もうすぐクリスマスだねって話
太陽が隠れても何故かじめっぽくて曖昧な夏の夜。 蒼い風に吹かれて薄い桜の花びらが散る春の朝。 空が低くうっすら白い月が滲む秋の夕方。
いつだって、何を見たって、心はどこか寂しくなる。 でもクリスマスのあの寂しさは比べ物にならない。
今年もクリぼっちか と大きく息を吐く。 一応残念そうにしてみるけど、こんなこと当たり前なのでそこまで辛くはない。初めから決まってる事だ、それ以外に道はないんだから、ぼっちで当然なんだから。そう言い聞かせてショートケーキを寒々しく食べる。
ショッピングセンターやデパートには毎年、堂々と煌めいたツリーが仁王立ちしている。当たり前の様に通り過ぎる人もいれば、てっぺんの星よりも目を輝かせて、はしゃぐ子供もいる。 自分は辺りの誰にもなれなくて、ただ呆然と見上げるだけだった。 ただでさえ明るい照明が沢山なこんな建物の中に、キラキラしたツリーがあることがなんとなく変で、雰囲気が無いよなと思いつつも、そんな瞬間に冬を感じるのだった。
地味で可愛らしくない私にクリスマスなんて似合わないけど、でもやっぱり好きだ。1人だろうがなんだろうが、年に一度の雰囲気は特別であり格別だ。
この前、数少ない私の友達へのクリスマスプレゼントを選びに行った。友達にプレゼントを選ぶなんて初めてだったけど、心がぽかぽかした。
温かさをいつもより感じられるクリスマスは私の元にも来ていたようだった。