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011.オリーブの木

春の終わり 庭に出て
オリーブの木をそっと撫でる
乾いた樹肌も わたしには
不思議なくらい 温かい

月が地球を頼るように
月が暗闇を照らすように
あの子とわたし そんな風に
今日も変わらず生きている

わたしよりも 臆病な
あの子が先に旅に出た
二回目の春が過ぎるけど
オリーブの木は 動かない

人が花を愛でるように
人が思い出を綴るように
あの子もきっと そんな風に
季節の香り感じてる

いつか わたしが花になり
誰かの思い出に消える日に
その背をそっと 撫でさせて
小さな温もり いつまでも

人が花を愛でるように
人が思い出を綴るように
あの子もきっと そんな風に
陽だまりで微笑んでいる

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