秋の夜に。

ようやく熱帯夜から解放され、窓から涼しい風が入ってくる季節になりましたね。
こんな夜には、Keith Jarret "The Melody at Night, with You"はいかがでしょう。

ジャズピアノの音色は、シンプルが故に一音一音心を込めて奏でられていて、温かくて切なくて、鼻の奥がツンとするような…目を閉じて、美味しいお酒を舌の上で転がすように、じっくりと味わいたい1枚です。

解説によれば、このアルバムは1996年にジャズ界の巨匠キースが「慢性疲労症候群」と診断されてから、1999年に復帰するまでの闘病期間中に、愛する妻のために演奏した曲たちを集めた作品とのこと。当初は販売する予定もなかったというほどパーソナルな演奏だからこそ、聴く人の心の奥に閉じ込めていた自分の甘く切ない思い出を呼び起こすのかも知れません。特に"My Irish Wild Rose"は、自分のお葬式でかけてほしいと、わりと本気で思っています。

あなたにとっての「You」は誰ですか。
あなたとその人が一緒にいても、いなくても、重ねた時を慈しむとき、このアルバムが良きBGMになってくれることでしょう。




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