ここが変です日本の糖尿病治療:その1「低血糖は酸素欠乏と同じです」

私達は呼吸をして酸素をからだに取り入れます。酸素欠乏がどれだけ危険かご存知と思います。この酸素は主にエネルギー産生に使用されています。生物はエネルギー源の主流を「ブドウ糖」に任せています。特に「脳」を含めた「神経細胞」はエネルギー源としてブドウ糖しか使用出来ません。

糖尿病の治療によって低血糖になる患者さんがいます。現在日本のガイドラインでは血糖値が低い方が「正義」になっているため医療従事者の方がこの危険を「軽視」している傾向にあります。「治療だから仕方がない」と思っています。本当にそうでしょうか?

ブドウ糖はからだの細胞の中で形を変えてエネルギーになりやすい形に変わります。この物質と「酸素」が反応してはじめてエネルギーに変わります。低血糖とは血管内のブドウ糖不足です。不足の影響はブドウ糖しかエネルギーに出来ない「脳」にとっては一大事であることに気が付かれたと思います。脳は酸素不足に非常に弱い臓器です。酸素がいくらあってもブドウ糖が不足してはエネルギーも不足して結局「酸素不足」と同状態になるのです。だから「けいれん」を起こしたり、「意識」が無くなったらします。どう見ても「治療だから仕方がない」では済まされない状態ですよね。低血糖になるべくしない様な治療はいくらでも出来ます。私はそうしています。それでも皆さんが心配されている合併症も教科書に書かれている確率よりずっと少ないですし、大ひどく悪くなる事もありません。その証拠に欧米のガイドラインは既に「脱数値主義」になっています。

誤解のない様に書きますがこれは「だから甘いものを食べても良い」と言っている訳ではなく、「だからいい加減に治療しても良い」と言っている訳ではありません。「治療はきちんと行うが、使う薬の量が多すぎてはいけない」ということです。これはほとんど「医師」に対しての啓蒙が必要であるということです。もしこの記事を読まれた方が患者さんで主治医との関係が良い人はこの記事を読んでもらっても構いません。納得がいかない医師がいれば同サイト内(私流「糖尿病学」:有料ですが)を主治医の先生が自分で購読して頂ければ納得してくれるかも知れません。低血糖を生じない様に心がけるのは「医師」の「意識改革」にかかっているのです。くれぐれも低血糖には気をつけて治療を継続して下さい。

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