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ジョーズマン【水属性運用実録】

始めに


時はさかのぼり、2011年4月。

この年、遊戯王ゼアルがスタートし、OCGでは空前の水属性バブルが始まりの兆しを見せた。
そんなゼアル開始後のパック第1弾。
水属性初のレギュラーパック看板モンスターとなったリバイスドラゴンが映るそのパックに”奴”はいた・・・。

そう。
そのすさまじい見た目、謎の種族設定、効果に対しあまりにも重すぎる召喚条件。
人々に二度見を強要しに来る水属性鮫界きってのハイインパクトモンスター。

「ジョーズマン」

今回はこの恐ろしく癖が強いB級鮫カードについて、その概要と実際の運用手法について語っていこうと思います。

ジョーズマン、その恐るべき概要


効果詳細については上記(またはWiki)を参照してください。

見ての通り、効果は打点強化のみと非常にシンプルなのですが、彼にはOCG化にあたりあまりにも厳重で、もはややりすぎなくらいの召喚条件があります。
しかし、これにはなんとも哀しき理由(※憶測)があります。
それは当時、彼が強くなりすぎてしまうと困る存在が同じ水属性にいたためと考えられています。

その存在がフロストザウルスです。

同じ水属性、レベル6で攻撃力も同じです。
守備力もかなり拮抗しています。
この2枚の最大の違いはこちらが恐竜族・通常モンスターであることです。

今でこそフロストザウルスのこのステータスは大きな意味を持つようになってきましたが、当時はそれほどではありませんでした。
それもそのはず。この直前まではシンクロ召喚の時代です。
メインデッキはレベル調整が容易な下級モンスターが主役です。
通常モンスターのサポートも増えてはいたものの、そのほとんどは下級モンスターに着目していました。
フロストザウルスを取り巻く状況は登場時点からほとんど変わらず、ジョーズマンが登場したこの頃は、彼にとってイラスト通りの冬の時代を超えた矢先でした。
とはいうものの、OCGを触れている方ならご存じの通り、フロストザウルスは最大攻撃力を持つ上級通常モンスターとしてデザインされた、当時では唯一無二の存在だったのです。
そんなフロストザウルスと同じレベル帯で同じ属性・攻撃力を持ち、しかも攻撃力アップまで備えているジョーズマン。
通常モンスターのサポートで差別化できるとは言え、当時の状況を考えれば、その唯一無二性を揺るがしかねない性能を持つジョーズマンをデメリットも持たずに出すわけにはいかなかったのが想像にたやすいです。
そうしてジョーズマンは強烈な召喚条件の鎖に縛り付けられてOCGに登場したのです。(※あくまで予想)

ですが、この鎖はあまりにも重すぎました
特に特殊召喚できないという点が強烈です。
見ての通り耐性のないこのカードは容易くやられてしまいます。
もう一度このカードを出そうと考えるなら、このカードをもう一度手札に加えて召喚権を残してリリースを用意しないといけません
しかも、このカードは他に自分の水属性がいないと力を存分に発揮できないのに水属性をリリースする必要まであるという徹底ぶり。
またでありながら水属性・獣戦士族というステータスから、水属性内では豊富にいる魚族・海竜族・水族のサポートが効きません
重過ぎる・・・。
このような何重もの苦労を抱えていながら、残りの効果は攻撃力上昇のみで上昇値は1体につき300、下手したらリリース前のモンスターに団結の力装備したほうが打点高いのでは?という状況もあります。
確かに上級モンスターとしての打点はある程度あるものの、シンクロ登場後に出すにはその重さに対して効果が釣り合ってないのです。

こうして唯一無二性を揺るがすかもしれない罪を背負ったジョーズマンは、そのあまりの癖の強さに別に唯一無二性を揺るがすこともなく、むしろ当時ですらフロストザウルスのほうが使いやすそうだったのに、後年になるにつれよりフロストザウルスに差をつけられている状態となってきています。

なんと哀しき鮫・・・。

ちなみにこんな癖の強い鮫ですが、実はOCGではスーパーレアなので光ってます。
見た人間にすごいインパクトを残していくカードという点では彼の右に出る鮫はいないでしょう。

哀しき鮫を活躍させたい・・・


もはや哀愁すら漂っている彼を活躍させたい・・・。
そう考え、今回は以下に焦点を置いて運用を考えました。

ジョーズマンを出しながら、ジョーズマン自身の効果で可能な限り打点が上がる状態を”安定して”作る

そして検討の末、それを可能にする一つの解を用意しました。
今回使うのはずばりタツノオトシオヤ天威の龍仙女です。

タツノオトシオヤは「幻竜族の効果でしか特殊召喚できない」というジョーズマンよりは軽いが重い制約を持つ代わりに、なんとほぼ無条件で一瞬にして水属性トークンを3体用意できます
重い制約同士はひかれあうのか・・・まさしくジョーズマンにとってこれ以上ない恩恵を与える救世主ともいうべきカードです。

そしてこの一見出しにくそうな救世主を容易に呼び出すのが天威の龍仙女です。
このカードが属している天威は共通で特殊召喚効果を持つテーマです。
天威龍-アシュナかそれ以外の天威が手札に2種ある場合、天威の拳僧を経由し召喚権なしで天威の龍仙女につなげることができます
以降で行う展開も全て幻竜族の展開とアドバンス召喚なのでアシュナの効果を使った場合でも、アシュナの持つデメリットもそれほど気になりません。
また、天威の龍仙女の効果は手札コストを要するので、コストにしたモンスターも蘇生対象に選ぶことができます
タツノオトシオヤが手札に来た場合でも、タツノオトシオヤをコストにして実質的に手札から特殊召喚することができます
こういった柔軟性も地味ながらこのカードを使う重要なポイントです。
また蘇生という手段を用いるので、墓地にタツノオトシオヤさえ残っていれば同様の動きで2回目以降も狙うことができます

このような状況から・・・
このような盤面を作れます
ジョーズマンは氷結界の墓地効果でサーチしてます

上の画像のように龍仙女とタツノオトシオヤが並ぶ状態を作ったら、トークンをリリースしてジョーズマンをアドバンス召喚。
これによりジョーズマンは3体分、900アップして攻撃力3500となります。
一見少なそうですが、1体アドバンスとしてはなかなか破格です。
・・・。

物足りない?

そう思ったならここで朗報です。
もちろんさらに攻撃力を上げるプランも準備しております
そのプランが瑞相剣究です。

墓地リソースは必要ですが、攻撃力を永続的に最大1500までアップさせることが可能です。
さらにジョーズマンにとって注目すべきポイントは、相剣罠カードが共通で持つトークン生成効果です。
墓地に存在する相剣罠カードをこの効果で除外することで打点を上げながら水属性を増やすことが可能です。つまり実質的には1500に加え、相剣罠3種を除外した時には最大900上乗せが狙えます。
しかもダメージステップに出てくるというのが重要で、この時点で攻撃の巻き戻しは起きず、一部例外を除き打点操作系しか入り込めないこの瞬間ではトークンをどかすことはほぼ不可能です
2600だったジョーズマンが突然5000に化けるというすごい不意打ちをかますことができるわけです。
ただ、永続で上がるとはいえ本体に一切耐性はないので過信はしないように

サンプル構築


医学会でも使っている構築

このデッキのポイントはジョーズマンとタツノオトシオヤのサーチ方法です。
このどちらも行えるのは氷結界です。
ただし注意点として天威の龍仙女の展開を阻害する制約があるので、発動タイミングは最後の詰めです。
特にオトシオヤを用意するのに使う場合は、墓地に水属性の幻竜族を用意しておく必要があるので気を付けましょう。

オトシオヤは非常にサーチがしやすいです。
墓地へ送る手段としては泰阿を使いますが、手札でも問題ないので赤霄龍相剣現からのサーチも有効です。
龍相剣現はアシュナのサーチもできるので、状況に応じて選びます。

ジョーズマンは基本的には氷結界でのサーチを狙いたいカードです。
氷結界に素早くアクセスできるようにマーレラトラップトリックを採用します。これらは相剣罠との相性も良好です。
特殊召喚されたマーレラは通常モンスターとして扱われているので、使っても天威の展開を邪魔せずジョーズマンの打点補助に使うことができます。
マガラニカは水属性をデッキトップに置くカードなのでサーチ手段として遅いように見えますが、莫邪の1ドロー効果と組み合わせられれば即座なサーチを狙うことができます
赤霄の効果と両方使いたい場合は、チェーン1:赤霄→チェーン2:莫邪とチェーンを組むことでジョーズマンをサーチしながら龍相剣現をサーチするという動きも可能です。

天威の効果は効果モンスターが場に残っていると発動できないので、除去を行いつつ場を空ける相剣暗転や、サブプランとして龍淵大霊峰相剣門も用意しておきます。
手札に余裕がある場合は、赤霄からこれらをサーチしておくと場に幻竜族が1体だけ残っている場合に狙いやすくなります。
龍淵や大霊峰相剣門は仮に場が0の場合でも腐りにくいのが利点です。
リンク召喚をするために使うので、龍淵のトークンの特殊召喚が任意なのはしっかり意識しておきましょう。
純鈞カオスルーラーで墓地送りを狙った場合や相剣トークンをリンク素材に変換したい場合に使います。

莫邪や泰阿をより素早く展開できる白の聖女エクレシアは召喚権を使わずに出せるカードでもあるので、手札によっては後攻1ターン目からジョーズマン展開を狙う事も可能です

これらによって基本的には自分のターンで数えて2~3ターンの間にジョーズマンを出せるように狙っていきます。
今回憶念の相剣はあまり優位点が少ないので入っていませんが、自分の場を空ける手段として使えなくはないので入れてみてもいいかもしれません。

エクストラのほうも見ていきます。
動きのために必須となる天威の龍仙女と天威の拳僧、サーチ手段に使いたい赤霄は優先して投入しておきますが、それ以外は結構自由です。
まだ最適化の余地はあると思うため、今回は比較的利用しているものを紹介しておきます。
ショウフクは大霊峰相剣門等を使って最後の一押しで泰阿などを経由したい時に使います。適当な魔法罠をコストにして幻竜族を蘇生すればそのまま竜仙女につながります。除去も持っているので露払いとしても強いです。
カオスルーラーは氷結界やタツノオトシオヤを墓地に送ることを狙って使います。基本的には氷結界によるサーチの早期化を狙う最終手段です

マスターボーイはジョーズマンの上昇値を300減らす代わりに500アップするため、アドバンス後に残っている2体のトークンを使ってリンク召喚し、わずかに打点を上げることが可能です。
実は盤面の打点合計は7800なので、相手の盤面が空いている状態ならマスターボーイを出すことで8000を超えワンキルを狙うことができます
その代わり龍仙女の打点は400下がる他、龍仙女の効果を狙うためのトークンがいなくなるので注意
また、破壊された時にジョーズマンを回収できるのも重要でしょう。

言わずと知れた強力モンスター承影ですが、実はタツノオトシオヤのレベルが4になっているので、メイン2でジョーズマンを素材にシンクロ召喚が狙えます
氷結界の制約もパスできるのでその点も有用です。ジョーズマンは上述のトークン2体で出せるマスターボーイで回収できるので無駄も少ない動きです。ジョーズマンを出していたとは到底思えない固い盤面が誕生するので狙ってみるのもいいでしょう。

エクストラの選別する際の注意点としては、氷結界を自分のターンに使うことが多い都合上、基本はジョーズマンを出した次の自分のターンまで水属性しか特殊召喚できない事に気を付ける必要があります。
ワンチャン狙いで耐性付与が狙えるクアンタムを入れてますが、ほぼ出せたことがないのでお察しください
特に次のターンに龍仙女は出せません。莫邪から動くことは可能なので、そのあたりを意識しておくといいでしょう。
この構築でも念のためで有用な水属性レベル8シンクロを2体ほど採用しています。
耐性の問題が気になるようであればガーディアンスライム神・スライムを採用してみたりしてもいいかもしれません。トークンで自爆特攻すれば自力で出しに行くことも可能です。

最後に


見ての通り天威相剣にかなり忠実な構築なので、シンプルな強さを備えています。この構築でも天威相剣らしくある程度戦えます
こんなところから出てくる、しかも効果がちゃんと活かされてるジョーズマン、間違いなくインパクトの塊でしかありません
対戦相手に彼特有のインパクトを存分に発揮できるのは、強さ以上の意味を持ち得るかもしれないですね。
今回の構築は「タツノオトシオヤによる瞬発力」と「瑞相剣究との相性の良さ」に発想を得てアビスシャークが追加される前に考えた構築です。
前回のシャークカイゼルの構築でも示した通り、昨今は水属性本体の展開力も非常に高くなっており、そちらでの使用も耐えうるレベルになっていると思われます。

鮫ワールドも進化を遂げ、かつての仲間を迎えに来てくれている・・・。
これこそがシャークさん・・・ナッシュの魂がなせる業か。

ありがとうナッシュ。

私も抗い続けよう、より多くの水属性が救えるように。

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