パブリック・ベネフィット・コーポレーションとは何か

 最近、俄かにパブリック・ベネフィット・コーポレーションというのが注目を浴びるようになりましたね。
公益重視の新たな会社形態 政府検討、短期利益偏り修正: 日本経済新聞 (nikkei.com)
公益重視の「第3の会社」って何?: 日本経済新聞 (nikkei.com)
 このパブリック・ベネフィット・コーポレーションというのがどのような形態の会社なのかについて、簡単に説明したいと思います。
 詳しくは拙著をお読みくださいと言いたいところですが、拙著でも簡単にしか触れていません。
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デラウェアのベネフィット・コーポレーション
 ベネフィット・コーポレーションとかBコーポレーションという用語を耳にしたことがある方もおられると思います。筆者もNoteに記事を投稿しています。
 Bコーポレーションの方は、民間認証による自主的な活動で与えられる称号なのですが、ベネフィット・コーポレーション(Benefit Corporation)の方は、各州の会社法で定められている形態です。
 このベネフィット・コーポレーションのうち、デラウェア州で定められたものが、パブリック・ベネフィット・コーポレーション(Public Benefit Corporation)です(DEL. CODE ANN. tit. 8, § 362(a)参照)。この場合のパブリック(Public)は、公開企業という意味では無く、「公的な」という意味の方になります。
 つまり、パブリック・ベネフィット・コーポレーションもベネフィット・コーポレーションと同様に、会社の利益とステークホルダーや社会全体の利益を会社運営上の目的とすることができる、ハイブリッド型の株式会社です。
 デラウェア州の会社法は、他の州に比べて規制が緩く、何かと議論になる事が多いですが、ベネフィット・コーポレーションの場合も、他の州が課している公益活動に関する報告義務が軽減されていたり、企業の負担が軽くなっている面があります。
 ただ、株式を公開しているような大企業の多くがデラウェアで設立されており、ベネフィット・コーポレーションをそれらの大企業にも普及させて行こうと考えた場合に、現実的な対応だったと言えるのかも知れません。
また、他の州法と異なり、公益で何を優先するかは明確にしなくてはならないとされており、この点は企業運営で焦点がぼやけずに、やりやすい面もあるかも知れません。

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