旅日記
※4000字あるのでたくさん読み飛ばしてください
森のそこらじゅうで神様たちがうろうろしていそうな島。
人間の一生の儚さを実感できる島。
何はともあれ日本の自然を全力で慈しみたいと心熱くなる島。
社会人ゆえ、なけなしの有給を食い潰しながらの旅であります。
そのため1秒でも早く上陸し、東西南北余すところなく島をぐるぐる回りたいところなのですが、お財布との相談の結果・・・
🌺「フェリーはいびすかす」🌺という鹿児島港から計13時間かけてゆく(種子島での1泊つき⭐️※もちろん船内)旧貨物船のこちらの船を使ってゆくことにしました!
追記
鹿児島ー屋久島は夕方に出発するので、翌日の朝に到着しますが
屋久島ー鹿児島は朝に出発するので、種子島で1泊することもなく当日中に到着できます。
はいびすかす日記
港に着くと、綺麗なフェリーターミナルはなく、周辺には貨物が集積していて、それらを運ぶ重機やトラックが忙しなく往来していました。
ここでいいんだよね?と思いながらうろうろしていたら、近くのおじさんが小さな営業所へ案内してくれました。
重機ってあんなに早く動くんだなとか、高速バックするおじさん、長年の腕前だなあとか、そんなことを思いながら貨物を運んでいる様子を眺めていたら、乗船してくださ〜〜い、という案内。
今!?いいの!?と思いながら乗り込みます。
焼けこげそうな空の下、暑そうな格好で作業する方たちを見て、現場で働く人にはもう全く敵わないなあと思いました。
余談だけど、空港で荷物を出したり飛行機を牽引していたりする地上員の方を眺めるのが好きでした。飛行機から眺めると小さい米粒みたいに見える人たちなんだけど、彼らの力もあって、この大きな機体を遥か遠くまで飛ばしているんだと思うと、最高にかっこいい仕事だと思います。最後にお辞儀するところとか本当に痺れる!
そういう人を眺めている時と同じ気持ちになりました。せめて乗船している間だけでも涼しいところでぼけーっとしていて欲しいです。
というわけで邪魔にならないようにさっさと乗船します。わくわく
船は本当にゆっくり進みました。
おかげであそこが指宿だとかあの港はなんだとか話したり、鹿児島湾の南北の長さを身をもって感じることができました。
甲板で放心していたら、ドイツの留学生の子が話しかけてくれました。聞けば、留学先の休み期間を使って九州をずっと一人旅していたとのこと。流暢な日本語で今までの旅の出来事をけろっとした表情で話してくれました。しかもね、19歳。海外の一人旅、23歳になったとて怖い。まあなんとかなるよねって笑ってて、彼女がフッ軽の神様に見えました。私にももしかしたら来るかもしれない旅立ちの日が待ち遠しい.....!
これから彼女とは何度か島でばったり会うとこになります🏔️
それにしても超可愛かった💓
写真は載せられないから心の中で妄想してください。
ここから3時間くらいずっと甲板にいました。
髪の毛を根こそぎ奪っていきそうな風が吹いてましたが、それすら涼しくてもはや心地よいくらいでした。
観光用ってわけじゃないから、船の照明も最小限。近くに船もいません。たくさん積まれた貨物が月に照らされているのだけが浮かび上がって見えます。
1人、なんだか怪しい船に忍び込んでこっそり覗く景色みたいで、とても高揚しました。
たった1人の自分をなんだか抱きしめたくなりました。この船を選んでよかったと思った瞬間でした。
気づけばちらほらと星が空に散らばっていました。星を眺める時、私はただぼーっと星だなあと眺めるだけなんだけど、隣にいた先輩はなにやらアプリで、星座を探していました。可愛い...!先輩の好きなところだなって思いました。
超余談なんだけど、星を見て特別な気持ちになったことはありますか?私ないんですよね。もう心がコンクリートなのかな?この間ある友達が、星を見ると遠距離の恋人も同じ星を見ているのかなって思って切なくなる、、といったことを言っていました。ほおおお。これが乙女心なのか...やっぱり夜空って特別なんですね...私もいつかそんな気持ちになって心の中で和歌でも詠んでみたいです。
というどうでも良いことを考えていたら、種子島に着きました。
船の接岸の仕方、なんだかんだ知らなかったのですが、この日始めて目の当たりにしました!
もちろん船は横移動といった器用なことはできないので...
船からぴょーんとロープを飛ばして、港にいる人がそれを手繰り寄せるという、結構な人力作業により接岸が完了します👀
何人も協力して綱引きみたいに手繰り寄せるのかと思ったら2人1組で交互に引っ張る感じなんですよね....!!!これには驚きました。
これから旅客は種子島に接岸した船の中で一泊。そして私たちが寝こけてる間に、種子島分の貨物を港に下ろすという作業が終わらせるわけです.......お疲れ様です.....夜の中の作業...........これだから現場で働く人には頭が上がらない.......(先程の文章に戻る)
というわけで寝ます!!!
海風で髪の毛はべとべとだったし、お風呂もないので昼間の汗も流せないという鬱陶しさ満点の状況だったけれど、すぐにすーぴー寝ました。快適すぎないのも醍醐味だなと振り返って思います。
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朝になり、船はもう種子島を出発していました。天気が良い!!!!!!
屋久島ということで、雨の予感しかしなかったのですが、晴れ!!!感動!!
結局滞在中ずっと晴れてました。これはきっと先輩と私が晴れ女だったということです。
紺色の布みたいな穏やかな海に小さな水飛沫が上がるのを眺めていたら、飛魚たちが船の隙間から這い出てきました。
高速で5秒くらい海上を飛びまわり、船に道をあけてくれました。飛魚が飛ぶのは外敵から逃げるためらしいから、船から頑張って逃げていたのだと思います、ごめんね。
写真撮ったけれど全然伝わらないと思うので妄想してください。
そしてついに屋久島がくっきりと見えてきました。
本当に笑っちゃうくらい緑の国でした。島というより、山の連なりが海の上にぽつんとある、という印象でした。
不思議と、どこか地元に戻ってきたような安堵もありました。山を見たら落ち着くとかそういうことなのかな。
また少し船が屋久島に近づいた時、
海の真上にいるのに、ふわーーっと親しんだ山の匂いがしたんです。
また近づくたびにさらに山の匂いが濃くなっていって、屋久島をもう目前にしていることを全身で感じました。
一番印象に残った出来事でした。
不思議です。海にいるのにそこはもうすっかり山の中だったのです。とてつもない存在感でした。
この驚きは忘れないだろうと思います。
そんなこんなでもう着く頃には、かんかん照りの灼熱地獄だったのですが、この目的地に近づく感覚をじわじわ味わう時間も良かったなあと振り返って思います。
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そこから約2日間滞在し、帰宅の日が来てしまいました。滝の涙。
もちろん帰りもはいびすかすに乗って帰ります。
船は行きも帰りもゆっくり進みます。
本当にゆっくり進むから今ならまだ引き返せる!という気持ちにさせられました。
名残惜しさもより一層、ゆっくり渦をまいたあと、じわっと込み上げました。
また行くからね...!
先輩は種子島でさよならだったので、その後は一人で、甲板に行ったり休憩室で誰かと話したり、本をぱらぱらしたり、音楽を聴いたり、居眠りしたり、何も考えずにぼけーっとするなどやりたい放題でした。
種子島在住の方の「北海道と種子島はほぼ一緒」論で盛り上がっていましたが、話し相手をしてくれた方もじきに眠ってしまって部屋が一気に静かになりました。
考えた。
なんで旅行が好きなのだろう。
旅行に何を求めているのだろう。
おそらく一つは、こういう「移動時間」ではないか。
移動時間。
目的地に辿り着くまでの、なんでもない時間。
特に何かが起こる期待もしていない時間。
これからの旅程を調べつつ、まあついてから考えればいいかと一眠りする時間。
知らない地名が見えて、あれなんて読むんだろうなあとか考える時間。
さっきのお昼ごはん美味しかったなと思い返す時間。
いつもの日常を過ごしている間にここではこんなふうに時が流れているのだなあとしみじみ思う時間。
そういう類の時間を過ごすことが、旅行する理由に密かになっていた。
ただ目的地に行くというためだけに流れる、緩やかな時間が好きだ。
移動することは目的というよりはどちらかというと手段である場合のほうが多いような気がする。
そういう意味ではある意味空白となる時間。
とすると、それですら楽しめる旅行という娯楽は、なんと贅沢で最高なんだろうと改めて思う。
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それにしても電車旅とは違い、車窓から流れ去る街の姿を見られるわけでもなく、どこにいても眺められる海だけがそこにある船旅に何の娯楽要素があるのだろうか。
多分、それがいい。
何にもないのがよかった。何もないところで、何かを考えたり、あるいはなんも考えずにぼーっとしたりするのがよかった。ただ時間の経過を実感できる材料があるだけでよかった。目的地までの高揚感だけで楽しめた。
これからもう少しだけ稼いで、どこもかしこも飛行機でひとっ飛びよ🎵とか言い出せるくらいになれても(なれるのか?)少し遠回りする遊び心は持っておきたい。
((まあ次は有給の消化具合との相談になってくるんだけど.....))
少なくとも私にはまだ、時間が必要なのだと思う。
それがよくわかった。
今回の旅行で、
本当に船旅が好きになりました。
(往復7800円!はいびすかすありがとう😭)
両手で数えられるくらいしか、まだ船旅をしたことはないのだけれど、これからまだまだたくさんできるといいなあと思います。
有給、あと30日くれ!!🐸
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