vs小学生

中学受験用の塾で小学生相手にアルバイトをしています。最近は入る曜日の関係で6年生2クラスをメインで担当しています。

先月2月のはじめにドキドキワクワクの中学受験が終わり、小学5年生が新小学6年生となって新しい1年が始まりました。気持ちを新たに、また全力で1年みんなの成長を見届けたい気持ちです。

穏やかで爽やかな門出を迎えられると思っていました。………とんでもなかった。
昨年までの6年生は、それはもう騒がしかったし私のことをなめてるし特に受験に熱心でもないし大変でした。それでも楽しかったし彼らがまっすぐ生きていけることを心から願って私なりに1人1人と向き合おうとしていました。
今年の6年生は何か違う。授業が終わると気分が晴れない。なぜか。授業以外のことにエネルギーを使うからです。
男の子同士で嫌みの言い合いから、手を出した戦いに、いじめの1歩手前になりそうなことまであり、女の子は私にいじりを越えた嫌な悪口をぶつけてくる。
去年の6年生、みんないい奴だったんです。今年はそんなにいい奴らじゃない。
チャイムが鳴って授業を始める号令をかけてもお弁当を平然と食べ続けてる子がいる。しまえ!というとなぜか顔を真っ赤にして「おにぎり1個くらいいいだろ!?」と激昂し出す。
授業中、何かにつけて色んな子の名前を出してちょっかいかける奴がいて、それを聞いて席を立って殴りかかりに行く子もいる……

休み時間も目を話せば誰かのプリントがビリビリに破かれたりぐちゃぐちゃになったりしている、ちょっとのいじりで癇癪起こす子がいて……

私の力不足でまったく収拾をつけられていない、かつ生活指導をしなければいけない状態です。

1.現状
とりあえず全体的に成績が悪く、やる気がある子もいなければ勉強はしないがなんとなくそこそこ好きな教科ならできるという子もいない。
そこに、バスケットボールでめちゃめちゃパスが欲しい奴並みの声の張り方で授業にまったく関係のない話をし続ける子がいる。その子の影響力はクラスで強いのだが成績の悪い子なのであまりまとまりはよくない。
ことあるごとに注意するのみです。

怒らない教育法♡とか言う人いるじゃないですか。何を言ってるんだ。そんなので言うこと聞くやつは気骨がないぞ。もっと強くなれ。

声の大きい子に対抗して大声を出していたら喉をつぶしてしまいました。横になると空咳が出て、大きい声を出そうとするとダミ声になる。
こんなの意味ないし絶対続かない。

2."怒る"ということ

私はあらゆる人に年中怒られているタイプの子供でした。いたずらばかりで騒がしい子だったので当然です。先生という先生には怒られてきた自負があります。ただ、一番怖いのは"ママ上"でした。この世で未だに怒ったらママ上より怖い人を見たことがない。つまり、今までたくさん怒られてきたものの、ママ上以外には怒られた、という自覚がほとんどないのです。怒り方は自分の経験した怒られ方しかできないのではないかと思っています。
私の怒り方はママ上の系統を直系で受け継ぐしかないのです。
ママ上の怒り方はまさに「体育会系」でした。高校がヤンキー・スケバンの集まる地域として有名な横須賀だったらしい。背中に龍とか虎とかいるジャケット、スカジャン発祥の地ですよ。米軍基地があったり自衛隊の基地があったり、国が認める体育会系を両親に持つサラブレッド達が集まった地ですよ。そこで身に付けてきた人への怒り方、というか威嚇の仕方、口調とか言葉選びとかオラオラ系なんです。とにかく口が悪い。ママ上はオラオラ口調で厳しく私の言葉遣いの指導をしてくれていました。
そんなママ上に怒られて育った私はそれを踏襲するしかない。
まずい、と思った私は他の先生方の怒っているところへ見学に行ってみました。方法を体系的に知れても染み付いたベースはやはり"横須賀オラオラ系"の怒り方なんですねぇ…。

私と会ったことのある方はお分かりかと思うのですが、私は身長150cmで体格もよくない、いつもへらへらしてるちんちくりんです。
普通に怒ってもまったく怖くないらしいです。悔しいですが。だからこのオラオラ系に"箔を付ける"しかないのです。
このことより、今後の指導案として「ギャップ萌え大作戦」「怖いこという」「怖くなる」の3つの草案が提出されました。

3.実際にやってみる
①ギャップ萌え大作戦
周りの人に、怒るときどうやって怒るの…?と聞かれることが多々あるので、多分怒るイメージはないのだろうなと思います。
落差で落とそうと思いました。私はこれで小6の子を泣かせ、小5の子を震え上がらせて(ほんとに震えてた)しまいました。完全にやりすぎだと思いました。いかん!と思って慌てました。もうちょっと柔らかくいかなきゃな、と思っていたのですが杞憂でした。それより前に、この作戦には重大な落とし穴があったのです。
これ、1回しか使えない………。

②怖いこという
あんまり思い付かなかった。

③怖くなる
上下関係をしっかり分からせようと思いました。
塾においてアルバイトの先生のいいところは、年が近いことだと思うのです。だからこそ、対等でいようと思い、完全に素で友達と話す感覚で話していましたが、なあなあになりすぎた。
ここでまず、ことあるごとに言うことにしました。ここは「もる王国」である。授業中は私が一番偉い。君たちに口答えをする権利などない、敬え、崇め称えろ、帽子は脱げ、と。
子供達は大騒ぎです。大ブーイングです。まあ、まあまあいいのです。想定済みです。それでも何度もこれを言い続けることに価値がある。
次に、力の差を見せつけてやることにしました。大人の力というのを。何で見せつけるか。腕相撲です。
クラスの男の子全員に勝ちました。私の体格が小学生と変わらないので、みんな私に尊敬と羨望の混じった眼差しを向けてくれます。戦う時はめちゃめちゃに煽ってやりましたが、勝ってしまってからは私は余裕綽々の涼しげな笑顔でアドバイスなどしてあげます。
こうして私が小学生より圧倒的に格上であることを力で見せつけてやりました。お前達は私には勝てないんだぞ。

テストをして丸付けの時に、信じていていた解答と違うことに激怒した子がいました。私の解答が間違っている、と解説してもそれの一辺倒でどうしようもありません。授業も止まってしまうので困っていると、他の生徒がその子にちゃちゃをいれたのにさらに怒り、立ち上がって殴りにいきました。私は怒りました。「ふざけんなよ、自分の間違いを人にあたるな」と。そこからバトルが開戦しました。物音を聞き付けた他のクラスを担当していた先生達全員が様子を見に来てくれ、助け船を出してくれました。
まあそれが今日なんですけど。どこをどう描写すればいいのか分からないのでこれだけですが、反抗期の子供とお母さんのバトルを想像するのが一番近いのではないでしょうか。

本当は、口うるさく言うのは私の本望ではありません。
なぜなら、ママ上に最後に反発したのがそれだったからです。
私は主に生活習慣について口うるさく管理されていました。私がしんどかったのは信頼してくれていないということです。考えるきっかけや道具は今までの経験やママ上パパ上が教えてくれたことでそろっているので、あとは自分で何とかしなきゃいけないという気持ちはあるから色々考えてぶつかって試行錯誤して何とかするから放っておいてくれという気持ちがありました。
逆に言えば今何度言おうと無駄である、ということです。いや、無駄ではないのでしょう。考え方を変えるには、考え方に触れる回数を増やすことだと思います。1回言えば変わる、というものでもないので、何度も短期的な変化を求めて小言を言っても意味がないということです。

だから、友人が何かおかしな方向に行っていても、いくつか注意はしたらあとは見守ることにしています。この人は紆余曲折ありながらも多分ちゃんと進んでいくだろうなと信頼するのも大事だなと思っています。心配し過ぎて口うるさくなっても仕方がないなと。
結局自分の力でしか自分は変われないと思うからです。逆に人の力で変わってしまった時、人に依存するか人のせいにしてしまうことが多いのではないかと思います。

私は小学生にはのびのび育って欲しい。

だめな大人だし責任のないアルバイトなので、「いたずらは、他人や自分自身の心や身体を傷つけることと法に触れること以外なら何をしてもいいよ、ただし見つけたら怒るよ」と言っている。話してはいけないことなどないと思うので、最近あったことは何でも話している。遊んだ時の話に始まり、最近のぼろぼろの男関係の相談をし、ギャンブルを教え…
かなりよくないとは思うけれど、まあこういうことを言うろくでなしお姉さんに1人くらい出会うのも悪くないんじゃないかな、という思いです。受験用の塾と言えど、人と出会う価値ってそういうところにある気がしています。中学受験は教育の1つだと思っているので。

あまり怒りたくないが怒らなければいけない時もあるのですね。子育てってどれだけ体力がいるものなのか、一端を見ておののいています。世の中の親ってすごいな~!お父さんお母さんありがとう!

怒るときに気をつけているのは、いくら声を張り上げても、机を蹴っても、バトルになっても、絶対に感情的にならないようにすることです。
感情をぶつけてしまったら子供は受け止められないと思っています。

4.まとめ

小学校の先生ってどうしてるんだろな。

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