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黄金樹と金枝篇

 前回投稿したNoteの坩堝の騎士関連で「昔の黄金樹は赤味が強かったよ」みたいなテキストを引用したわけですが、あれから黄金樹に関してまた少しおもしろい事柄を発見しました。詳細は後述しますが、『金枝篇』に関する情報はフォロワーであるデッドコピーたこはち氏(@hyla_shinanica)から提供していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。


The Golden Bough

 本題に入る前に、先に『金枝篇』について簡単に説明しておきたいと思います。『金枝篇』はジェームズ・ジョージ・フレイザーによって1890年に刊行された書籍であり、神話や呪術・信仰を総合的に収集・研究したもので民俗学・宗教学の礎として高く評価されました。「金枝」とはヤドリギのことで、古代ローマ時代にイタリアのネーミ地方で行われていた「森の王殺し」という行事に関連するアイテムです。(これについては後述します)

 宮崎社長は『金枝篇』に並々ならぬ思い入れがあるようで、同じくフロム・ソフトウェア製のゲーム『déraciné』にも同書に類似した名前を持つ『金枝』というアイテムが登場するようです。(画像用意できませんでした。無念)

“Father, yes son, I want to…”

 『金枝篇』の由来にもなったネーミ地方の「王殺し」ですが、おおまかな内容は以下の通りです。

イタリアのネミの村には、ネミの湖と呼ばれる聖なる湖と、切り立った崖の真下にあるアリキアの木立とよばれる聖なる木立があり、木立には聖なる樹(ヤドリギ)が生えていた。この樹の枝(金枝)は誰も折ってはならないとされていたが、例外的に逃亡奴隷だけは折る事が許されていた。

ディアナ・ネモレンシス(森のディアナ)神をたたえたこれらの聖所には、「森の王(レックス・ネモレンシス)」と呼ばれる祭司がいた。逃亡奴隷だけがこの職につく事ができるが、「森の王」になるには二つの条件を満たさねばならなかった。第一の条件は金枝を持ってくる事であり、第二の条件は現在の「森の王」を殺す事である。
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/金枝篇

何者でもない、卑しい身分の人物が特別なアイテムを手にして王の資格を得て、古い王を排除する。どうも聞いたことがあるような気がしますね。

 重要アイテムのヤドリギの枝ですが、ヤドリギの葉は奇妙なつき方をするのを知っているでしょうか。

ヤドリギは半寄生(他の木に寄生しつつ光合成をする)植物であるため、宿主の葉が落ちるとこういう風に特徴的なマリモめいた姿があらわになります。

 枝に丸っこいものが点々とついている様子で、思い出したものがあります。

エルデンリングそのものです。一本の枝を中心に、四個のヤドリギの葉が寄生しているように見える……のは考えすぎでしょうか。

王位簒奪

 しかしながら、大ルーンとはエルデンリングの破片です。それも、丸いところです。丸い部分をヤドリギだとするならば、褪せ人はヤドリギの枝を二本手に入れることでエルデの王となる資格を得られるのです。そしてモーゴットやゴッドフレイ、ラダゴンといった前王たちを退けて王座に座るのがこのゲームのエンディングです。実に「森の王殺し」に即したシナリオではないでしょうか。


 今回は少し短めですが、前回からまた新たに発見した面白い類似点(と妄想)を記事にしました。こうして見ると、かなり神話や民間伝承に寄せてストーリーが練られているのかなと感じます。

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