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【無料朗読台本】散りゆく白い花の想い

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貴方と出会ったのは、寒い冬の日のこと。
早朝、私は妙な胸騒ぎがして宿舎を出て教会に向かいました。
雪が少し積り初めていたような気がします。
私は転ばないよう気を付けながら、急ぎ足で向かいました。
なぜだか、待っている気がしたんです。

教会の入り口についた私は、やっぱりと思いました。
そこには、無造作に薄いタオルで巻かれた小さな赤ん坊が二人。
頬を赤くしながら、静かに眠っていました。
髪の色こそ違いましたが、生まれながらの双子の兄弟のように、二人はお互いの手を取り合って仲良くそこで寝ていたのです。
私は二人の赤ん坊を抱き、すぐに暖かい部屋の中に移動させました。
まだ小さな赤ん坊なのに、気を使ったように大きな声で鳴かない二人をみて、私は胸が締め付けられるような思いでした。
そして、私は二人を育てることを神に誓いました。

それから二人はすくすくと成長していきました。
やんちゃな少年たちは、教会の中をよく駆け回っていました。
覚えていますか?
あれも冬のことです。
外で遊ぶと寒いからと、二人で教会の中で雪合戦をしていましたね。
びしょびしょになった教会を見て、心底呆れたものです。
今思い返すとよい思い出のようですが、片付けるのは結構、大変だったんですよ。

そして、あっという間に歳月は過ぎ去り、二人とも逞しい青年に成長しました。
不器用だけど、優しさを消して忘れない、そんな二人。
実を言うと少し心配していたのです。
両親ともいない、教会で育てられた子供たち。
寂しい思いも沢山させてしまいました。

だから、二人がお城で働かせてもらえることになったときには私はとても嬉しかったのです。
きっとあなた達の方がそれを感じていたと思います。
貴方達は、誰かに認めてもらいたいという思いが人一倍強かった。
だから、国の中心であるお城に使えることができたとき、きっと自分の居場所を見つけたと、そう思ったに違いないでしょう。
私も、そう思いました。
それと同時に、とても誇らしかった。
街のみんなに自慢してしまう程に。

それは、今でも変わりません。
私は今でも、そう思っていますよ。
他の誰が貴方のことを、卑劣な裏切り者だと言っても。
私だけは信じています。
優しさを忘れない貴方のこと。
そうしなければならない、理由があったのだと。

本当は、いつまでも信じて貴方の帰りを待っていたかった。
でもその願いは、叶いそうにありません。
貴方の運命を最後まで見届けられないことを許してください。

だから、せめて私の心だけでも、気持ちだけでも届きますように。
肉体が無くなったとしても、私の気持ちはずっと、変わることはありません。
いつまでも、貴方の味方でいます。

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