ジョブ型人事制度と人材マネジメント

去年末からバタバタしすぎて、なかなか投稿できていませんでしたが、自分に鞭をうって久しぶりの投稿です(笑)

昨年経団連が打ち出した日本型雇用慣行のモデルチェンジ、から振り返るとこの1年多くの企業でジョブ型を自社に導入すべきか検討がなされてきたように感じます。この流れの根底にあるのは、社会・経済の環境変化であることはいうまでもないですが(経団連のSociety 5.0:http://www.keidanren.or.jp/policy/society5.0.htmlをぜひご覧ください)、改めてバズワード化してしまったジョブ型について考えたいと思います。

まず、「ジョブ型」という言葉ですが、これが何を指しているものなのかは明確にしておく必要があると思います。職務等級や基本給報酬の制度論になりがちですが、その前提として考えるべきは人材マネジメント全体のはずです。これが変わらなければ、いくら制度にジョブ要素を取り入れても、運用はそれまでと何も変わらないことになりかねないからです。

人材マネジメントとは、「採用」から始まり、異動・育成・評価・処遇・昇進昇格そして退職に至る一連のサイクルだと思っていただければよいかと思います。ジョブ型というものが、人材マネジメント全体でどう作用しているのかをまずは押さえておくことが肝要です。それらを把握した上で、自社での制度導入を検討していくべきでしょう。

人材マネジメント全体を俯瞰してみると、おそらく、いくつかのパーツ(例えば異動のしにくさ)で、導入が難しいなという点が出てくると思います。その場合は、将来的にジョブ型の全面導入を見越しつつ、部分的な導入を取り入れるハイブリッド型での運用ができないか、という視点もあわせて検討していくべきでしょう。私が経験した中で多いパターンは、まずは管理職からジョブ型へシフトさせ、一般職層はこれまで同様の運用を継続するというものです。日本の場合まだまだ新卒一括採用が採用ウェイトの多くを占める傾向にありますので、一般職層へのジョブ型導入はドラスティック過ぎ、まだ抵抗があるというのが実感するところです。一方、管理職までいくと一定の職種に専門性をもっており、異動も関連職内に抑えることができるところが多いと思います。加えて報酬制度としても、役職手当等でジョブ的要素を取り入れることにさほど抵抗はないうように思います。

このように、①各企業が何を目指したジョブ型シフトをしようとしているのか、その背景にある目的を明確にした上で、②ジョブ型を採用等含めた人材マネジメント全体像でとらえつつ、③必要に応じて中長期的な視野も含めてジョブ型人事制度の導入を考えていくこと、が求められているように思います。


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