あき、アキ、秋

夏からぬるっと秋に入ってた気がする。季節の変わり目なんてよくわからないし、なんなら今日だって少し暑かった。

でもなんとなく あ、秋なのかぁ、とだけ思う。

秋の青空は真夏の厳しい青とは違って、私の胃痛を和らげるくらい優しい青だ。どちらかと言うと蒼って感じがする。                最近の夜は満月を見た。橙のまあるい月はやっぱりいつもより近くて、大きかった。

月の人たちも、「今日の地球でかくね?」だとか言ってはしゃいでいたら、38万キロメートルの距離の間で、指先だけがが繋がっているだろう。

呑気に昼寝なんてしていたら、ふわっと金木犀の香りがした。金木犀は姿が見えないのに香って来るのが不思議でたまらない。それも含めて好きなのに、向かいの家に金木犀が植えてあるのを見てしまって、勝手に虚しくなった。

ひとりで感じる金木犀も好きだけど、あの人と嗅いでみたいという欲望は治まらないのが悩みだ。

「金木犀好きなんだよね」とふたりで歩いて話せたら、でもそれが辛い過去になってしまうのなら鼻は悪い方が幸せなのかな。なんて考えているのが凄く恥ずかしい。


今って結局秋なのかよくわからないけど、今日のおいもご飯が美味しかったのでこれは秋だ。