ボウキョウ第8話 感想note

こんなの、感想文じゃなくて、感情文だって。

西山実里さま。
「閲覧注意」と断りを入れてくださってありがとうございました。
一番最初に西山実里さんが断りを入れてくださったおかげで、わたしはここへ読み入ることができ、読み終えることができたと思っています。

こんなはじまりの感想文は変だろうとわかってはいるのですが、第8話を読み終えて、いちばん最初に彼女にお礼を伝えたいと感じました。

完全にわたし自身のことなのですが。2011年3月11日以降、わたしは、精神科主治医の指示で、東日本大震災と関連する話題を意図的に避けて暮らしていました。異常に共感してしまうから、というのが指示の理由でした。
だから。わたし、ほんとうに、知りませんでした。
第8話で描かれる全てを知りませんでした。読みながら、こころが揺さぶられ、気がついたら、情けなく、小さな声でぽろぽろ謝っていました。小説のかたちをとっているし、いくつもフィルターをかけられていて、現実そのものを見なくても読めるはずなのに。何よりも、わたしは、そのときも、大人になった今だって、それらの出来事を「安全な場所から見ている」だけなのに。

「背を向けて見ないようにして過ごすこと」で、自分を守っていた、あの日、あのとき、あれから、何が、どのようなことが起きていたのかを。
足がついていたはずの地面は崩れ、出来事が激しく押し寄せてきて、呑み込まれていったひとたちのことを。
「どうすればいい?」と誰かに訊きたくなるほど、納得できない、理屈では解決できないものをこころに抱えなければならなかったひとたちのことを。

わたし、ミトさんと「ボウキョウ」に出逢わなかったら知ることができなかったかもしれません。
ミトさん、書いてくれてありがとう。
こころからの尊敬と感謝をこめて。

第5話の最後に「かわいくて和んだ」はずの大人4人のダブルピース。色を失って、遠く遠く感じています。