好きな漫画の話:「ARIA」

こんばんわ、にっちもさっちもです。久々の投稿です。

花粉のせいであったり、現実のやらなきゃいけないことが立て込んでいて、私という人間の容量がいっぱいになり、少しばかりスリープ状態になっていました。

疲れていると無意識に空を見ていることがあります。こっちがどんなにその場で足踏みして停滞していても、空では常に雲や太陽、月が動いてるので、「少しばかりはこっちに合わせて止まってくれよ!」と思いながらも生きてます。

ところで皆さんは一日のどの時間が好きですか?

私は朝は憂鬱ですが、朝の雰囲気は好きです。夕方の綺麗な景色も好きです。夜の全てを隠してくれる暗さも好きです。強いて言うなら昼間はあまり好きではありません。活発的な活動を強制されている気分になるからです。

でも昼間の空の憎たらしいほどの青色は何故か好きです。こっちがどんなに生きることに飽いていても、綺麗な青を見ると生きていてよかったと思えるからです。

ARIAという作品

私の大好きな作品に『ARIA』という漫画があります。天野こずえ先生による水の惑星アクアの観光都市ネオ・ヴェネツィアを舞台に、水先案内人(ウンディーネ)を目指す少女たちの物語です。

私がこの作品を好きな理由はズバリ

「美しい」

この一言に尽きます。では何が美しいのか、背景が?キャラクターが?ストーリーが?それとも台詞が?いいえ、全部です。

ネオ・ヴェネツィアは名前からもわかると思いますが、イタリアの都市ヴェネツィアをモデルとしています。水の都です。

そこで主人公たちが目指す水先案内人(ウンディーネ)とは、ゴンドラ(船)を操作しながら観光案内をする職業です。見習い→半人前→一人前と段階を踏んで、立派なウンディーネになることができます。

このように話の概要からもわかる通り、日常を描いた作品です。少女たちが夢を目指して、日々努力していく姿を読者は見ていくのです。

水の都で、夢を追いかける少女たちが、優しい人々に囲まれながら、泣いたり笑ったりして、一人前になっていくARIA……その全てが美しいです。

この作品は一見すると明るく、キラキラした話に思えます。少女たちがニコニコしながら送る日常を描いた作品かな?と思われると私のようなひねくれものは拒否反応を起こしてしまうのですが……。

『ARIA』のテーマは残酷な時の流れ???

最初の方は見習いの主人公達の努力にスポットライトを当てて話が進んでいきます。半人前になるためにはそれ相応の覚悟と努力が必要です。私たちの現実でも同じですね。夢を追いかけるとなったら、決して楽しいことばかりではないはずです。むしろ、進むにつれて辛いことが増えていきます。

そして、半人前になった後のストーリーは成長していく主人公達の大人になっていく葛藤を描いています。少女の一人が大人になるのはつまらないと嘆く話を最初に読んだ時、すごく共感しました。私も小さい頃は「大人になりたい!」と叫んでいたのに、いつしか「戻りたい」と呟くようになっていたことに気付いた時は悲しい気持ちになりました。

一人前を目前とした時に、主人公達は過ぎていった時間を改めて見つめなおします。あんなに目指して、追いかけてきた一人前のウンディーネなのに、共に歩んできた仲間たちとの思い出が胸に引っ掛かり、立ち止まりそうになるのです。

この流れていく時の残酷さに悩むのは少女達だけではありません。先輩として、大人として見守ってきた周りの人々も共に悩んでいるのです。一人前になるということは一人立ちを意味します。先輩のウンディーネ達は、エゴとわかってはいても、今の日常が壊れてしまうことを恐れて、なかなか一人前として認める決心がつかないのです。

この作品はまさにキャラクターが「生きている」作品だと思っています。多くの人が経験した大人になることをキャラクターも経験していくのです。

この作品を読むまでは、過ぎていく時の残酷さだけを呪って生きてきました。別に最高の学生時代を歩んできたわけではありませんが、昔の方が楽しかったと思うことが多々あり、でも昔には戻ることが出来ないのなんてつまらないとずっと思っていました。

では、この作品を読めば答えが書いてあるのか、そんなことはありません。ただ、少女たちが悩みながらも生きているのを見ていたら、なんとなく自分なりの答えが見つかると思います。

映画『ARIA The CREPUSCOLO』

現在、映画館でARIAの映画が上映されています。この映画だけを観てしまうとちんぷんかんぷんになってしまうと思うので、気になった方はアニメ作品か漫画、最低でも前回の劇場版を先に観てからいくことをオススメします。

ちなみにタイトルのCREPUSCOLOはイタリア語で黄昏時(夕暮れ時)を意味しています。就活で疲れた足のまま映画館に行ったら、思わず泣いてしまいました。スクリーンに映る夕陽が眩しかったと言い訳をしておきます。

それでは

Arrivederci.

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