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タコダンスまえがき①タコダンスとは何か?

◆◇木原萌花ソロ「平櫛田中邸deタコダンス」4/5(金)~4/7(日)◆◇
詳細・チケット情報 https://takodance.tumblr.com/dentyutei

谷中・旧平櫛田中邸アトリエにて4/5-7の3日間上演する「タコダンス」。
木原萌花のソロ・ダンスパフォーマンスである。
この”まえがき”ではご来場・チケット購入を検討していただく参考になれば・・と、たびたび質問を頂く「タコダンスってなんですか?」「なんでタコなんですか?」に答えるべく、どんな人が、どんな場所で、どんなことをしようとしているのか、を企画・作・出演の木原萌花ができるだけ詳しく解説。
言葉の無いダンスというものを、言葉でどれだけ解説できるのかという問いを持ちつつ、文章を読んでからダンスを見るという道筋には、また違った楽しみがあるかもしれないとも思う。
観劇を迷っている方、背景や制作過程に興味がある方、お好みでお読みください。

はじめに

はじめまして。木原萌花と申します。最初はとっつきにくそう、人との間に壁を作っている感じがした、などと第一印象について言われがちです。確かにひとり遊びは得意です。何か深く考えているように見える時があるらしいのですが、本人は大体ポーっと時間に身を任せているだけの時が多いと思います。よく知ってくださっている方にはおっちょこちょいさが目立っています。たまに向こうみずなところがあるらしく驚かれます。
高校卒業してから日本のバレエ団に入り、バレエダンサーとして仕事をスタートしました。
海外の色々な作品や職業ダンサーとしての生活に憧れてヨーロッパでの職探しにもチャレンジし、幸いに少しですがクロアチアという国で働く経験もできました。割とすぐ帰国し、今に至るまで日本で試行錯誤しながら踊り暮らしています。その間出会いに恵まれ、5年ほどzer○というダンスグループに参加し、劇場以外の色々な場所で踊ったり面白い経験もしました。
今は完全に所属無しのフリーとなっています。

そのような木原萌花がお届けするダンスのパフォーマンスとなります。


タイトルについて_他己ダンス

2023年に初めてソロパフォーマンスを実施しました。(2023.5.28木原萌花自己展「タコダンス」カフェムリウイにて。石見さんによるダンス評はこちら→2023年「タコダンス」評/評者:石見舟(演劇研究)

その時につけたタイトルが、タコダンスです。この名称は、幼少期に誰に習うともなくクネクネ踊っていた私を見て、周りの大人が「タコダンス」と名付けたところから来ています。
バレエやコンテンポラリーダンスになる前の、自分の原始的な踊りに戻ってみる、という意味。あとはソロ公演でかっこいい題をつける照れ臭さもあって、気負わず、ポップで覚えやすいタイトルにしたいと考えていました。(身内にはその下心が透けて見えているとも言われました笑)

創作に取り掛かった段階で。私はなんでこんなにずっと踊っているのかな。という答えなり、要素なりを自分の中にあるから掘り出そうと思った時、自分の中をいくら探っても何も出なくて。どうしても伝えたい物語や、社会的メッセージや主張があるわけではないし、激しいカリスマ性や、皆様に見せつけたい超絶技巧があるわけではない。わー、空っぽだ。何もない。。。(!)・・・困るところなのかもしれませんが、そのことに意外にも心地よい軽さを感じていることに気づきました。

いろんな職業があり、皆何かを生み出している。食材を使い料理を作る。土や石の粉で絵を描く。言葉で物語を紡ぐ。
じゃあ踊りは?何にもなかったら踊れない。ただ動くだけだったら疲れるだけだ。

一緒に踊る相手がいる時は、その人との会話が踊りだと思いました。でもソロです。誰と、何と、踊ろう。

一緒に踊る相手がいないけれど、観客との関係、空間との関係を使って踊ることができるかもしれないと思いました。

「私」でもなく「あなた」でもなく、その間をどうこうする。間にある空間や、何か繋がりのようなものがあるとしてそれを、縮めたり叩いたり伸ばしたりして時間を過ごす。そしてお客さんも空間も一緒に、最初と比べたら少し変化している。そんな直接的な原始的な考えから生まれてくるものがありました。

そこで、「タコ」が「他己」に見えてきました。

他己ダンス。

私が私の枠線からはみ出て他人に届くということ。それって本当に何か届くのか?あり得るとしたらどういう感覚なんだろう。という疑問についての、現時点での研究結果発表がタコダンスです。

研究にあたっては、色々な人とのワークショップがとても役に立っています。今回も2024年1~3月に創作と並行してワークショップ「からだにであく@田中邸」を実施しています。
また、楽器を演奏するように自分の体を外から取り扱う、という視点において、音楽家の宗像礼さんとの協同が私に新しい発見やリズムを与えてくれます。照明の松本永さんも、昨年に引き続き寄り添って一緒に作ってくださっています。
それから、会場の旧平櫛田中邸アトリエの持つ空間の力、彫刻家・故平櫛田中さんの人生や哲学もインスピレーションを与えてくれました。
昨年とは異なる点ですが、今年は自身の稽古場以外に長野県の山村や、有楽町のオフィスビルなど色々な異なる環境でクリエーションを行なっています。

それらの要素については、それぞれ追って詳しく書きたいと思います。


ここまで読んでくださり、

何を、よくわからないことを言っているんだこの人は。

と思った方は、ぜひ一度公演やワークショップに足を運んでいただけたらと思います。

最初に申し上げたように、私は言葉の専門家ではない上、言葉で扱うのが非常に適していない内容だからです。

そして好き・嫌い・よくわからない、などなど色々なご意見をお待ちしています。

私たちって言葉で理由でストーリーで頭で考えるのが当たり前になっていますが、何かとらわれずに、ぼんやり動く人のからだを見て、こんな感じ好きだなー(or嫌だなー)を分け合える場になれば。

そのための方法として、タコダンス。

_続く


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