ミスショット

ミスショットなのに、ベストショット。

カメラを起動したスマホを、焦ってそのままポケットに入れるときに撮れてしまっていた。
撮るつもりはなかった。

わりと写真は撮る方だと思う。
もちろん意図して。

写真は記憶を残すことができる。
でも、それが残るのは、ほぼ全てが意図的にシャッターを切るからだ。

でも、残したいと思っても、撮れない記憶もある。
ただ隣にいる人を写真に撮れますか?
残したくても、私にはできない。
(できるあなたは、素直で素敵だ。)

この写真は、隣にいた人が写った。

私が残したくても撮れない一枚が、確かに残っていた。

有名なカメラマンが撮った写真よりも、一眼レフで撮った写真よりも、考え込まれたアングルで撮られた建物の写真よりも、盛れた自分の写真よりも、オシャレに美味しそうに撮れた料理の写真よりも、残そうとしても残せなかったはずの一枚が、カメラロールにあるのが嬉しい。
(これって盗撮…。いやいや、わざとじゃないもん笑)

私が、もっと素直に写真を撮られたら、もっとまともなベストショットが撮られるのにな。
嬉しそうな笑顔が撮れるのになあ。

“残したいのに残せない”を、“残したいから残す”に変えられる日は来るのだろうか。
素直になれない。

素直になれない私の、今年のベストショットは、ミスショット。

私を素直にしてくれるミスショット。

#今年のベストショット