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KING OF PRISMとの思い出

ソロ映画デビューは大学生という、映画館とほぼ縁のない生活を送ってきた私だったが、とある作品を機に映画館の個性に興味を持つようになった。

その作品の名は
KING OF PRISM by PrettyRhythm

PrettyRhythmって何?のレベルで何も知らなかったけど、当時オタクの界隈では「尻からハチミツ」というパワーワードが駆け巡っていて、百聞は一見にしかずとなったわけだ。


初見は有給休暇を取った平日の新宿バルト9。

言わずと知れたオタクの聖地的映画館だ。(偏見)

早朝すぎて、一番大きなシアターに我々を含め3組しかいなかった。そして知る人は知っているあの衝撃。帰り道、何が起きたかわからないけど、とりあえず次は応援上映とやらに行ってみようぜということに。


そして訪れたのが桜木町にあるブルク13。

小規模用のシアターに響き渡るたくさんの合いの手。のちにこの作品の応援上映はこういう声かけをするのが定番というのを知るのだが、またしても何も知らずに行ったため、知らない人同士が席も遠いのにうまくかけ合いをしている…!と感動した。


さらに多摩センターにある映画館の支配人がキンプリを推しているという情報を得て、今度は多摩センのイオンシネマへ。

マイメロちゃんに会う以外の目的で多摩センに降り立つ日が来るとは。ちなみにこの映画館にはのちに「名探偵コナン ゼロの執行人」のリピーターとしてもお世話になることになる。

小規模なシアターながら全席埋まっており、応援上映も力が入っていた。何より映画館のロビーがキンプリ一色だったのが凄い。この支配人はこのあとたしか新潟に転勤して、そこでもキンプリを広めたという伝説を聞いた。


キンプリのロングランのおかげで、続編「KING OF PRISM -PRIDE the HERO-」が公開され、この作品が私を映画館オタクにした。


初キンプラはもちろん公開当日朝一番の初回に新宿バルト9。

一番広いシアターなのに全席満員。ようやく取れたのが最前列というまさかの首痛い席。まあ字幕でもないからあっちこっち見る必要もないしいいよね、と予告中に盛大な前フリをして上映開始。柿原徹也の流暢な英語が披露された。

応援上映ではなく通常上映を観に行ったのだが、映画が終わるとどこからともなく拍手が巻き起こった。私も舞台を見たあとのように自然と拍手をしていた。あとから振り返ってコミケかと思った。


それからは良い音響を味わいたくて、ブルク13でもシアター1にこだわり予約を取る日々。真ん中の少し後ろ側の席に座ると、ヒロ様のPrideのイントロがぐるぐると全方位を回って聞こえるのがたまらなく癖になった。

仕事帰りのときは、狭いシアター12でドリンク片手に一番後ろの席で後方彼氏面しながら観るのも乙だった。仕事で荒んだ心が正直かなり癒やされた。

休みの日には、鑑賞後にその足で予約を取ってまた観て、ロビーに戻ったらまた予約を取って、ということもあった。自分は金遣いの控えめなオタクだと自負しているのだが、このときばかりは私もオタクだったんだな…と爽やかに笑った。



さらにライブザウンドという鼓膜をやられかねない勢いの音響を持つ、川崎のチネチッタにも行った。ここでは初めて高田馬場ジョージへの声援(作品内の)がはっきりと聞き取れた。

川崎には駅前に3箇所映画館があり全部に行ってみたが、チネチッタの音響へのこだわりと、映画館なのにスタッフによる前説があるというトンデモ演出にやられてチネチッタ贔屓になった。何に関しても推しを持つ厄介な性である。


池袋ルミネにあるシネ・リーブル池袋にも行った。

池袋駅構内ということでアクセスが良くチケットを取るのは至難だった。しかしグッズの品揃えがよかった。一見それとは見えないキンプリグッズを購入してルンルンの私が向かったトイレの方向には、ルミネの中というおしゃれな立地ながら壁一面にキンプラ。やるじゃないか。

この映画館は狭めで段差も低く作りが昔ながらの映画館のようであまり好みではなかったが、声援が独特で面白かった。


それからも、忘年会を中抜けしてバルト9のレイト応援上映に参戦したり、初めての4DXもキンプラに捧げた。入場前にロッカーに私物を預ける4DXは完全にアトラクションで、性質的に少人数制ながらも皆笑い声をあげて楽しんでいた。私はソロ参戦だったが、それでも気にならずテーマパーク並に笑った。


どちらの作品もBlu-rayを購入した。ありがたいことに応援上映付きでも見ることができる。家に一人でもいつまでも、年老いても、あの頃の皆と一緒に映画館にいる気分で応援上映ができるってわけだ。

もっと面白い映画はこの先まだまだ出会う可能性がある。だがあんなに映画館を梯子して楽しんだ映画にはもう出会えないかもしれない。

思い出の詰まった円盤を撫でて今日も私は呟くのだった。

「The earth was yellow.」


(noteさん、斜体にできるようにしてください。)

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