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アブストラクト・キルト(アート)の醍醐味。

先日、キルト「テナントビル」が売れました。Etsy(ハンドメイドサイト)でぼちぼちと作品を売り始めてから約15年。巾着袋などの小物も販売しているのですが、キルトに買い手がつくと特に大きな励みになります。

「テナントビルディング」2021
大きさは膝掛けサイズ(約117 x 147cm)

このキルトを作ったきっかけ。

このキルトを作るきっかけになったのは、所属しているアートキルト部からテーマが建造物のキルトを作るプロジェクトがあったのが1つ、よく布のスクラップをまわしてくれるキルター友達がくれた箱の中に白黒プリントと水色の布を繋いだものが2〜3枚あり、そこへ朱色をアクセントに足してみたらいい感じになったので育ててみたくなったのが1つ。ちょうどこの2つがうまく合体したのです。

白・黒・水色・朱色を基調にキルトトップを育てているうちにイメージが湧いてきたので、もう少し色を足して楽しい感じにしたいと思い、一階に雑貨屋やカフェ、二階には歯医者や税理士事務所、三階には大家さんが住んでいて、屋上には大家さんの趣味のものが置いてあるようなイメージで作りました。

私のキルトはなんとなく作っている間にイメージが湧いてきて、そこからイメージしたものにキルトを近づけていって、最後にタイトルをつけることが多いです。なので、”アレ”を作っていたつもりが、途中から”コレ”になってしまうこともあります。要は行き当たりばったり。

最初からテーマやタイトルが決まっているところから作り始めて最後までそこから逸れずに完成させられるキルターを尊敬します。それだけしっかりした構想と計画があって、それを実行できるということですから。

アブストラクト手法

アブストラクト(抽象)手法は、現実の物体を忠実に描かないので、作品に込められたメッセージがダイレクトに届かず理解されにくいのですが、それゆえに人によっていろんな解釈がされるので、面白いといえば面白いです。

私にとって、このキルトは「テナントビル」なのですが、ひょっとして他の方には別のものに見えるかも?そして、その別のものと一緒にしまってあった記憶が思い起こされて不思議な気持ちになったり、懐かしくなったり、なんとなく惹かれたり。そんな風になって来ると、その作品と自分との間の会話が止まらなくなって、愛着が湧き、自分にとって特別な何かに変化します。

でも、いろんな解釈を許してしまうが故に、悲しいかな逆もあります。義理の妹の話ですが、気に入って飾っていた抽象画を前に、夫(彼女にとっては兄)に「前から思っててんけど、これペ○スに見えるやんなぁ」と言われてから、彼女の頭の中からペ○スが離れなくなり、とうとうその絵は壁から外されてしまいました。あまり悲劇を生みそうなことは言わない方がいいかもしれません。その後、夫は義妹と顔を合わすたびに恨み言を言われております。

作品が作者の意図とは異なった別の意味を持ってしまうのは、作者としては悲しいことなのかもしれませんし、コミュニケーション・ツールであるアートとしても役割を果たしてないことになるのでしょうが、ヒトが主観で生きる限りどちらにしても誤解のないコミュニケーションは存在しないので、いっそのこと、その辺も大きく受け入れられれば楽しくなると思います。

とりあえず、私のキルトは買ってくださった方にどんな解釈でもいいので長く愛されることを祈ります。

では、また(^_^)!





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