いかにして裏切者は初心を忘れ怪物と成り果てたか

さる去年の3月、このような記事を書いた。

Noteくんが「毎月なんか書こうや……」と誘ってくるので思いついたリストを提出し、思いの外楽しそうだったので実際に組んでみたのである。
・除去されてもドローできるので損した気分にならない
・自身の能力だけだとオーナーを攻撃できるためスライサーほどヘイトを買いにくい
などの点から使っていて楽しかったため、そのままレギュラー入り。時折新カードや予算の都合で後回しにしていたカードを入れるようになったのだが……
この一年の間にカーンは個性を無くし、ただパワーを上げて回避能力付きで殴る怪物へと成り下がってしまっていたのだ。

第一次強化パッチで焦点を当てていたのは「赤単で土地を伸ばす方法」だった。
カーンを早出しするために軽量のマナ加速は入っていたものの、生け贄にする必要のあるクリーチャーや宝物トークンなど後に残らないものが多く、全除去に巻き込まれた際の立て直しが苦しいこともあった。
そこで導入されたのが《精霊信者の剣》のような攻撃時に基本土地を持って来ることができる装備品だ。

こっちは殴ってくれるトークンも出てお得


軽量クリーチャーと共に初手にあればカーンの早出しに寄与できるし、カーンに装備すればコントロールが移ったあとも自分の土地を伸ばすことができるため、シナジーになると考えたのだ。
しかしその中に一枚とんでもない劇物が混じっていた。《家庭と故郷の剣》である。


こいつがカーンに装備されると以下のような挙動となる。
1.カーン(7/3プロテクション白緑)が攻撃、プレイヤーに戦闘ダメージを与える
2.剣の能力が誘発、ライブラリーの山とカーンを追放し戦場に戻す
3.カーンが追放されたのでコントロールを失ったとみなされ、能力が誘発し2ドロー

あまりにも噛み合いすぎて実践した際には脳汁が出るのを感じるほどであった。

これを踏まえて行われた第二次強化パッチのテーマが「せっかくだから赤を含まない2色剣全部入れて、装備品盛り盛りにしよう」である。
何がせっかくなのか。残念ながらこの時頭の中にあったのは「強化案に《真理と正義の剣》挙げてたし、単体でも中々やれそうだからいいよね」という浅慮ばかりなのだ。
プロテクションが付与されることで対象に取られにくく、思った動きをしやすくなるのは確かだが「除去するとドローされるのでためらってしまう」という強みから遠ざかっており、ブロックされにくくなることでコントロール移動の機会を逃して結局ドローできなくなっていたのである。

そうしていくうち、以下のリストとなって現在に至る。

大量の2色剣と+3/+0装備を与えられ、すくすくと育ったカーンはおおよそパワー10を超えるようになった。
だがしかしここで気づいてしまった。「自分が本当に組みたかったカーンはこんな動きをするデッキだったろうか」と。
赤単装備ジェネラルなら伍堂がいる。
コントロールを移動するジェネラルならスライサーがいる。
それでもなおカーンを選んだのは、カーンならではの何かが出来ることを期待していたのではなかっただろうか。

流石に自分で納得していないデッキを使うのは卓を囲む他のプレイヤーにも失礼だと考えるため、しばらく封印して改造することにした。

今後は安易にパワーを求めて「その統率者らしさ」を失わないよう心がけたい。



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