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彼氏・彼女という名札、ないとダメですか?

恋愛のはじまりというものは得てして複雑なもので、一概にテンプレートに当てはめられるものではございません。「お付き合いしましょう」とお互いに契約をして(タロットで言うところのカップ 2ですね)お付き合いが始まることもあれば、ただ自然な流れで恋人同士のお付き合いに発展することもあります。気づけば一緒に住んでるね、みたいなね。前者の場合は『彼氏・彼女』という名札をつけた状態で関係性が続き、後者の場合は名札のない状態でそうなっていくことでしょう。

恋愛に定められたルールはないので、どちらのスタイルが良いとか悪いとかは一切ございませんが、こと占いの相談では「事実上、恋人同士なんですけど、相手にはっきりしてもらえなくて辛いんです」というお悩みが頻出課題となっております。

「ちゃんと彼氏 or 彼女にしてよ!」という主張

まず、世の中を大きく分けるとこれを重要視するタイプとしないタイプがいることを認識しておきたい。重要視するタイプ的には「えーっ、けじめをつけないなんて信じられない!」となるだろうし、お互いに『彼氏・彼女』の名札をつけずに恋人同士のように振舞うことは大変不誠実だと思える場合もきっと多いよね。逆に重要視しないタイプであれば、「口約束や肩書よりも実績じゃない?」となるだろうし、証明めいたものをあまりに求められるとウンザリしてしまうこともありましょう。ひょっとすると「え?そんなこと気にする?」みたいにポカンとするかもしれない。

ここら辺の価値観がふたりの間でズレると、先ほど書いたような「事実上、恋人同士なんですけど、相手にはっきりしてもらえなくて辛いんです」というお悩みに繋がりやすくなる。占い師がこのお悩みを伺った時点でわかるのは、クライアントは“はっきりさせたいタイプ”で、なおかつ“はっきりさせること”とお相手の“誠実さ”を紐づけている、ということね。(ちなみに、お相手に関しては、はっきりさせることを重要視しないタイプ or 何らかの理由ではっきりさせたくない状態であろう、という推察だけができる)

ここで気をつけたいのは、「ちゃんと彼氏 or 彼女にしてよ!」という主張の正体は、大抵の場合「誠実に向き合ってよ!」という主張であるということ。そうなると、「何故お相手は関係性をはっきりさせてくれないのか?」という単純な問いを繰り返すのはあまり意味がなくなってくるのですな。

彼氏・彼女の名札の有無と、誠実さの相関性

言いにくいことではございますが、まずはその名札の有無と誠実さのバロメーターには相関性がないことを覚えておいてほしい。皆さまもご存知のとおり、名札がなくとも誠実に向き合ってくれる人もいれば、名札を掲げた上で不誠実な言動を繰り返す人もいるよね。誠実・不誠実で量るなら、「君だけだよ」と言いながら“君だけ”じゃない人よりも、「私は特定の恋人を作りたくない」と公言して複数の人物と恋愛関係を構築する人の方が、むしろ誠実だとも言えるんじゃないかしら。

とはいえ、やましいことがないなら恋人宣言してほしい、という気持ちが湧くのはわかる。それと並行して、言語偏重で安心してほしくない、言葉に頼らず事実で量ってほしい……という価値観もある。そしてそれ以外にも、誠意の形は無数に存在するのよね。

なので、 「どうして関係性をはっきりしてくれないの!」と憤慨する前に、そもそも「関係性をはっきりさせる=誠実に向き合う」という方程式がお相手にも当てはまるかどうかを確認するのがベターではないかしら。

仮に、「何故お相手は関係性をはっきりさせてくれないのか?」という問いに集中したとしましょう。そこで「何故はっきりしないのか」「恋人宣言をしてくれ」と詰め寄って、相手が「じゃあ今日から恋人関係になろう」と言ってくれたとしましょう。その後、「私が詰め寄るまで恋人同士になってくれなかった、真意がわからない」「渋々承諾したようなものだから、他に相手がいたっておかしくない」などという疑念が晴れずに苦しみ続ける、という展開は鉄板です。

第一の課題は、自分と相手の価値観を知ること

まとめると、安心して恋愛を楽しむための第一歩として、いわゆる愛の告白や恋人同士になるという契約を経て関係性を紡ぐかどうかはさして重要ではなく、「彼氏・彼女という名札をどれだけ重視する人なのか」「誠意の表現方法はどんな形か」をお互いに認識しあうことが重要なのだ。

そして、この価値観のズレは一朝一夕でクリアできるものではない、と覚悟しておくことをおすすめします。さらに言うと、ズレを許容する覚悟がないのであれば、できれば初めから価値観の合う人を恋愛の相手に選ぶことをおすすめします。エンドレス疑念が生まれると、絶対にしんどくなっちゃうからさ。

もしも恋愛における名札問題にブチ当たったなら、まずは自分自身が「何故『彼氏・彼女』という名札を強烈に欲しがるのか」について考えてみよう。逆の立場なら、「何故そこに抵抗があるのか」を考えてみよう。そして、出てきた想いと価値観を相手に伝えてみよう、相手のそれもしっかりと聞こう。そこからお互いをどれだけ思いやれるか・価値観を重ね合えるか、がこの問題の解決のキモだと私は思います。根本的な不安に向き合うのは辛いことだけれど、せっかく恋愛を楽しもうと思えたのなら、楽しむために丁寧に整えていこうぜ!

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