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『ロッカバイディア』は、なぜこんなに泣けるのか

はじめまして。
私はBLが大好きで、毎日BLを読んでは楽しく暮らしています。

でも日々は楽しいだけではもちろんなくて、
なんとなく辛かったり憂鬱だったり、
なんかモヤモヤする!ってときありますよね。

「泣いてスッキリしたいな~~~」
という日です。

そんな日に私が必ず読むのが、暮田マキネ先生の
『ロッカバイディア』です。

ネタバレを含みつつ、なぜこんなにも泣けるのか
語り尽くしたいと思います。

あらすじ


虐待で傷ついた累(受け)が隣の家に養子として迎え入れられ、
出会った幼い日から「自分にだけは甘えてもいい、なんでもしてあげる」
と教え込んできた八尋(攻め)

恋人関係にはないが、ずっと一緒にいた幼馴染であり、身体の関係もあるけれど、
義母の妊娠がわかったことをきっかけに
累は八尋のもとを一方的に離れていき、さらに不安定になっていく。
そんな累をみて八尋は…。


ほの暗い雰囲気漂う物語のなかに、「愛」という光が差したとき、
生きていく道筋が見える。
そんなお話です。

本当はずっと愛されていた!感動大号泣のシーン

一言でいうと、
過去の虐待がのせいで、自分の存在を“外れクジ”だと思ってしまい、
「捨てられること」を恐れながら生きてきた少年が、
やっと愛されていたのだと実感し、
泣く姿に、とっても感動します。

累は、幼い頃受けた心の傷から、
今でも「自分がいつ捨てられてもおかしくない存在だ」、
「迷惑をかけたら嫌われる」と思っています。

そのために、理想の息子になるため努力を尽くし、
自分の感情に蓋をしています。
「大丈夫」というのが癖になっているような子です。
本当は全然大丈夫じゃないのに…。

そんな累の様子をずっと見守り続けてきたのが八尋です。
・そんな八尋に「助けて」と泣きながら言えたシーン(やっと言えました)
・母親に、泣きながら「理想の息子になれなくてごめんなさい」というシーン

こちらでもらい泣きです。
そして、八尋もお母さんも、そんな累を抱きしめるのです。
例え血がつながっていなくとも、【無償の愛】というのはあるんだな、
とすごく温かい気持ちになれます。

感動です。

『ロッカバイディア』の素敵なところ3選

その愛に、欲望も含まれているところ

八尋から⇒累への“献身的で一途な愛”
(例えば、自分の好きな食べ物でも、累にあげたいと思うような愛)は、
無償の愛に見えて、
「累のことが好きだから自分を必要として欲しい」
という欲望も含まれているのが
個人的に好きなポイントです。

高校生らしい恋愛感情もここで感じられるからです!!

クールなイケメン×健気な美少年

攻めの八尋は、クールで無表情なキャラです。
それなのに内心では累のことをいつも考え心配し、
時には独占欲も滲ませる。
そのギャップが大好きです。

受けの累は、本当に健気です。
「優等生でいなければ愛されない」
という思い込みで雁字搦めになってしまうところが
痛々しくも愛おしくて、
そっと抱きしめてあげたくなります。


ショタの泣き顔がぐっとくる

暮田マキネ先生の描くチビッコが、最高にかわいいのです。
そのかわいらしさの威力や、半端じゃありません。
子供らしい、ぐしゃぐしゃの泣き顔には、
なんとも庇護欲を掻き立てられます。

大好きなセリフ

「その背中の作る影の中は 世界で一番優しい場所だった」

幼い日、累が八尋の後ろを歩きながらのモノローグ
累にとって、八尋がどれだけ大きな存在なのかがわかる一文です。

「たすけて」

それを言える相手がいること。
そして受け止め、守ってくれる人がいること。
しかもその相手が、好きな人だということ。

素敵すぎて、あまりの素敵さに胸がいっぱいになって
また涙が出てきます。

イメージソング

この作品のキーワードは

〈必要とされたい〉
〈名前を呼ぶこと、呼ばれること〉

だと感じました。
ラックライフさんの『名前を呼ぶよ』が本当にぴったりなのです。

気になる題名の意味は?

マザーグースの子守唄「Rock A Bye Baby」を文字ったものらしく、
その歌詞の和訳は、

“私の愛を全てあげる”
“あなたほど大切な子はいない”
“なんだってしてあげる”

みたいな感じでした!
まさに八尋から累への愛を表しています。

ぜひ泣きたい夜は『ロッカバイディア』を読んでほしいです。

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