『25時』第3話 昼夜逆転


彼女は決まって25時に現れた
いつものその場所で
変わらない音色を奏でて
別にいなくたって僕の世界は変わらない
それでも心のどこかで
それは新しい刺激になった

夜を歩くのは
この公園であなたを見つけるのは
アジフライをぶら下げた家路より
僕をソワソワさせた

いつからだろうか
彼女を探すようになっていた
だが大袈裟にでは無い
心に少し好奇心が住み着いただけだ
好きとは違う

そう
その月明かりやその陰り 君の音色
そこにある情景に惹かれていた
表情を変える一瞬間の連続が
僕だけのためにあるように錯覚した

だから何一つ欠けてはいけないと思った

この時間を邪魔されるわけにはいかない
月とあなたと僕以外、この公園には何もいらない
間違えても君はそこで口笛を吹き続けないといけない
夜は僕を大きくさせ、支配と優越に浸らせた
昼間の僕には無いものを
ちょうど針が25時を指す頃補完した

  僕は昼の僕を殺した
  君は夜の僕を殺した


サポートして下さったら、みんなで笑います。