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Organize my thoughts

いろいろ恥ずかしい過去を思い出したついでに、もうひとつ。

家庭科の授業できゅうりの輪切りの試験があり、きゅうり一本を規定数に刻まなくてはいけなかった。私は家にあったきゅうりを使って練習していたのだが、規定数に達するほどに至っていなかった。

試験は明日に迫っており、私は焦っていた。すでに家のきゅうりを全て刻んでしまっていた私は、ちょうど仕事から帰ってきた父に無理を言って、近所のスーパーマーケットまで車で連れて行ってもらった。

父は店の入り口付近の道路脇に車を止め、きゅうりだけ買ってさっさと戻ってこいと言った。私はきゅうりを買うお金を握りしめて急いで店内に入り、3本入りのきゅうりの袋を買った。

きゅうりが買えてほっとした私は、店内を出て父の車を探した。あたりはすっかり暗くなっており、小雨も降りはじめていた。目の悪い私は、自分が降りた付近に同じ色の車が止まっていたので、これだろうと助手席のドアをぐいっと開け、ドスンと席に座り込んだ。

座ると同時に、なんだか違和感を感じた。いつもの父の車の助手席の感じと違うな、と思いながら運転席を見ると、見知らぬ若い男性が目を剥いて口をぽかんと開けてこちらを見ていた。

私はその男性の顔を見て反射的にその車を転がるように出た。前に止まっていた車から父が大きな声を出しながら降りてくるのが見えたので、急いで父の車に飛び乗った。

帰る道すがら父に不注意だと散々怒られた。父も娘が他の人の車に乗っていくのが見えてびっくりしたのだと思う。しばらくすると父も落ち着いたのか、ほんとに、馬鹿だなあと笑い出したので、私も恥ずかしさを隠すように笑った。

そういえば転がりでたあの車、ちゃんと助手席のドア閉めたっけな?転がり出る時にすみません!と言ったような言っていないような、記憶が曖昧だ。きっと彼も父と同じように誰かを待っていたのに、見知らぬ女の子に突然車に乗り込まれて、さぞかしびっくりしただろう。今更ながら、謝りたい。ごめんなさい。


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