ひとりごと2

「ヘアアイロンって女の人が使うものでしょ?」

これはどっかのおじ編集長が放った言葉です。

それが会議で取り上げられてて、

「いまどき、こんなこという人いるんですね!」

なんて、参加者みんな口々に同じようなことを言っていました。

なんでも、その一言があって今進行している企画がおじゃんになりそうらしいのです。

「男の子だってヘアアイロン使いますよね..」

「男女兼用だと思うんですけどねー私の兄も使いますよ」

「考え方が古いというか…昔からそういう人でさ」

ヘアアイロン使っている男性の方ごめんなさい。

私は、正直おじ編集長と同じ考えでした、というか「です」!!

もちろん、世の中には長い髪の男の人だっているし、寝癖なおしたいときは男女問わずあると思うので、使ってる男の人がいてもなんとも感じません。

それはそうとして、用途や一般的な男女の髪の長さから「女の人が使う道具」という認識をもつことが間違ってるとは思えません。

だから、そのおじ編集長の考えを真っ向から否定し、挙句の果てにその人の人間性にまで文句を言う気にはさらさらなれませんでした。

広告やらメディアに関わるとしばしばこんなことがあります。

特にジェンダー関係は本当に頭を悩ませます。

「女性らしさ」でもいうものなら、いろんなところで火がつきます。

この間は、母親が料理を作っている事を連想させるイメージ画像でクレームが来たらしいです。

もう、やってらんねぇよ!!!
(先輩の心の声)

これは非常に極端な例ですが、

女らしさや男らしさを決めつけた考えや、(ちょっと繊細な話題にはなりますが)体と心の性が違う人たちに対して否定的な発言をすることを「古い考え」「正しくない」「道理に反する」と捉えようとする世の中の流れがあるのは確かなようです。

日頃感じています…。

ヘアアイロンの会話では、この流れ、身近にもきてるんだな〜としみじみ感じさせられました。

以上のような例みたいに、

なんとなーくじわじわと世の中に浸透した概念や新しい常識みたいなもの。

これら牽引してきた一つの要素として「メディア」や「広告」があると思います。

今は、情報が溢れている時代だから、それ以外にももちろん影響を受けているはずですが
一定の拡散性や話題性は(まだ)あると思います。

でも、それらがときに、どこもかしこも同じようなメッセージ性やコンセプトの宣伝をしたとしたら、それは「押し付け」以外何者でもないでしょう。

それらが濁流みたいな目に見えない風潮を生み出して、いろんな人のちょっとした考えを発信する機会、一歩立ち止まって考える機会を奪ってしまっていないか。

そして、誰かの心をまた少し傷つけているのではないかと思うのです。

一個の論を主張することは、やっぱりそれ以外の何かを否定することに繋がります。

極論、何かを発信することは誰かへの攻撃だと思います。

そう言う意味では、誰しもを不快にさせないだなんて、根源的に不可能なのです。

だから、そのための救済として発言や表現の自由ってものがあるはずです。

どんな人にも、受け取った事柄について感じた「違和感」を主張する自由があるし、その主張が顔も知らない誰かの心を癒すかもしれません。

本当の攻撃は、「主張すること」じゃなくて、「主張させないこと」だと思います。

世間の大きな風潮に抗った何かが、ものすごくバッシングを受け、時には発言とは全く関係ない人間性まで否定されているのをみると、それこそ「多様性」の喪失な気がしてしまうのです。

馬鹿の一つ覚えみたいな広告。

たった一個の事象を、それが全てみたいに報道するメディア。

そんなものが、世の中の大きな流れを作って、「主張させない」社会を作って、「世論」という大きな塊を、人々の上に覆い被せているのだとしたら全く狂っていると思います。

だからこそ、盲目にはなりたくないです。

何が正しいのか、本当にわかりづらい世の中だけど、たくさん勉強してゆっくり考えて自分の答えを見つけていきたいと思うのです。

本当の意味で、公平であり多様な考えが許される、

表現豊かな創作物が世の中に出回って

それを人々が選んで受け取って、好きに解釈して、

こんな考えもあるんだなって、ライトに消費できる社会になれば、

そんな世の中になれば、どんなに素敵でしょうか。

そうして少しでも、肩肘張らず発言しやすい社会になればなあと思うばかりです。

でも、そんな気持ちとは裏腹、かのメディアや広告の制作が今現在の仕事だという、でかい皮肉を抱えて生きております。

しょうもないクリエイティブに惑わされず、自分の価値観を育てていってほしい…

せいぜい私は、そのためのささやかな材料の一つにしてもらえるような何かを死ぬまでに生み出せたらいいなあ、、なんて思います。

今回こんなことを書いたのは、私はこう思ってるよと誰かに知って欲しかったのだとおもいます。

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