見出し画像

ネット社会を生きるなら「ここさけ」を見て

はーい。ももです。

今日は超平和バスターズ原作の「心が叫びたがっているんだ。」を見ましたのでその感想。

簡単に物語を説明すると、幼少期の成瀬順はとてもお喋り。そんな順はラブホから父親と見知らぬ女性が出てきたことを母親に話してしまう。結果、両親は離婚。父親の去り際に放った一言「全部お前のせい」によって成瀬順は「お喋り」を封印し、言葉を発すると腹痛を起こすようになっていく。そして時は流れ順が高校2年生、クラスで出し物をすることになりその委員会の一人に順が選ばれるところからストーリーは動き始まる。

この作品の主人公は成瀬順だが、委員会に選ばれた他3名、坂上拓実、仁藤菜月、田崎大樹もまたそれぞれに色々な想いを抱えており、4人の視点から描かれる青春群青劇として、今作はとても見やすく、きれいに作られている。

画像1

成瀬順は声を発すると腹痛になる。これを順は「呪い」と称している。だけどミュージカル、歌なら声を出すことができることに気づき、出し物でミュージカルをすることになっていく。成瀬順は言葉を出すことを呪いと称し封印しているが、口に出さないメールでは普通に会話をしているし、歌なら声が出ることから、成瀬順はお喋りを封印したその時からずっと本当は喋りたいと望んでいるように思う。

言葉は人を傷つける。私は人を傷つけたくない。だから言葉を発さない。そんな感じだろう。

画像2

言葉を発さない順の対象的な存在に位置するのが委員会の一人、田崎大樹。

田崎は野球部のエースだったが腕を怪我してしまい、その苛立ちをぶつけるような厳しい態度から後輩から不人気である。田崎くんは口調や性格が荒いが、自分が間違ったと感じた時きちんと謝罪する筋を通す人間性を持っている。

田崎くんは言葉で人を傷つけることをあまり意識していない。だから思ったことを素直にぶつける。結果的に田崎くんは人と対立することが多いが、自分の非を認めることで関係性を改善していく。その姿は彼が素敵な人間であることをよく現わしている。

画像3

委員会の残る二人のメンバー。仁藤菜月と坂上拓実は中学時代付き合っていた。しかし手を繋ぐこともなく関係はうやむやに。仁藤は坂上とよりを戻したいと思っているけど坂上にその様子はない。

二人はそのまま関係をうやむやにしたまま今回普通に接している。坂上も仁藤も本当は言いたいことがあるけど、本音は言わない。順ほどではないが言葉にしない選択をしている。

この二人に感情移入する視聴者は多いだろう。多くの人が言いたいことを言わないで生きている。それが当たり前だから。それでいいと思う。そうじゃないとトラブルが起こることを私たちは知っている。

こうした4人の様々な事情によって本作は「言葉」の大切さを教えてくれる。

ネット世界は現実の世界よりもこの言葉の使い方がないがしろにされている。匿名性が高いことをいいことに現実では面と向かって言えなくてもネットを介して暴言を吐く人は多い。

その暴言が相手にどう受け止められているかきちんと理解せずに。

言葉を人を傷つける。

そのことをもっとみんな意識してほしい。そんなことを願ってしまうここさけ。

言葉は人を傷つける。だけど言葉は人を喜ばせることもある。言葉で人を嬉しい気持ちにさせることのほうがよっぽど素敵なことだし、そんな社会を私は待ってる。

©KOKOSAKE PROJECT


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?