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深堀隆介さんと自己開示

深堀隆介さんの展示を見てきた。
過去の美術展の中で一番楽しかった。
作品の素晴らしさと違うところに心動いたので、残しておく。

代表作はリアルな金魚の絵。実物の枡の中に、一匹の金魚と水草の絵が描かれているものが多く、『金魚酒』シリーズと銘打たれている。透明樹脂に描いたアクリル画を積層し立体的に見せた作品で、2.5Dペインティングとも呼ばれている。
すごかった。
めちゃめちゃリアル。何度「本物みたい」と口にしたことか。現実の一番美しい瞬間を切り取ったようで、幻想的でもある。
2.5Dペインティングでなくとも、絵がとにかく精密なのにも驚いた。

たくさんの展示作品の中で最も心に残ったのは、ご本人による『金魚酒の進化のまとめ』だった。小学生の夏休みの自由研究のように、直筆でまとめてある。(字に小学生の男子めいた味がある)。縦1.5m×横4m くらいのパネルにびっちりの見ごたえのある展示だ。
10年以上の時をかけ、2.5D技法が進化していく様子(平面的から、層が判別可能な半立体へ、さらに層が判別できないほどの立体へ)を、お客さんやメディアとの関わり方への葛藤、技術の試行錯誤、など色んなことを交えながら公開している。今の作品からは完全無欠に見える人が、昔の作品は今より単純な表現をしていた状態だった、心情や金銭的に苦しい時を乗り越えて、試行錯誤しながら進化した姿を見れたのが面白かった。弱みもさらけ出し、新たな境地に行っている人の姿を見るのが好きなんだなあ、わたし。

わたしも今は、仕事、生みの苦しみの時だけど、いつか振り返って、「確実に進んできた、進化してきた」と言えるようにしてやる!

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