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モロトフのコロニーシム論

そもそもコロニーシムとは、広大なマップに数人のサバイバーが入植して、 彼らのコロニー(拠点)を拡大していくストラテジー要素を含むシミュレーションゲームを示します。このジャンルの代表格となるのが、ドワーフ・フォートレスであり、最近ではフロストパンクやバニッシュドだと思います。

わずかな物資を持って、未開拓の地に入植した数名が、 厳しい気候や外敵などから身を守り、コツコツと周辺環境に存在する資源(鉱物、動植物、水etc.) を収集し、生活することで新たな入植者や入植者同士がカップルとなり子孫を反映することで生活圏を拡大し、テクノロジーを発展させていくことが、このジャンルの主な面白さだろう。

長い時間、手塩にかけて育て上げたコロニー(拠点) が、 些細な環境変化がきっかけで、砂のお城のように無残に崩れ落ちるところをみると、絶望と悔しさの中で、自分なりの生存戦略を考え、また1からやり直そうと思うところに究極の面白さがあり、ドワーフ·フォートレスは、これを「Losing Is Fun(失うことは楽しい)」という合言葉で表現している。

私(モロトフ)は、インディーゲームを中心に多種多様なコロニーシムをプレイしています。それらの経験から、本記事では、モロトフが考えるコロニーシム論を勝手に語ろうと思う。

ずばりモロトフが面白いと思うコロニーシムは、先に話に挙げたドワーフ・フォートレスとリムワールドです。(因みに、リムワールドは明らかにドワーフ・フォートレスにインスパイアされ作られたゲームである。)

そして、これら二つのゲームにはある共通点があります。それは自己実現論というコンセプトが組み込まれているということです。

自己実現論とは簡単に言うと「人間の欲求には5つのステージがあり、人間の本能として下位のステージの欲求が満たられると次のステージの欲求を求める。」というものです。

当然ですが、欲求を満たす行為により幸福感を得られます。ここで言う幸福感は、ゲームで言うところの 「やりがい、楽しさ」です。

<自己実現論:人間の基本的欲求>
①生理的欲求・・・食事·睡眠·排池など
②安全の欲求・・・安全、 安心、 健康など
③社会的欲求・・・社会的役割、所属、愛など
④承認の欲求・・・名声、技術や能力の習得など
⑤自己実現の欲求・・・なりたい自分など

これより、モロトフお気に入りのリムワールドにて、 上記に挙げた人間の基本的欲求を解説していきます。

ゲーム序盤
不時着した3人の生存者が未開の地において、まずすべき事は、今後生活するであろうコロニーの場所決めと、ひとまず数日間は生き延びれるであろう食料の確保、そしてベッドの作成・設置です(①生理的欲求を満たす行為)。当然ながら、この時点においては、安心、安全、健康は二の次です。ここで、敵の襲撃が来たら(数にもよりますが)ゲームはやり直しでしょう。

最低限の食料と3名の生存者の寝床となる部屋が完成したら、次はまともな食事をつくる為に必要なコンロや肉解体設備を作成しつつ、継続的に電力が使えるように電力源及び、バッテリーの確保(②安全の欲求を満たす行為)です。

この時点では、3名の生存者にマルチタスクを強いることとなり、本音を言うともっと労働力が欲しいと思うのですが、労働力と食料消費はトレードオフの関係にある為、急激な人口増加はコロニー全体を崩壊させる要因となる可能性があります。

ゲーム中盤
ある程度、持続可能なエネルギーと食料と外敵を防ぐ壁や罠が出来た頃には、ようやくコロニー内の細かな人間関係や他の派閥 (生存者集団) が気になり始めます。コロニー内では、誰かに告白したが振られてしまった者は心情にマイナスがつき、大きなマイナスが付いた者は最悪、精神的な病に侵されます。逆に、恋愛が成就して晴れてカップルになるとダブルベッドを作成・設置することで、そのカップルにプラスの心情が与えられ続けます (③社会的欲求を満たす行為)。また、他の派閥と良い関係を気づくことも無駄な争いを回避することだけでなく、商流の確保や更なる安全の確保に繋がります。その為、 他の派閥の生存者がコロニー近くで、傷ついて倒れていたら、救助したり、コロニーで余っている資源を輸送ボットを使用して援助物資として送ることで、コロニーの名声を上げていきます(④承認の欲求を満たす行為)。

ゲーム終盤
ある程度、成熟したコロニーとなったら、今度は研究開発に生存者の多くのエネルギーを投入していくことでしょう。これにより高度なテクノロジーを備えた様々な設備を作り出すことができ、コロニーの更なる強化が進むと同時に、このゲームの最終的なゴールである、この惑星からの脱出のために宇宙船の建設に着手するプレイヤーもいれば、コロニーをもっと大きくしていくことに自分の目標を定めるプレイヤーもいます(⑤自己実現の欲求を満たす行為)。

最初に述べた通り、プレイヤーは、膨大な時間を費やし、様々な失敗を重ねることで最終ゴールに到達することができると思うのですが、やはり、その試行錯誤をしている過程がとても面白いのだと思います。


2016年10月より海外インディーPCゲームに特化した紹介動画をYoutubeであげています。このnoteでも情報発信を2019年1月より始めました。