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なっちゃん (あたしだけの)なっちゃんへ、

   同級生が書いた小説にあてられて久しぶりにIDを検索した。覚えていないけど一年か、二年は経っていると思う。インスタは鍵で施錠されていたし、ツイッターのアカウント名は変わっていた。リプライ欄にあったのは2015年とかの呟きで、そのあとなんて名前に変わっていたのか忘れちゃった。忘れられてよかったと思う。昔は大人になったら全部許すことが出来て、幸せを願えるとなんとなく信じていたけど、別にそんなことはないみたい。自分自身の幸福の数とは関係がなくて、不幸を願うことはないけど、好きになることもないんだと思った。もう人生に加味されていることに関して仕方がなくて、この先になったらさっぱり忘れてしまうかもしれないし、そもそも最近きみのこと考えたことなんてなかったんだけど、やっぱり回帰点として記されていることは変わらないんだと思う。なるべく健康でいてね。なるべく軽薄な幸福ならいい。あなたが健康で幸せでいたらいいと思う、どうせ覗くこともできないし顔を合わせることもおそらくないんだろうね。
   本当はもうきみのことなんかどうだっていい。あんたなんかよりよっぽど嘘が上手い人をいくつも知ったし、もうカラオケでYUIのHELLOも歌えるし、aikoのちょっとだけマイナーな曲だって平気で何も思い出さずに歌えると思う。あとちょっとだけってずっと思ってたけど、別にもういらない。だけど結局こういうとき回帰して思い出してしまうのは、そういう点にいたからっていうだけだ。それだけでずっときみはチャンネル。きみはずっと頭の中で一番かわいいままで住んでいるだけの女。
   なっちゃんは明後日結婚式をやるらしい。なっちゃん、なっちゃんだけがずっとかわいくて、一瞬で戻っていけるタイムマシンみたいな人。なっちゃん、なっちゃんはわたしのなっちゃんじゃないけど、あなただけがずっと美しいあのときの人。

https://twitter.com/nacchan_mada/status/971227759530868736?s=21

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