しくなってしまうんですよね。

ろんさん:
私も小説を書くとき、作者の手が見えないようにしたいという目標があります。どっぷりと物語の世界に浸れる感覚が大好きです。一方で、日本語の言葉の豊かさというのも、私にとっては興味のある部分なので、ついつい言葉が多くなってしまうのが、気になっています。

私は結構前から、七海さんの恋愛小説短編集のような本があったらいいのになって思ってます。自分がちょっと元気ないときに開いて読む本として本棚に置いておきたいなって思うんです。落ち込んだときにサラッと優しく読めて、だけど、キュンとさせてもらって、乾いた心に滴を垂らしてくれて、恋心を復活させてもらえる、そんな本になるんじゃないかと思うんです。Webで読めば良いとも思いますが、そういう疲れているときは、やっぱり紙の本がいいなって思ってしまいます。

ああ、ついにずっと思っていたこと、お伝えしちゃいました。うまく伝わっているといいのですが……。

こうやって、いつもいつも「思っていたことうまく伝わっているかな」と悩んでしまうので、その延長で、デザインのことを考えるのが私には大切な活動のひとつとなっているんだと思います。

"イラストだったり、写真だったり、もっと細かい部分で言えば、フォントだったり、改行や漢字、仮名の使い方だったり、いろんなところが総合的にひとつにまとまって、初めて物語がスタートラインに立つ気がするんです。"

本当にそうです。あらゆる要素をいくら検討してもし足りないくらいで、やってもやっても完璧にはならなくて、でも、そうやって物語をどうやってうまく届けていけるかと考えるのは、私にとっては結局とても楽しい作業です。「届ける」については、まだまだ未知のことがたくさんあって、これからも様々追い求めていくんだろうと思っています。

七海:
恋愛小説短編集、そのように言っていただけて、舞い上がりました。
私も実際には、やはりお気に入りのお話は、紙の本で手元に置いておきたいタイプなので、ろんさんのお気持ちとても嬉しいです。

ろんさん:
七海さんの恋愛小説短編集。七海さんのベストアルバムみたいなものを作ったら、どんなラインナップになるんだろうとか、順番をどうしようとか、妄想すると楽しくなっちゃいます。軽々しく言ってはいけないのかもしれないけれど、いつかぜひ実現してみたいです。

七海:
恋愛小説短編集、できたら素敵だなと思います。
noteでのマガジンとか、なにかしらのテーマにまとめたりしているものもあるので、いつかなにかをひとつにして、カタチに残したいという気持ちは、常に持っています。

ろんさん:
なんでなんでしょう。こういう「紙の本」への思いは、本当に独特で、自分でもちょっと不思議だと思っています。ざっくり言ってやっぱり「好き」なんですよね。紙の手触りだとか、持ったときの感じだとか、装丁のデザイン、ページをめくる行為、絵を見るように誌面を眺めるとか。

七海:
紙の本が好きなのは、やはり書き手としての想いを大切にしているからという部分も、私としては大きい気がします。

去年あたりから、スマホのメモではなく、手帳を使い出したのも、言葉にして書き残す、という部分を大切にしたいなと思うようになったからかもしれません。

今はコンテストでも、紙の本よりも電子書籍が主流になっていることも多く、そちらを目指すことも考えたことがあるんですが、やはりカタチあるものと電子では実感も違いますよね。

もう一度コンテストに参加しようと思ったのも、自分が生きた証を残したいと思う気持ちが強いのかもしれません。

ろんさん:
”自分が生きた証”……。作品を書くということは、というのは究極のところ、自分の人生とつながってきますよね。本もそうですが、コンテストなどで、作品を残す、何かの記録に残るということとも関係していて。

これで生きていけなくてもいいやと思う趣味の範囲だったつもりが、いつの間にか、もう間引けないくらいの活動になっていて、この活動との距離感が、時に本当に難しいと感じます。

七海:
私も書き始めたばかりのころは、趣味として楽しく書ければいいかなと思っていましたが、きっとその気持ちだけでは、ここまで続けてこれなかった気がします。
割と飽きっぽい性格なので、ここまで続けているのは、本当に好きだからなんだなぁと、改めて思います。

私、どんなに努力しても、完璧なものってできないと思うんです。
完璧だって思ったら、それ以上先はない。
だから、出来上がったその瞬間完璧だと思っても、次の瞬間にこうしておけばよかったという後悔ができても、それは成長なんだって思うんですよね。

書いたものをまた何年か後にリライトしたりするのは、よくやっていますが、そうやってあのときの自分にはできなかった表現ができるようになればいいなって思ってます。

ろんさん:
それにしても、七海さんが、あれだけの長さの文章や、あんなにたくさんの記事、そういえば、小冊子企画のときには校正まで、スマホでこなされていたことに、以前からずっと驚きを持ってます。

お仕事ではパソコンはお使いになっていないのですか?

いえ、スマホが劣っているとかそういうことでもないのですが、もし七海さんがパソコンを活用し始めたら、と考えたら、なんというか、ちょっと怖いというか、爆発的な何かが起こりそうだと思ってしまいます。

七海:
執筆や校正など、スマホでは限界を感じることが、ないといったら嘘になります。
パソコンは、仕事で毎日使っているので、得意な方ですし、それこそ書き始めたばかりのころは、パソコンもあったんですよね。
でも、読むのも書くのも、携帯だったり、スマホの方がいつでもできて楽だったんですよね。

時間があるからと、パソコンを開いて書けるタイプじゃないんです。書きたいという瞬間に書きたいタイプなので、そこにパソコンがなくてもいつでもその瞬間に言葉を残したい方で。

だから、昼休みだったり、それこそトイレに席を立ったりした瞬間に浮かんだフレーズやシーンを書き留めたり、そんな風に書けるスマホが便利なんですよね。

ろんさん:
本当にパソコンで書くことが優っているという話でもなかったのですが、ここを聞けたのは、七海さんの本当に大切にしていることを聞けた気がして、うれしかったです。”その瞬間に言葉を残したい”と言うのが、とてもかっこいいと思いました。つい技巧や上手い下手を気にしちゃって、言葉本来の生き生きしたものをおざなりにしてるような気もします。ついついその言葉でふさわしいかどうか、すぐ不安になってしまって、不必要に言葉を重ねてしまいがちです。瞬間的な言葉で言葉が決まるというのは、理想かもしれません。やっぱり七海さんかっこいいです!

七海:
私はお題があると、比較的書きやすいなと思うタイプなんですが、突然パッと言葉が降ってくるときもあります。

ろんさんは、どういうきっかけで文章を書くことが多いですか?

ろんさん:
私が文章を書くきっかけですが、大体ふたつのことに集約できそうです。

ひとつは、「書くことについて書く」こと。エッセイや日記のようなものになります。箇条書きのメモのようなときもあれば、小説のようなときもあります。

そして、もうひとつが、書こうと思っている物語のリストがあるので、その物語たちや、これらを書くための習作作りです。

短歌や詩歌、お題がある場合も、大体、このふたつのどちらかに紐付いてしまう感じです。自分からも紐づけて書いているところもあると思います。

もっと具体的な話で言えば、文章を書くきっかけは5W1Hです。これを書くのが最初の一行になることが多いです。そこから自然と言葉が続いていったり、それを膨らませて書くことがよくあります。

けれど、私は自分の文章は下手だと思っていて、いつも本当に試行錯誤しています。少しでも上達したいと、読書や書き写しなどしてみますが、七海さんは、文章の上達のために、何か続けて挑戦したり、気をつけたりしていることがありますか?

七海:
文章を書くきっかけ、とても参考になります。

私はお題がないと、何を書こうか、いつも悩んだりするんです。
毎日更新をしていたときは、それでも無理矢理絞り出していましたが、それがなくなってから、ますます何を書いたらいいのか、悩むことの多い日々です。

ろんさん:
毎日更新は本当に大きな挑戦です。量が必要な時期というのは絶対にあると思うので、私ももっと作らなきゃと思います。

七海:
短歌、難しくないですか?
私も何度か挑戦してはいるんですが、どうもうまくまとまらないことが多いです。

でも、個人的には短いのが好きだったりします。
長い文章で言葉を紡ぐより、できるだけ短い文章で、なにかを伝えたい方です。

ろんさん:
短歌はやっぱり難しいです。でも同時に楽しいです。言葉の豊かさを感じながら、指折り音を数えて、そこにひとつの世界ができるようにと苦心してます。

七海:
日本語の言葉の豊かさ、そういうのを意識したい感じ、私も好きです。
日本語ならではの言葉の選び方だったり、表現の仕方、なんだかいいですよね。
私はその辺りは好きなんですが苦手な分野です。

ろんさん:
お題の短歌なんかは、かなり自分なりの方法でやっていて、なかなか完成まで漕ぎ着けないでいるのですが、楽しいのでいいかなって、そんな風にだいぶ強引なところがあるのが、私の短歌です。もう少し言葉を軽やかにできるといいのですけれど。

七海:
ろんさんの短歌は、日本語の美しさが丁寧に描かれていて、情景を感じやすくて好きです。

私はどうもうまく日本語での表現ができていない気がするんですよね。もっといろいろな分野の文章を読んで、たくさんの言葉を吸収したいなと思ってます。

ろんさん:
私の短歌についてそんなふうにおっしゃっていただけて嬉しかったです。ありがとうございます。私の短歌は、どちらかというと「瞬間的な言葉」の対極にあるかもしれなくて、結構時間かけて書いてます。語彙も増やしたくて。ずっと言葉の背中を追いかけてます。もっと瞬間的な言葉として歌にできたら、歌としてはその方がふさわしいような気もするのですが、なかなか難しいです。

七海:
ろんさんは、書き写しなどされてるんですね!

私は書くことに関して、挑戦と呼べるようなものはしていません。
それこそ少し前は、毎日更新するということが、言葉や気持ちと向き合えてたので、それが挑戦だったような気もしています。

あとは、なるべく忙しい時ほど、書くようにしています。
夜時間があるときよりも、仕事のある朝とか、昼休みとかにふっと思いつくことが多いので、とにかくメモりますね。

だからスマホのメモ帳は、落とせないくらいネタが詰まってます。

ろんさん、Twitterのハッシュタグで、#朝活 使われてますよね。
私も先月あたりから、実は朝活始めてるんです。
とはいっても、毎日じゃないんですが。
ろんさんは、朝活時間、どのように過ごされてますか?

ろんさん:
やりたいことが多すぎて、でも、朝が一番頭がクリアで、かつ自分だけに時間が使えるとわかって、朝活をしてみるようになりました。

最近の朝活では、note記事の準備やタスクの整理、メッセージへのお返事を下書きしたり、読書などをしています。何かこう進めておけると、一日が気持ちよくなるから不思議です。もう少し慣れてきたら、なかなか進まないお題の短歌や書きたい小説の執筆も進めていけるといいなと思ってます。

七海:
朝の方が有意義に時間を過ごせますよね。
どうしても夜は疲れてしまっていて、特に書くことには私もなかなか集中できていない気がします。

私もやりたいことが多すぎて、朝活だけでは時間が足りないことも多いです。
毎日更新をやめてから、「書かなきゃ」という意識が薄くなってしまっているので、もう少し書くことへの意識も取り戻したいなと思ってます。

ろんさん:
今のところしばらくは、朝活ができているので、このままのペースでできること増やせたらいいなと考えています。眠いこと多いですけれど、言葉と向き合ういい時間を作るためにも、できる限りは続けたいなと思ってます。

七海:
朝の方が心がスッキリしていますし、朝活で言葉に向き合うのらとてもいいことだと思います。フラットになってる分、まっすぐに吸収されるイメージです。

のんさん:
七海さんは、コンテストへ意欲的に挑戦しているのですね。自分から評価される場所に行くというのは、とても勇気のいることだと思うので、ただただ応援したいです。

コンテストともなると、「他所で未発表の作品に限る」などと条件づけられていたりしますよね。たくさんのことに挑戦していますが、noteとの関係なども含めて、この先はどんな風に書いていきたいと思っていますか?もしよければ聞かせてください。

七海:
コンテストでは、やはり受賞できないと落ち込むので、挑戦できないときもたくさんありました。
でも、書かなきゃ夢は叶わないし、たとえ受賞できなくても、参加していれば読んでもらえるかもしれない、読んでもらえたら、気にかけてもらえるかもしれない、という気持ちがなくはないです。
実際に、エブリスタさんのコンテストに参加した作品では、受賞はしなかったんですが、短編集に入れていただくお話をいただきました。
受賞が一番の近道だとは思いますが、受賞しなくても狭くてもチャンスはあると思っています。

コンテストでは、当然求められているもの、というのがあると思うんです。それにどこまで寄せられるか、というのが大きなポイントになるかと思うんですが、自分自身を消すような書き方はしたくないんです。
本屋さんで売り出されるような、立派な本じゃなくてもいい。たったひとりでも、誰かの心に残るような、そんな一冊を作りたいと思っています。

ろんさん:
コンテストへの参加で受賞はしなくても、七海さんの作品が短編集に入ったんですね。すごい!おめでとうございます!なんだか勇気の出るお話です。やっぱり、実際にお声かけしたり、勇気を出して参加してみなければひらけない扉ってありますね。この交換日記の企画もそうですけれど、その一歩が大事だなと思いました。

”たったひとりでも、誰かの心に残るような”本。すてきです。ちょうど世瞬舎さんで、挑戦してきた本作りがそのようなものでした。これまでの中で、私なりに本への思いを新たにしてきたのですが、強いメッセージを込めた本が作れたら、それが広く行き渡らなくても、その本を中心にきっとすてきな風景が広がると思ってます。それが、七海さんの思いと通じるものがあると思って、嬉しくなっています。

七海:
ありがとうございます。
ついつい受賞されたかどうかで判断してしまいがちですが、それだけが全てじゃないという気持ちで、書き続けていきたいです。

ろんさんは、これからこんな風に書いたり、描いたりしたいなというような、ビジョンありますか?

ろんさん:
私の今後ですが、「書く」「描く」「作る」「届ける」という基本姿勢は、変わらず持ち続けていきたいと思っていて、その先は明るいと感じているのですが、明確なビジョンと言われると、急に言葉に詰まってしまいます。今、その、新しい展開を探しているところです。ただ、あんまり大きなことや、意味や価値を最初から作ってしまうと、窮屈になってしまいそうで、恐る恐るなのですが、まずは「楽しいこと」を一つずつ繋げていけたらいいなと思ってます。それと、小説にはもう一度、きちんと向き合いたいと思っているところです。

言葉の表現については。文章書きとしては私もずっと追いかけている感じです。難しいけど、憧れているというか、背中を追い求めてるというか、こんな風にいうと、まるで言葉に恋しているみたいですけれど(笑)

七海:
言葉に恋する。
とてもわかる気がします。
私は比較的さっと書いてしまうところがありますが、それでも部分的に言葉やフレーズ、言い回しにこだわってしまう時があります。
ピッタリとした言葉じゃないと、なんとなくグラグラとしてしまいそうで、そういう時はとことん言葉選びで悩みます。

その瞬間を残したいといえば、カッコいいのかもしれませんね。
でも、パソコンで書かれる方に同じように質問されたことはあります。
その方は、スマホでも書けなくはないけれど、溢れる言葉を纏めるには、スマホでは追いつかないと言っていました。
だから、パソコンから書かれる方の気持ちもわかるんです。
私は溢れる言葉を纏めるという作業ではなく、どちらかといえば情景が浮かぶことが多いです。だから浮かんだ情景が消えてしまわないうちに、メモしたい感じですね。

ろんさん:
このことを踏まえて、もう一度七海さんの作品に向き合ってみたいです。そうして、この後もしばらく、七海さんの恋愛小説短編集の本を妄想して、わくわくしていきたいと思ってます。noteや他のサイトに公開されている作品、ゆっくりひとつづつ読んで行きたいです。本当にたくさんの作品があるので、その中からマイベストを見つける気持ちで楽しんでいきたいです。

七海:
私の書いたものを、ろんさんに読んでいただけたら本当に幸せです。

どんなことでも、楽しいと思う気持ちがなくなったら、続けてはいけないですよね。
まずは自分自身が一番の自分のファンであること。

書く〜描くへ、そして届けるへ。
この気持ちがすこしずつ形になっていくことで、きちんと誰かに伝わることはあると思います。

書きながら、迷ったり後悔したりすることも、あると思いますが、こんな風にろんさんのことを知ることで、この企画やってよかった!と改めて思いました。
またいつか、お互いの歩いた道の延長で、同窓会のような感じでお話したいです。

今回は、本当にありがとうございました。


交換日記、第四回目は辰巳ろんさんとお話させていただきました。
ろんさん、またお話しましょうね。

参加者絶賛募集中です。
興味のある方は、noteのコメント欄か、TwitterのDMでご連絡いただけると嬉しいです。


2021.7.19

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いつか自分の書いたものを、本にするのが夢です。その夢を叶えるために、サポートを循環したり、大切な人に会いに行く交通費にさせていただきます。