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蔵前のまちのこと#5

Gallery Kissa 瀧本佳成さん

Gallery Kissaは、瀧本さんがアメリカ・ニューオリンズに行ったとき、偶然街のギャラリーで出会った「PETE THE CAT(ねこのピート)」の原画との出会いから始まります。これは、アメリカでは当時地元で人気となっていたアーティスト、ジェームス・ディーンによる作品で、瀧本さんはまだ日本では知名度の低かったこの絵を、自分の手で広めたいと強く思ったそうです。

瀧本さんは、大学院では物性物理学を研究しており、登山などで使うGPS搭載のマップを開発する事業などの運営をしています。ニューオリンズでのPETE THE CATとの出会いをきっかけに、会社のアートマネジメント事業としてGallery Kissaを始めたそうです。

____Gallary Kissaが目指す「アートを通して人をゆるやかにつなげる“場”」とは、どんな場なのでしょうか?
 私は物理学を専門にやってきて、たまたまアートに興味を持ち、今ギャラリーを運営していますが、ギャラリーとしての“場”と物理学で呼ぶ“場”というものに共通点を感じています。
物理学でいうところの“場”において、例えば重力場では、ある物質とある物質がお互いの引力によって引きつけ合う現象が起こります。これは、2つの物質があって初めて起きる現象ではなく、1つの物質があるだけで“場”が生じて、他の物質が作り出す場と影響しあいます。
それが重力場であれば空間を歪ませることで引き合い、電磁場であれば引きつけあったり反発したります。ギャラリーも、この街や社会においての場をつくるような役割ができると考えていて、そこにギャラリーがあり、そこに作品があることで人が惹きつけられるような場になればと思っています。

____展示する作品やアーティストはどのように探していますか?
 元々美術を専門にやっていたわけではないので、別の展覧会でお会いした方や、知り合いから紹介して頂いた方など、人と人とのつながりから作品やアーティストと出会っています。作品の良さだけでなく、人柄に惚れ、この人の作品を展示したいと思った方の作品を選んでいます。ギャラリーの良いところは、実際にアーティストと会えるところだと思うので、展覧会にはできるだけ、アーティストの方もいて頂くようにお願いしています。そうやって、人と人とがつながれる場になればと思っています。

____蔵前はモノづくりに良い土地柄だと思いますか?
 今、ギャラリーに置いてあるマグネットなどの雑貨も多くはこの近くの会社や作家さんたちとつくっています。何かつくりたいと思えば、すぐに実現するようなまちです。それから、人がとても温かいことも魅力です。私は、ギャラリーを持ってまだ3年程度ですが、新規参入者でも受け入れてくれる雰囲気があり、まちのイベントなどにも声をかけて頂いています。

瀧本さんは、モノマチのイベントなど蔵前のまちの変化に気づいてから、自分も何かまちに関わっていくことが出来るのではと思い、”自分のやりたいこと”、”やれること”からギャラリーという形に行き着いたようです。まちの変化を敏感に感じとった人が、自分の手で新しく仕事をはじめていく循環が、このまちにはある。

ふくしま空間創造舎 上神田健太

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