ポケットの
社会人1年目の私へ
心配しなくても今の私から、君に言えることは何にもない。はは。
君が今、どうするべきか、この先どうなるのか知りたいように、将来の自分も先が見えない中で手さぐりをしている。
そういえば、これを書いている将来の自分をさぐり当てたのは、間違いなく君だね。
君に言うことじゃないかもしれないけど、どこまでいっても、不安なんだ。たぶん。
完全に安心できる場所があるとすれば、それはきっと悪い夢だろう。目の前のことに目をつむっているかもしれない。覚めなきゃね。
こういうのって、君に言うことではなかったのかな。もっとずっと先の自分に言うべきかもね。
まあ、1年目の君に託しておけば、これから先の自分も大丈夫かな、なんて無責任なこと言っておこう。
将来、こんなふうに君のこと、つまり社会人1年目の自分のことを頼もしく思ってしまうくらい、社会人1年目の自分を呼びつけて話をさせようと思うくらい、君は無力で、立派だ。
何か役に立つことを言ってくれると思っただろう?甘いな。
安心したまえ。ずっと不安だ。
将来の自分は、君の感じている不安を、野球部のマネージャーが作ってくれた背番号入りのお守りみたいに持っていて、ときどきポケットの奥でぎゅっと握りしめてみるんだ。
頼りなくてびっくりしているだろう。
君に言えることは何もない。
強いて言わせていただくとすれば
ありがとう。
今日も君の不安と、君へのありがとうをポケットにしまいこんで、いってきます。
君も、いってらっしゃい。