崖から落ちて複雑骨折した話

「TWST」リリース後、私は推しが決まらないまま、楽しくストーリーを進めていた。最初に手を取ったのは冥界出身のⅠくんだったが、彼が活躍するストーリーはまだまだ先の予定だったからだ。

そんな時、友人と同じHNの人からゲーム内でフレンド申請が来た。その友人はTWSTをしている素振りを全然見せなかったのでとても驚いた。他人の空似かも知れないと思いながら、フレンド申請を許可した。

久しぶりのジャンル移動に元気になり、誰に見せるでもなく、Twitterの身内向けの鍵付アカウントで落書きなどを上げて楽しくやっていた。

すると今度は友人と同じHNのアカウントからTwitterのフォロー申請が来た。デジャヴ!その友人はTWSTをしている素振りを全然見せなかったのでとても驚いた。他人の空似かも知れないと思いながら、フォロー申請を許可した。

その後、友人によくよく聞くと、こう話し始めた。

「実はリリースからゲームをしていて、滅茶苦茶ハマって別垢で活動してた……もみじちゃんがイラストを上げ始めたのでフォローしちゃった……」

その友人は夢小説を嗜んでおり、双子のJにハマったそうだ。そして、誰も萌え語りをする友達がいないから、出来れば介護をして欲しい……話を聞くだけで良いから……と言われ、もくりで良く通話するようになった。

友人が推しに狂うのを見て面白がりながら、ちゃんとJ夢村に辿り着けるように一緒に旅をしていた最中、事件は起こった。

4月27日(水)のことである。私は仕事でへとへとになりながら帰路についていた。バスの中でTwitterのTLを遡る。つい、とスクロールした際に、かの友人のツイートが目に留まった。

「Caくんって寮の中で一人だけ出身地が違うんだね」

Ca先輩の出身国が、寮内で一人だけ違うと気づいた時、遂に発狂した。急に顔色を変えて飛び上がると、何か訳の分らぬことを叫びつつそのまま足を滑らせて、崖下に転落した。

普通にストーリーを楽しんで3章まで進めていたのに、第1章から第2章で活躍したCa先輩に堕ちたのである。

盲点!!チャラくて調子の良いキャラに、そんな「仲間外れ」要素があるなんて!!!!!!!!

もみじは泣いた。それは崖下に落下した衝撃で、全身を複雑骨折した痛みから泣いたのではない。もみじは「仲間外れ」に対して、人一倍に敏感であった。せめてゲーム内のキャラは等しく幸せでなければならないと強く思っていた。もみじは友人と出発し、野を越え山を越え、遠く離れたこの第3章の地にやって来た。「仲間外れ」に気づいたもみじは、Ca先輩の町の様子を怪しく思った。もう既に日も落ちて、町の暗いのは当り前だが、けれども、なんだか、夜のせいばかりでは無く、町全体が、やけに寂しい。Twitterでエゴサをして、何かあったのか、1章と2章では、Ca先輩の町は賑やかであった筈はずだが、と質問した。若い衆は、首を振って答えなかった。しばらく歩いて老爺に逢い、今度はもっと、語勢を強くして質問した。老爺は答えなかった。もみじは両手で老爺のからだをゆすぶって質問を重ねた。老爺は、あたりをはばかる低声で、わずか答えた。

「Ca先輩のパソストを読んでみなさい」

そこにはCa先輩のほの暗い心象があった。

そこから先の記憶はない。

友人の介護をしていたはずだったのに、その友人の発言で突き落とされた。私はCa先輩の町で療養した後、今度は推しカプ探索への旅を始めることになるが、それはまた別の機会に……。


追記

友人はおぼつかない足でなんとか旅を続け、双子のF夢村に無事にたどり着いた。旅の途中で推しが変わったみたい!めでたしめでたし


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