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雑記_002 夏の夜の雑記

来てくれたのかと尋ねると
小さな声でうんと答える
掛け布団の擦れる音に
二人の吐息の振動が静かに混じる
そのまま自然な速度で唇は重ねられて
あなたの手のひらがゆっくりと左肩を滑っていくそのとき

思わず右手であなたの喉元をとらえると僕は
あなたをすくい上げるようにして腕を伸ばし
背を反らせながら引き離されていくあなたの顔をじっと見つめていた

来てくれたのか
まるで夢みたいだ

見慣れた天井の汚れた白さに
浅く早く打つ鼓動の静まりを期待しないまま
もしもまたもう一度
あなたがここに訪ねてくれるときには
今度こそしっかりと抱きとめたい

あなたのカタチに似た
なにかの影のようなもの
より深淵な闇に包まれたあなたの顔を見据えながら僕が
笑っているのか泣いているのか
あなたの唇で眉の角度を測って欲しいと考えている

サポートの一部を誰かのサポートに繋げていけるのが理想です。途切れることなくー