「あっ。」 ネックレスが、音もなく千切れた。 今まで散々引っ張ったり引っかけたりしても大丈夫だったのに、髪を結いあげるときに小指の爪が少し触れただけで切れてしまった。そんなことある? 買ってから三ヶ月も経ってないから、寿命ではないはずだ。なんとなく縁起が悪い。 いや、大事なグラスを割って落ち込んでた時にお父さんが言ってたな。 「きっとこれから起こる悪いことの身代わりになってくれたんだね」 悪いこと、ねぇ。なんのことだろうか。 あ、そうだ。ちょうどいい
高2の時に国語の課題で書いた小説です。 手直ししてから…と思ったけど、やめました。 17才の、ありのままの私の、ありのままの小説を載せます。 「原文ママ」というやつです。 未熟さがリアルです。 でも17でこれ書いたのはなかなかな気がする。 ↓↓↓ _____________________________________________ 人通りのない静かな川沿いの遊歩道を、ひとりでがむしゃらに走っていた。 川の向こうでは、綺麗な夕陽が空を赤く染めている。しかしそん
★ 一本前の新幹線に間に合った。高校生ぶりに全力疾走したかもしれない。いや、パンプスで走ったのは初めてだな。さすがに息が上がる。 「コート暑すぎ」 独り言でぼやく。この前の誕生日に彼氏に買ってもらった腕時計で、時間を確認した。 11時少し前。ギリギリ間に合うか。 * 空港に着いたのは12時45分。デートの待ち合わせもいつも15分前に着くくらい、普段から早め早めの行動をする彼のことだ。もう手続きもすべて済ませて搭乗口に向かっただろう。 スマホを取り出してL
☆ 僕の彼女は可愛い。顔が可愛いとか見た目がいいとか、そういうことじゃない。いや、そういうことでもあるけど。顔も可愛いしスタイルもいいし、外見はどの女の子よりも、どの女優さんよりも綺麗だと僕は思う。好きだ。街を歩けばみんなが振り向く。「みんな」は言い過ぎたかも。少なくとも僕は振り向く。この子の隣を歩くことができるのは、僕の特権であり、最大の自慢だ。僕はこの子の彼氏であることがとっても誇らしい。 彼女は商社で働く営業マンだ。成績社内トップのバリキャリの営業さ
※ 空港が好きで、よくここに来る。空港の何が好きなのかって言われると、正直よく分からない。雰囲気…? うーん。なんだろう。わからない。じゃあ何をしに来てるのかって、強いて言うなら飛行機を見に来てる、かなぁ。 展望デッキのベンチに座って、次々に飛んでいく飛行機を勝手に見送る。これが楽しくて好き。あ、飛行機は普通に機体がかっこよくて好き。あと、あのどデカいエンジン音も好き。 今日も、特に用事は無いけどここに来た。いつも座るところに今日は赤いコートの女
気付かれない善意や努力があるのと同じで 私が気付いていないそれも、きっとある。 私がもやもやしている間、そいつがパフェを食っているかもしれない代わりに 私がパフェを食っている間、私のことでもやもやしている人がいるかもしれない 世界は多分そういう風にできていて、 気付かないものはたくさんあって、 鈍感な方が幸せになれる