ここが変です日本の糖尿病治療:その9「食品交換という非常識」

日本の栄養学では食品交換表なる不思議なものがあります。日本では栄養士の皆さんはその食品交換表を全員が習うため、どこの病院へ言っても同じことを言われます。これは「教育段階」から変更しないと無理でしょう。栄養士さんには罪はありません。

まず問題になるのは「栄養学」には「消化及び吸収」という概念が全く欠如しています。「食べるもの」のカロリーを中心に習うので仕方がありません。もしそうなら「食品を交換する」というところまでは「口出し」しない方が良いでしょう。

食品交換表には掲載されてないと思いますが、簡単にするためあえて極端な例を挙げてみます。

ご飯200kカロリーと砂糖200kカロリーを交換できると仮定します。

ご飯は「消化及び吸収」に70kカロリーぐらい必要になります。体には130kカロリーしか入りません。砂糖は「消化及び吸収」にほとんどエネルギーが必要ありません。体には丸々200kカロリー入ります。つまり1.5倍も違うものを交換した事になります。数学的には異常ということになります。

仮にご飯200kカロリーと砂糖130kカロリーを交換できると仮定します。

ご飯は「消化及び吸収」にある程度時間がかかります。しかし砂糖はほとんど直接に近いぐらいすぐに吸収さてしまいます。ここで、糖尿病なので「急に血糖が上昇すること」が心筋梗塞の発症などと関係があることを忘れてはいけません。つまり「吸収される時間」も重要になる訳です。患者さんの教育のため「簡易的」かも知れませんが、それぞれ「消化及び吸収されるまでの時間」が違うはずです。

「食品を交換する」という概念は忘れた方が良いでしょう。この概念があるため「夕飯は少し我慢して食後に同じカロリー分のケーキを食べよう」という発想が患者さんに生まれます。

日本の糖尿病ガイドラインが遅れていたり、栄養学が日本独自になっていたりということに、日本だけでずっと仕事をしていると「当たり前」なので誰も不思議にならないのです。これを機会に意識を変えて「お菓子的なものは極力控えてより食事に近いもの」を摂取してみて下さい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?