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韓国司法が元徴用工への賠償で、三菱重工へ支払う予定の現金を差し押さえるナニワ金融道な決定をくだすw

元徴用工への賠償に関する動きが韓国で起きているのだが、初報の時点で荒れる印象があったので、ある程度ネタが揃うのを待っていた。ひとまず8月20日の配信が終わったところまでの話を、時系列で紹介していきたいと思う。
最初は大変心苦しが時事通信の記事になる。


日本企業債権の取り立て命令 元徴用工訴訟 韓国裁判所
8/18(水) 22:38配信 時事通信
【ソウル時事】三菱重工業に元徴用工らへの賠償を命じた韓国最高裁の確定判決をめぐり、三菱重工が韓国企業から受け取るべき商品代金の差し押さえと取り立ての命令を、水原地裁安養支部が出したことが分かった。
原告側弁護士が18日、明らかにした。
原告側は「三菱重工に賠償金支払いと歴史的事実の認定、謝罪を要求しており、このために協議することができる」と説明。「三菱重工が現在のように引き続き判決の履行を拒否する場合、取り立て命令に基づき、債権の取り立てを行う予定だ」と警告した。
確定判決が出たのは2018年11月。原告側が今月初め、商品代金債権の差し押さえと取り立ての命令を申し立てた。12日に水原地裁安養支部が命令を出し、18日に効力が発生した。
差し押さえた額は約8億5300万ウォン(約8000万円)で、賠償金や遅延損害金、執行費用などを含む。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6af1b642870e498a4131ce1cb8f4500b37115cf5


韓国司法が三菱重工の債権の差し押さえと取り立ての命令を出した、という記事になる。ここで改めて「取り立て」という表現が使われているのは、対象となっている三菱重工の債権とは「商品代金だから」のようだ。要するに有価証券などのように現金化の必要がないものなので、表現を変えているということらしい。
ちなみに、ここで差し押さえられた金額は約8億5300万ウォン(約8000万円)とのことで、ここには賠償金や遅延損害金、執行費用などを含むとされているらしい。

ただ、この記事だけでは具体的に何を意味しているのかがよくわからなかった為、当初は弁護士が実際に三菱重工へ乗り込んで、レジにある釣銭用の現金を鷲掴みにして持っていったのか?とイメージしてしまったほどだ。そう「ナニワ金融道」で町金が借金を取り立てるアレを想像して、さすがにそれは泥棒だろう、と爆笑してしまいそうになったのだw
なので様子を見ようということで寝かせておいた、と。

しかし、冷静に考えれば韓国の国内法で勝手に日本企業の資産を債権債務の関係に置き、それに手を掛けたという事実は変わらない。つまり、1965年の日韓基本条約締結で処理が完了している金銭を再度徴収したことになるので、明らかな条約違反ということになる。
日本政府は現在東京五輪のパラリンピックを対応している最中で、これが終わるまで身動きがとりにくい。韓国はそのタイミングを敢えて狙い、三菱重工の現金を抜いていったわけで、ここに姑息さを感じる。
何にせよ、おいらは日本政府からの声明が出るまでの「前振り」がこれ、という印象を持っていた。
そして翌朝、中央日報が詳報的な記事を配信している。


強制徴用被害補償のため…三菱の韓国内現金資産、初の差し押さえ
8/19(木) 7:02配信 中央日報日本語版
日帝強占期の強制徴用被害者が日本企業から実質的な賠償を受けるためにさらに一歩近づいた。韓国裁判所が強制徴用訴訟で敗訴した三菱重工業が韓国企業から受け取る商品代金約8億ウォン(7500万円)余りを差し押さえる決定を下したためだ。被害者が三菱重工業取引代金を韓国企業から直接受け取ることができるようにする裁判所の取立命令も下された。このような具体的な措置が下されたのは今回が初めてだ。
これに先立ち、日本は菅義偉首相が数回にわたり「日本企業資産売却は日韓関係に極めて深刻な状況を招く」と明らかにした。これまで日本側が提起した通り、韓国企業の日本国内資産差し押さえなど報復措置を行う場合、両国関係はさらに悪化するものと予想される。
強制徴用被害者は2018年10月韓国大法院(最高裁)全員合議体の確定判決を受けても、韓国内から引き出せる日本企業の財産がないか現金化できる方法がなく、実際の損害賠償は受けられずにいた。今回の裁判所の差押および取立決定で実際の賠償が目前まで来たという評価も出ている。18日、強制徴用被害者側代理人によると、水原(スウォン)地裁安養(アニャン)支部は今月12日、三菱重工業が韓国企業であるLSエムトロンに対して保有している商品代金の債権に対して債権差押および取立命令決定を下した。
これは先立って今月初めに強制動員生存被害者1人と死亡した被害者3人の遺族たちが裁判所に出した債権差押および取立命令申請に従ったものだ。18日、裁判所の決定が第3債務者であるLSエムトロンに到達し、差押効力が発生した。LSエムトロンは裁判所決定の効力により三菱重工業に商品代金を支払うことができなくなった。
今回差し押さえられた商品代金はLSエムトロンがトラクターエンジンなど部品を購入した後、三菱重工業側に支払う代金だ。債権差押および取立命令事件を代理しているイム・ジェソン弁護士(法務法人ヘマル)によると、差押決定を受けた債権額は請求金額総額基準8億5319万ウォンとなっている。この金額は2018年大法院の確定判決を受けた被害者4人の損害賠償金とそれに対する遅延損害金、執行費用などを合わせた金額だ。
これに先立ち、強制徴用被害者は大邱(テグ)地裁浦項(ポハン)支部と大田(テジョン)地裁などにも日本企業を相手に損害賠償判決を履行するよう求めて訴訟を起こしてきた。大邱地裁浦項支部は、日本製鉄の韓国資産であるPNR株式に対する差押命令を出した。大田地裁は三菱重工業の韓国内の財産である商標権を差し押さえた。ただし、株式や商標権はすぐに「現金」に変えることができる一般的な財産ではなく、特別現金化手続きを踏まなければならなかった。差し押さえと取り立てが別個の手続きに分かれているためだ。
反面、商品代金に対する債権差押および取立決定命令は相対的に現金化が容易だ。だがLSエムトロンと取り引きがある企業が三菱重工業ではない三菱重工業の子会社という論争もある。
これに対してLSグループ関係者は「系列会社であるLSエムトロンが裁判所から通知を受けたのは間違いない」とし「ただしLSエムトロンが取り引きしている会社は三菱重工業ではなく三菱重工業エンジンシステムという会社」と話した。この関係者は「三菱重工業と三菱重工業エンジンシステムが同一会社なのか事実関係を確認した後に裁判所通知に対してどのように従うのか決めることができる」と付け加えた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e58826f776e827f349945eccda905f0b7b6db85c


この記事でわかったことは、差し押さえられたものは商品代金だということだ。
具体的にはLSエムトロンという会社が、トラクターのエンジンなどの部品として「購入した後に三菱重工業側へ支払う代金」だそうだ。
経理的に書けば、三菱重工にとってはLSエムトロンへの売掛金が差し押さえられた、となる。
つまり、この記事でポイントになるのは、韓国へ商品を売った場合、その売り上げが支払われる前に韓国国内で差し押さえの憂き目に遭うことがある、ということだ。例えば、ソウルに送った代引き商品は購入者に渡っているのに、代金が差し押さえられて売主には届かない、というパターンと図式的には同じで、これでは韓国相手に商売などできなくなる、というわけだ。
そして19日の夕方に、日本政府が本件に関してコメントを出している。
中央日報の記事になる。


日本、韓国裁判所の三菱債権差し押さえに「国際法違反」
8/19(木) 16:22配信 中央日報日本語版
日本政府は韓国の裁判所が日帝徴用賠償訴訟の被告である三菱重工業の韓国内債権を差し押さえる決定を下したことに対し、「明白な国際法違反」と主張した。
日本の加藤勝信官房長官は19日午前の定例会見でこのように明らかにし、「仮に(日本企業資産の)現金化に至れば日韓関係にとって大変深刻な状況になる。これは避けなければならないということを韓国側に繰り返し伝えている」と述べた。
加藤官房長官は、日本が受け入れ可能な解決策を示すよう韓国側に求めていくとする徴用工訴訟と関連した日本政府の立場を繰り返し明らかにした。
これに先立ち水原(スウォン)地裁安養(アンヤン)支部はこのほど三菱重工業が韓国企業のLSエムトロンに対して持つ8億5000万ウォン(約7932万円)相当の商品代金の債権に対し差し押さえと取り立て命令の決定を下したと原告側弁護団が前日に明らかにした。
差し押さえ債権額は大法院判決で確定した日帝徴用被害者4人に対する損害賠償金3億4000万ウォン余りと遅延損害金、執行費用などを合わせたものだ。
https://news.yahoo.co.jp/articles/dd1f67239a0705a6087d22ee3c59eee02644c0d5


この記事では、加藤さんが「現金化されれば大変な状況になる」と従来の立場を繰り返した、とされているのだが、今回の債権は既に商品の売り上げ=「現金」だ。なので、そもそも「現金化」が何を指し、日本政府がいう「条約破棄=レッドライン」とは何なのか?という新たな疑問が浮かぶことになった。
普通に考えれば、債権として日本企業の現金を差し押さえた=現金化が完了しているものを差し押さえた=韓国は条約を破った、ということになると思うのだが、違うのだろうか?

一方で、ツィッターでは韓国司法の動きにこういう反応があった。
SIX氏のツィートになる。


SIX
@sieiri3

三菱重工の件、元々は裁判所も同社が現地に保有する商標権や特許権に限って差し押さえを命じていました。しかし、これら権利も韓国だけで有効で輸出に使えぬので買いたがる韓国企業が現れる訳が無く、後追いで売掛債権に手を出したという事と理解しています。これなら幾らでも奪えます。
https://twitter.com/sieiri3/status/1428012469302165511


なるほど、という感じだ。
既に差し押さえている「権利」は韓国と商売する為には必要であるが、韓国国内の企業が持っていても使い道がない、つまり韓国で買い手がつかないから現金化ができない、だったらレジにある現金を持っていけ、という流れだというわけだ。最初の印象そのまんまだったのだな、やはり韓国、レベルが低いw

これで、なぜに加藤さんがピントのズレた話を繰り返したのかも見えてきた。
というのも、三菱重工だけでなく、韓国から戦犯企業扱いされている日本企業が次に何をするか?を予想すれば、実は困るのは日本企業ではないことがわかってくるからだ。
例えば、韓国企業に関しては「売掛/買掛」関係ではなく、現金決済のみ可とする、というような対応を始める、でどうだ?当月末締め翌月末払いのような1か月NETならまだいいが、半年スパンのプロジェクトを完全前金払いという形で、といった末脚が長いものだと「戦犯企業」と取引をしている韓国企業は、契約の時点で耳を揃えて現金を準備しなければならない。自転車操業が基本の韓国企業に、この形は非常に厳しいものになる。おそらく、契約の度に融資を受けて対応(つまり「戦犯企業」へ期間中分割払いしているものを、金融機関に利息付きで引き落とされる形になる、と言えばわかりやすいか?w)となる。
なので、下手をしたら資金繰りができず仕事はあるのに会社解散というオチも起きるかもしれない。

まぁ、こういう「戦犯企業」の動きを「韓国における取引先の厳格化」とでも名付ければ、まさに日本政府が韓国にやったホワイト排除と同じように見えてくるから面白いw

というわけで、韓国司法のこの決定については、こういう分析が出ているので紹介したい。
かも氏のツィートになる。


かも
@R3000C

日本がこれを容認する事は無いでしょう。
損得の問題では済まない。
喧嘩を他まで広げるかどうかはともかく、韓国の望むスキームでの解決は無い。
それは日本にとっても言える事でしょうが、本件では慰安婦問題以上に韓国側がルールを破ったと自信を持って言える。
https://twitter.com/R3000C/status/1428017275391545349


韓国側でも、同じことに気が付いたようだ。
19日の時点で、三菱重工への支払いが差し押さえられたLSエムトロンが、そもそも三菱重工との取引はない、と言い出している。
大変心苦しいが時事通信の記事になる。


三菱重工との取引否定 元徴用工訴訟で韓国企業
8/19(木) 17:26配信 時事通信
【ソウル時事】韓国の元徴用工訴訟をめぐり、裁判所が、三菱重工業が韓国企業から受け取るべき商品代金の差し押さえなどを命じた問題で、韓国企業「LSエムトロン」は19日、取引してきたのは三菱重工ではなく、グループ会社の「三菱重工エンジンシステム」だとする立場を明らかにした。
LSエムトロンは事実関係を綿密に確認した上で、裁判所に陳述書を提出する予定。三菱重工との取引がないことが確認されれば、命令の効力が消失する見通しだ。 
https://news.yahoo.co.jp/articles/d247c3ca701c6ca42b6fc3fed54e39608dc38c28


まぁ、相変わらず時事通信の記事は短すぎて、話の全体が全く見えてこない。なので、初報はスルーし、続報を待っていた。
20日になり、中央日報が詳報を配信したので紹介したい。


LSエムトロン「三菱重工業のお金ではない」…徴用賠償に思わぬ伏兵(1)
8/20(金) 7:01配信 中央日報日本語版
韓国の強制徴用被害者が裁判所で三菱重工業の韓国内企業との商品代金の債権に対して、差押・取立命令まで受けたが、現金化の前に新たな伏兵に襲われた。三菱重工業に支払わなければならない商品代金がある第三債務者のLSエムトロン側が「われわれが取り引きしている企業は三菱重工業ではなく、その子会社である三菱重工業エンジンシステム」と主張しているためだ。
今月12日、水原(スウォン)地裁安養(アニャン)支部は強制徴用被害者側が申請した三菱重工業物品代金の債権差押および取立命令申請を受け付けた。2018年10月最高裁の強制徴用損害賠償確定判決以降も日本企業の損害賠償が行われないため、被害者は韓国内にある日本企業の資産を追跡してきた。今回差し押さえられた債権額は請求金額総額を基準として約8億5000万ウォン(約7930万円)余り。強制徴用被害者4人の損害賠償金3億4000万ウォン余りとそれに対する遅延損害金、執行費用などをすべて合わせた金額だ。
被害者側は三菱が取引している韓国企業LSエムトロンの商品代金債権を突き止め、この債権の差押および取立が可能な決定を裁判所から受けた。LSエムトロンが三菱重工業に支払わなければならない商品代金を強制徴用被害者側が代わりに受け取って実質的な損害賠償が行われるようにするという構造だ。
ところがこの決定文の送達を受けたLSエムトロン側が「われわれが取引しているは三菱重工業ではなく100%子会社である三菱重工業エンジンシステム」としながら「2つの会社が同一会社なのか確認しなければならない」と主張して問題が生じた。裁判所は差押および取立決定を下したLSエムトロンに送達し、商品代金の債権が誰の債権なのか等の疎明(弁明)要求を一緒に送った。これに対してLSエムトロン側は1週間以内に書面で裁判所に陳述書を提出するものとみられる。
◆法、LSエムトロン側に7日内に説明資料の提出を要求
もしLSエムトロン側が提出した説明資料が明確であるなら、差押および取立決定は取り消される場合もある。第三債務者であるLSエムトロンが持っている債権が三菱重工業の債権ではないなら、被害者側がこれを受け取ることができないためだ。例えばLSエムトロンと商品取引を契約した主体が三菱重工業ではなく三菱重工業エンジンシステムであることが明記されている契約書や代金送金口座などが裁判所に提出された場合を想定することができる。
反面、LSエムトロン側の弁明が充分ではないなら、代理人側は追加資料を要求して事実関係を確認した後、実際の取立に進むこともできる。
代理人側は19日、「LSエムトロンは差押決定文の送達前までは三菱重工業との取引関係をさまざまな方式で認めたが、決定文送達以降は取引対象企業が違うと立場を明らかにした」とした。
代理人側は差押および取立申請を準備してLSエムトロンの取引先を「三菱重工業」と記載して公示したLS事業報告書(2021.3.9.付)やLSエムトロンのトラクターカタログ、マスコミの報道などさまざまな根拠に基づいてLSエムトロンの三菱重工業債権を特定したという。

https://news.yahoo.co.jp/articles/ed675d6346b646081757d53b6343877c91ac31f6


LSエムトロンの言い分は「三菱重工の債権ではなく、三菱重工エンジンシステムの債権だ」だった。つまり、三菱は三菱でもグループ企業の方だから、時事通信の言う「三菱重工との取引ではない」につながる、ということだ。ほんと、使えない通信社だよな、時事は。

ここまでわかったところで、新たな疑問が生まれるわけだ。つまり、LSエムトロンは支払先が三菱関連から募集工の被害者窓口(なのか?どう表現すればいいのかわからないw)に代わるだけで、現金が残るわけではない。なのに、なぜわざわざ嘆願までをして差し押さえの執行を止めようとしているのか?だ。
その答えが「日韓の経済関係に多大な影響を与えることになる」とわかったから、なのではないかと見ているのだ。

なぜなら、これ以前に書いたように「売掛/買掛」の関係がなくなるだけで、対応ができない韓国企業が続出する可能性が高い、これは間違いがない。日本企業から物が買えないということは、韓国企業にとって「仕入れができない」と同義になる。というか、取引を現金のやりとり以外認めないとするくらいなら、いっそ韓国からの撤退を選択する日本企業も続出するだろう。条約がどうこういう以前に、韓国との商売そのものが成立しないからだ。

何度も書くが、レジに支払い用として準備していある現金を、いきなりやってきて差し押さえてしまうのが韓国なのだ。やってられないだろ、さすがにw

LSエムトロンの嘆願を受けて韓国司法がどう判断するのかはわからないが、日本政府はこのインターバルを利用してなんらかの声明を出す必要はあるかもしれない。場合によっては、財務省が動いてもいいのかもしれない。結論は変わらないが、韓国司法のナナメ下な動きもいちいち殺しにいく必要はある、とここでは書いて締めとしたい。

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