灰色うんち

2日前の夜、もう日をまたいだので 正確には 3日前の夜、私は初めて灰色のうんちを見た。
タイトルを見て 面白い下品な話だと勘違いした人には申し訳ないが、面白いことを言おうとかそんなんじゃなく、本当に、トイレの中に灰色のうんちがあったのだ。
最初は見間違いかと思った。
翌日、またうんちが出たから確認したのだけど、やっぱり灰色だった。
そして今日も変わらず灰色だったのだ。
怖くなってネットで調べてみれば「ガン」の二文字が並んでいるではないか。
尚更怖くなって、こうして久しぶりに記事を書いているのだった。

まだ20代前半だった数年前から、私の胃(消化器)は悲鳴をあげていた。
便意を催すたびにお腹が痛くなって、「うんちなんか出なけりゃいいのに」と思うほどだった。
内科に行ったが、原因は不明だった。
とりあえず、まあ、逆流性食道炎だろう という診断を受けた。

タバコは吸わないし、お酒も全く飲まない。
暴飲暴食もしないし、特別体に悪いものを摂取してるわけでもなかった。
外食も、あまり好きじゃないので、友達と会うとき以外は ほとんどしない。
なんなら、母の病気が見つかってから、なるべく体に良いものを食べよう と心がけ始めたばかりの時だった。

最初は、便意を催したときだけに感じたお腹の痛みは、次第に慢性化し 胃の辺りに違和感を抱いた状態が普通になった。

社会人になって、上司と合わず、異常なストレスに晒されてからは、違和感どころか 痛みを感じるのが常になった。
この頃には、外食以外は無添加食品のみを食べるようになっていた。
なにしろ胃の調子が悪いので、なるべく消化に良いものを食べるように心がけた。
友達と外食をするときも「お腹の調子が悪いから、なるべく消化に良いものをお願い」と、頼むほどだった。

唯一、私はあまり噛まずに食事をする習慣があったので、それにも気を付けるようになった。

でもついに限界がきて、内視鏡検査を受けることにした。
社会人になってから、斜視が酷くなるわ、脳腫瘍が見つかるわで、もうこれ以上何もいらないのに……と思いながら。

結果、ピロリ菌がたくさんいるとのことで、撃退薬を飲むことになったのだった。
副作用が出る人は少ないが、出る可能性はある との説明を受け、私は薬を飲んだ。

そして、副作用にガッツリ苦しめられたのだった。
下痢と嘔吐の毎日……目眩がして 動悸が激しくなって手足が痺れて 本当に、死ぬかと思った。
薬の副作用を知らずに生きてきた私は、不安でたまらなくなった。

2日ほど点滴をしてもらって、かなり楽になった。
人生初の点滴。
あれは神の作ったものだと思った。

副作用が治まってからも、謎の微熱が続いた。

元々会社を辞める予定だったのだけど、副作用のせいで有給を全部消化してしまったので、退職を早めることにした。
有給がない状態で、もしまた体調を崩したら……と思うと、周りの迷惑を考えても 今辞めるのがベストなタイミングだと思った。

それから数ヶ月が経った、今。

胃の痛みは軽減された。
相変わらず、便意を催したときは痛みを感じたけれど、それでも 普段はなんの違和感もなく生活していた。
とは言え、調子に乗って食べ過ぎたりすると すぐ痛くなったので、変わらず なるべく消化に良いものを食べるように心がけていた。
無添加のものが多かったし、外食は 月に3回あれば多い方だ。

なのに。
なのに、だよ。
なぜ、うんちが灰色になるんだよ?

今は、かなりストレスフリーな生活をしている。
合わない上司はいないし、ストレスの根元になるような人と関わることもない。

謎すぎるよー。

睡眠もちゃんと取ってる。
引きこもり過ぎて太陽光をあんまり浴びてないくらいで、あとはいたって健康的な生活を送っているハズだ。
んー、運動も足りないかな。

私はまた、病院に行くことになる。

もう嫌だよ……。
っていう、ただの愚痴を、あなたは今読まされているだけなのだ。
どんな気分?(笑)

あのとき会社を辞めようと思った判断は正しかったな と思う。
英断だったな、と。

最初の予定では、今月末か来月末に辞める予定だった。
今 このタイミングで また体の不調が出てきたから、やっぱり 周りに迷惑がかかった可能性が高かった。

私は親に虐待されてきたので、虐待されてこなかった人たちに比べて ストレス耐性が貧弱なんだと思ってる。
過剰なストレスは 免疫力を低下させると言われているからね。
小学生のときから吐くほど重症な偏頭痛持ちなのも、ストレス耐性が弱いことを表しているのではないだろうか。

生きるために、たくさんの心理学etc.の本を読んできた。

それらの技術を自分自身に活かして、虐待スライバーとなった私は、自分自身について 誰よりも冷静に把握できていると自負してる。

※サバイバーは虐待などのトラウマ経験から生き抜いた人のことを指し、スライバーはその経験を乗り越え 自立できた人のことを指す。

自分の長所も短所も、冷静に見ることができている。
短所はどうしても変えられない部分だから、変えられないと仮定した上で どう行動すればカバーできるか?を考えながら生きることで、短所を短所じゃなくしたりする。

そんな風に、自分のことが よくわかる。

それでも、他人の言葉に耳を貸さないことが間違ってるのは理解してる。
どんなに自分で自分のことを理解していようとも、どこでどう凝り固まった思考になるかなんてわからない。
成功に固執しては、待つのは堕落だと心得ている。
だから、人の意見は聞く必要がある。

どんなに自分の判断が正しいと予想しても、"普通の人"と同様に 不安を抱いて 他者の意見を優先することもある。

何度も思い出す。

社会人になって半年経ったとき「ここにいてはダメだ」と、私の直感が騒ぎ立てた。
「この会社にいては、私の良いところがすべて潰される」
そう思った。

そして私は家族、恋人、友人に相談した。

誰一人として、私の気持ちに本気で寄り添い「すぐに辞めるべきだ」と言ってくれた人はいなかった。
みんな口をそろえて「まだ半年だ」と言った。

「あのとき、誰の意見にも耳を貸さずに辞めればよかった」と、幼稚な自分が顔を出す。

私は半年かけて、どれだけ精神的に辛いのか説いた。
すると、家族も恋人も友人も、最終的には 辞めることを応援してくれた。

あのとき、辞めてれば、こんなに胃痛が悪化することもなかったんだろうか。
過去は変えられないから、言ったってしょうがないんだけど、どうしても 疑問が いつまでもいつまでも 私についてまわる。

あのとき、私が必死に説かなくても、みんながすぐさま理解してくれていれば、もしかしたら……なんて、責任転嫁したくなる。

より"英断"と思えていたかもしれない、とも思ってしまう。

難しい問題だ。

過去はどうしたって変えられないんだから。

不安だから、こうやって 昔のことを引っ張りだしてくる。
不安だから、早く寝た方がいいのに 記事を書いて、気を紛らわす。

病院に行って、ちゃんと検査して、安心したら また"英断"のことなんてすっかり忘れて、本を読み耽って過ごすのだ。

眠ろう。

サポートに興味をもっていただき、ありがとうございます。いつか 私の文書が、あなたの手元に残る形になって あなたをそっと支えられればと思います。