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3x3Riddlesができるまで

はじめに

こんにちは、謎解き制作者さん。いつもなに考えてるの? どうしたらそんな発想思い付くの? ちょっとあたまの中見せて?

謎解き制作するに当たってどうやって作るか悩んだので、実際に3x3Riddlesを作るときに考えてたこと書いてきます。

当記事は謎解きワールド3x3Riddlesのネタバレが含まれているためお気をつけください。

設計図

謎の作り方はおおまかに下のような順番で考えてます。

・大謎を考える
・大謎を解くのに必要な要素を分解する
・大謎を解くための謎をちりばめる

大謎を考える

大謎とはリアル脱出ゲームで有名なSCRAPさんの公演でよく見られる仕掛けです。様々な謎や暗号を解き、それまでの体験で手にいれたすべての情報を駆使しないと解けないような謎です。

3x3Riddlesの大謎は「ワールドが3x3の部屋になっていることに気付き、最初に解いた3x3の魔方陣の数字とワールドの部屋を重ね合わせ、各部屋の床に描かれた丸に対応した数字を見つけ、最後に数字とアルファベットの変換表から"EXIT"という単語を導き出す」です。なんだこれ。

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この大謎にたどり着いたいきさつとしては「これってVRでやる意味あんまないよね」って言われるのが怖かったので、過去にTRPGのシナリオで使用した「マップを作図するとあからさまに怪しい空間がある」というネタを流用しました。

謎とワールドの形をリンクさせる方法。「実は読者自身が本の世界の登場人物でした」みたいなこの構造で、存分に気に入ったので今後も使っていこうと思ってます。

大謎を解くのに必要な要素を分解する

大謎は決まりました。次はプレイヤーが大謎を解くために理解すべき要素を洗い出しておきます。

・ワールドの形が3x3の部屋になっている。
・一度解いた謎を再利用する。
・問題パネルの裏側を見る。

あとは大謎に至るまでの謎に、これらの要素を理解させるための仕掛けを組み込んでいきます。

第1の謎「3x3魔方陣」

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数字パズルで有名な魔方陣です。大謎を解くのに必要な「一度解いた謎を再利用する」の再利用される謎です。だいたい大謎で再利用される謎は難易度をすごく簡単にして最序盤に配置します。できるだけ忘れててほしいので。

あとタイトルの3x3を回収している謎なので、賢明なプレイヤーであれば「お、こういった3x3のマスを使った謎を解いていくのかな」とお気づきになると思いますが、私は途中で制作をあきらめました。ごめんなさい。

第2の謎「一筆書き迷路」

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みんな大好き一筆書き迷路です。「一度解いた謎を再利用する」において、第3と第9の謎で再利用されています。やっぱりマスと文字の組み合わせは再利用しやすくて楽しいなあ!

あと同じ問題なのにルールが変わると別解が現れる仕掛けが大好き。

第3の謎「倒れた旗」

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突然問題文の情報量が少なくなりますね。ここで初めてプレイヤーに「一度解いた謎を再利用する」ことを要求するのですが、序盤の謎なので記憶に新しい直前の謎を再利用させます。

旗が倒れてるのはプレイヤーが首をかしげる姿が見たかっただけです。かわいいですね。謎解き的に深い意味はありません。

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ここ個人的に一番気に入ってる配置。第2の謎に戻ったときに見える、第1の謎の裏側。問題パネルが壁を突き抜けているという情報を与えつつ、「問題パネルの裏側を見る」という体験を行わせてます。

第4の謎「暗号鍵」

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探索と暗号解読の謎です。鍵を地面に突き刺すことで「ドーナツ拾ったら鍵だった」というリアクションが多くいただけたので満足。

この謎を解くためには壁の鍵穴に鍵を挿し込む必要がありますが、鍵穴に差し込んだままだと、第9の謎の部屋に鍵がはみ出て見えます。これにより「ワールドの形が3x3の部屋になっている」のヒントになるかなと思ってたんです。ただ、効果はあんまりない感じです。ぬううう。

第5の謎「デジタル算数」

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みんな大好きデジタル数字算数です。シンプルな問題文ですが上下反転と回転の違いに気付けるか、計算を正しく行えるかとか、いろいろ考える必要があるので、単体だけなら一番気に入ってる問題です。

あと「それぞれの記号には異なる数字が入る」ってルールを説明をシンプルに表現するのって難しいですよね。「黒≠緑≠赤」とか書くと「え? 黒≠緑とは言ったけど、黒≠赤とは言ってないよね?」とかいう謎製作者がいるので危険です。私とか。

第6の謎「三色の結界」

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領域の塗り分け問題。これも第9の謎により、ルールが変わって答えの変わる系の謎です。赤色を読むと「BONE」になりますが特に意味はありません。

第7の謎「数字とアルファベット」

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キツネといっしょ第1弾。難易度が凄く簡単なのに重要度が一番高い謎。2つ前の答えの「1685」を入力すると「HELP」という単語が得られるという単純な謎ですが、この謎の本質はキツネが見ていた側にある「数字とアルファベットの変換表」を使うことにあります。しかしこの謎製作者、執拗に変換表に気付かせないような仕掛けを施しています。正直やりすぎた。すまん。

まずこの謎、数字さえわかってしまえばすっごく簡単に解けてしまいます。なのでプレイヤーはこの謎を「一度解いた謎を再利用する」謎としか認識できません。

また正解した際に中央の仕切りが消えるのですが、それは解答を入力したプレイヤーの背後で発生するため気づけません。後でこの部屋に戻ってきても問題パネルしか残っていないため、「なんだっけここ。ああ、前の問題の数字を再利用した問題ね」としか思い出せません。

また自然と裏側が目線に入るような第8の謎とは異なり、意図的に裏に回らないと裏側が見えないようなパネルの配置にもなっています。

この執拗に変換表を気づかせない仕掛けを施した結果、「しらみつぶしにワールドを探索したら変換表が見つかったけど、なんでここに変換表が?」みたいな感じに。ああああああ。

(数字とアルファベットのキューブをPickupできる状態で残すだけでも、結構いい感じになりそうだとは思ってる。)

第8の謎「サイコロ暗号」

キツネと一緒第2弾。ここの謎は昔にプレイしたゲームのオマージュです。侵入者め!

本当は「サイコロの目に対応したアルファベット」に気付いてから「キツネから見えているサイコロの目」の順で気付いて欲しかったんですが、いかんせんサイコロの表裏が魅力的過ぎたので、実際はほとんど気付く順番が逆転。ぐぬぬ。でも仕方ないね、サイコロは魅力的ですね。

この謎ではサイコロの目の向きと左右の順番を間違えるキツネのぽんこつ具合を揶揄するため、解答後に「問題パネルの裏側を見る」ことで「ああやっぱりあのキツネは間違ってたんだ」と納得するのを期待してます。

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でも、直前の部屋のキツネもきっと「PLEH」ってなんだろう? って思ってましたからね!

第9の謎「3x3Riddles」

ああああああもうだめ我慢できない! もうここまでお膳立てしたんだから、君たちもうわかってるよね! ね!? という製作者の気分が最高潮になってます。突然難易度も跳ね上がった感じ。ごめんね。

裏側を探すためにみんなが上を向きながら後頭部を壁に打ち付けている様を眺めるのはとても気持ちよかったです。

さいごに

ちゃうねん。エラソーに「VRでやる意味あるんか」とか「この謎はこんなに考えて作ってます!」とか言ったけどそんなんどうでもええんよ。ワールド作って、みんなに「来て!」って言って、来てくれた人の反応見るのって、めっっっっちゃくちゃ楽しいんよ。VRっぽくなくてもええんよ、理不尽でもええんよ、シンプルなのもええんよ。私はVRCにおけるあらゆる創作行為を尊敬する。

だからあんたもやるんだよ。


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