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地獄、それは君が見た翳り

青雲、それは君が見た光~♪のメロディで読んでください。

ごきげんよう、もくれんです。

もくれんでいられない1年を過ごしまして、本来の自分(もくれん)を見失っていたんですよ。あとあまりにいつも暗いことしか書くことないから日曜の夜に送りつけるのもなぁ(LINE登録者には、日曜の夜に更新お知らせを流していた)と思ってサボってたんです。

いろんな人に「もくれんはどうしたの?」と気にかけていただくので、今年は定期的に書けるように、もくれんに人工呼吸を施し蘇生させました。おかえり、もくれん。待ってたよ。

さて、暗いことしか書いてないとセルフツッコミしたばかりなのに、今回もめちゃくちゃ暗そうなタイトルですけども、書いていこうと思います。

今日、ひさしぶりに大学時代の先輩に会って「幸せそうに見える人でもみんな言わないだけでそれぞれ苦労してるよね。」という話になりました。そのときに先輩が「その人その人の地獄があるんだよね。」とおっしゃったんですよ。ここで選ぶ言葉が「地獄」だったことに、ワタクシいたく感銘を受けまして「先輩も地獄持ってんだろうな」とはからずも思ってしまいましたし「他人の苦労を地獄として想像できる先輩のこと、やっぱ相変わらずめっちゃ好きだわ」と思いました。そんな話はブルーボトルコーヒーではできないなと思って伝えませんでしたけども。やっぱり言葉尻に人柄はでるな。神は細部に宿る!

ほんで、地獄のことを考えてたんです。ぼんやりと。何度か書いたかもしれないんですけど、アンコール・ワットに行ったときに地獄と天国のレリーフがあったんですけど、地獄はめちゃ詳細なのに、天国は薄ぼんやりしてました。レリーフの解説をしてくれたおじさんが「地獄は想像できるけど、天国は想像できないからね。」みたいなことを何の気なしにおっしゃっていた記憶です。それは結構心に残ったんです。天国にみんな行きたいのに、想像できないの面白いなと思って。
あと、ダンテの「神曲」も地獄篇がめちゃくちゃ長くて詳細なのに煉獄、天国となるに連れペースダウンするらしいんです。地獄篇ノリノリで書いて、天国篇書くときやる気失っただけかもしれないですけど、もしかしたらダンテも天国のことはあまり思いつかなかったのではないか?と思ったんです。宗教も文化も時代も違うけど、天国が具体的に想像できないのって面白くないですか?

考えてみると、天国って想像しづらい。たらふく食えてすべての望みが叶えば天国かというと、実際それを現世で実現していて不幸な人もいるわけです。その上、七つの大罪には怠慢とか大食とかあるじゃないですか。それが叶うのが天国とは到底思えないです。天国って何があるんでしょうね。私はとりあえず神さまがいるんじゃないのかなと思ってます、天国には。天国にもいないってなると、だいぶテンションが下がるから是非いていただきたいです。天国に行ってやりたいことってないじゃないですか。子孫とか大切な人の行く末を見守りたい願望、無きにしもあらずですけど、それだけだと暇になりそうじゃない?現世をYou Tubeみたいに日がな一日見てても、ねぇ。かといって、神さまも忙しいんで私の相手なんてそんなにしてくれないでしょうし。無我の境地に行けたら素晴らしいのかもしれないけど、コードギアスやエヴァみたいに人類補完計画的にひとつになるのは気が進みません。私をイジメたあいつと一体化するだと!?許さん!!!!!

逆に、地獄の責め苦はめちゃくちゃ想像しやすいです。痛い、辛い、悲しい、苦しい、既にその類例が現世にたくさんあります。そしてそもそも人間は生存するためにはリスク回避マストなんで、不幸に敏感なんだと思います。杞憂なんてその最たるものでしょう。起こってないのに不安になってどうするんだ、バカ。もっと楽しく生きろ!!でも考えちゃうわけじゃないですか。なんのために?と考えると、やっぱり予測できる不幸・危険から身を守るためなんだと思います。そんなわけでこういうこと辛いかも、は容易に想像できる種が次の子孫を残してきたんじゃないでしょうか。頭空っぽの方が夢詰め込めるけど、大抵死にます。スーパーサイヤ人になる前に死ぬ。神龍は現実世界にはいない、完。

それから大変残念なことだけど、嗜虐本能が人間にはあるんだろうと私は思っています。社会的生物である以上、他の個体との比較や調和は切っても切れない関係で、その中で猿山と同じようにマウンティングすることは自分を守ることにもつながるからです。ちなみに、イジメには快感が伴います。人をいじめるってものすごく楽しくて甘美で中毒性がある行い、というか人間の営みだと思います。だから無くならないし、連綿とどの世代にもあるものなんじゃないのかな。「いじめする人なんて信じられない、性格悪いよね」という意見もわかるんですけど、虐待虐殺いじめ拷問などが歴史上ずっとあることを考えると、人間のサガなんだなと私は思います。だからこそ、強い意志で抗わなければならないし、人権は血で血を洗う革命で獲得してきたものなんだなぁと思っています。

だから、人間はほっておくと不安に苛まれたり不幸を引き寄せたりしちゃうんだと思います。そして天災のように、それぞれが業を背負ったかのように、その人なりの地獄があるんじゃないのかなと、そんなふうに思うわけです。それをその人が地獄と思っているかどうかはまた別問題だけど、すべての悩みが一切ない人は解脱してるから現世にはいないのだと思います。

他人の「天国」ばかりが可視化されたSNS社会ですが、私はこれからも自分の地獄をどうにかしていくことを頑張ろうと思うし、地獄は地獄のまま発信することが誰かの救いや笑いにつながるといいなと思って、ありのままの地獄めぐりを楽しもうと思いました。アンミカにだって多分地獄はあったでしょうし、地獄だって思わない鍛錬を積むことが現世の荒波を超えるコツだなと。そう考えると、私が体験してきた翳りも見聞きしてきた大切な人たちの翳りもすべてすべてが想像力の翼になって、私の生きる地獄を滋味深い天国にしてくれるのだろうなと思いました。

地獄、それは君が見た翳り、ぼくが見た希望。

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