祖母あれこれ

はじめに

祖母の話をしようと思う。
彼女は昨年の1月にこの世を去ってしまった。なるべく忘れないように人に話しているが、書いておくと確実だと思うのでここに書き残しておく。
絶賛編集中です。思い出したら書いていきます。

祖母について

父方の祖母。私と顔が似ている。性格も似てるらしい(え?)息子である父親とも似ている気がするが私の方が似てる。身長は小さいものの背筋が伸びてるのでそんなに小さい印象はない。
90代前半で亡くなった。誕生日直前だった。
独特の感性と強靭な肉体でぶっ飛んだエピソードを量産するつよつよおばあちゃん。

小さな鉄人


若い頃から病に倒れる数年前まで自転車(当然スポーツ用ではないただのママチャリ)でどこまでも行ってしまう体力を持ち、車と電車が嫌い(「鉄の塊が動くのが信じられない」「閉所恐怖症だから狭いところが無理」と本人は言った)なのを力技で回避するとんでもない人間であった。ちなみにエレベーターも(先程のカッコ内の理由で)嫌いなので階段とママチャリが彼女の移動手段である。エスカレーターは存在を認識していなかった。鉄の塊が動くのが信じられないなら多分嫌だと思う。
親族の集まりに参加した帰り道ママチャリのサドルに上着を引っ掛けてバランスを崩し土手から数メートル落下した際には、対岸から駆けつけた夫婦に助け起こしてもらい彼らが「救急車呼ぶのでじっとしててください」と言うのを制止しママチャリに乗って帰宅。2週間後くらいに家を訪ねた私にこの話をし、私が真っ青になって「どこか痛いところとかないの?」と聞いた時の返答が「擦り傷がお風呂でしみた」というものだった。そうじゃないんだよ。それほぼ無傷だよね?強すぎないか?

骨密度自慢

数メートル転落しても無傷で生還する彼女の骨密度は同世代のそれよりもかなり数値が良かったらしく、健康診断から帰ってきた祖母はその自慢を繰り返し、そのうち当時無職で引きこもりの私の骨密度を心配し始め、謎の説教が始まり、最終的に「牛乳を飲みなさい」という結論に達した。
そして祖母が亡くなって骨になった時、あまりにも骨が立派で(私は亡くなった方の骨を見たのはこれが初めてなんだが、骨粗鬆症の人は粉になるというのは聞いていた)あああの時いっぱい骨密度について喋っていたな、自慢してたもんな、こんなに立派な骨ならそりゃ自慢もするわとマスクの中でちょっと笑顔になった。多分あの自慢はこの時の私の心の平穏の為にあったのかもしれない。
客観的に見てあんなに可愛がってもらった(たくさん迷惑もかけたしかけられたが)祖母が亡くなって骨になるというのは相当ショックを受けるだろうし、実際まぁそこそこショックもあったんだが、泣き崩れる事をしなかったのはあの自慢話のおかげだったのかも、と思う。

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